1. 喘息とは何か?(基本の“キ”を深く)

喘息(気管支喘息)は「気道が狭くなる病気」と説明されがちですが、
本質は “気道の慢性炎症(chronic airway inflammation)”

慢性炎症とは?

  • 気道粘膜がいつもむくんでいる
  • 粘膜の構造自体が変化してくる(リモデリング)
  • 刺激に敏感な状態(過敏性亢進)

炎症の結果どうなる?

  1. 気道が細くなる
  2. 痰が増えて詰まりやすくなる
  3. 気道の筋肉(平滑筋)が急に収縮する
  4. 呼吸がうまくできなくなる(呼気が特に出しにくい)

もっと医療情報を知りたい方はこちら👉呼吸苦(息苦しさ)の原因は4つだけ|呼吸器・心臓・血液・自律神経を徹底解説する総合ガイド(救急 × 国家試験 × 一般)

アレルギー大学テキスト 食物アレルギー診療ガイドライン2021準拠 食物アレルギーの基礎と対応

食物アレルギーを医学・栄養学・食育の観点から体系的に学べるテキストです。
IgE・好酸球・アレルギーマーチなど、喘息と深く関係する免疫の仕組みも丁寧に解説されています。
子どもを持つ家庭、救急現場でアレルギーを扱う医療者の双方にとって、信頼性の高い参考書になります。

ぜんそく・気管支炎・COPD 呼吸器とアレルギーの名医が教える最高の治し方大全

呼吸器専門医が、喘息・気管支炎・COPDの仕組みや治療をとても分かりやすく解説した一冊です。
特に「発作を減らすための生活改善」「吸入薬の正しい使い方」が丁寧で、一般の方にも医療者にも役立つ内容となっています。
図解も充実しており、喘息管理の基礎をしっかり学びたい方に最適です。


2. 喘息の分類(近年のガイドライン準拠)

喘息は大きく

  • アレルギー性(Th2型)喘息
  • 非アレルギー性(非Th2型)喘息
    の2タイプに分けられます。

■① アレルギー性(好酸球性)

  • IgE高値
  • 好酸球増多
  • 花粉症・アレルギー疾患を伴う
  • ICS(吸入ステロイド)が著効

■② 非アレルギー性(非好酸球性)

  • 感染後・喫煙者・高齢者に多い
  • ステロイド反応が弱い
  • 重症化しやすいタイプ

3. トリガー(引き金)を徹底分類

喘息の悪化因子は国家試験でも、一般人にも超重要。

【環境系】

  • ダニ、ホコリ
  • 花粉
  • ペット(猫が最強)
  • カビ(梅雨・湿気)

【気象・空気】

  • 急激な冷気
  • 気圧の変化
  • PM2.5・黄砂
  • タバコ煙(副流煙含む)

【生活習慣】

  • 過労
  • ストレス
  • アルコール
  • 過度な運動(運動誘発性喘息 EIA)

【薬剤】

  • アスピリン
  • NSAIDs
  • β遮断薬(点眼薬も危険)

4. 病態生理(国家試験トップレベルで詳しく)

喘息の本体は “気道の慢性炎症による気道狭窄”

これを3要素に分けると理解が深まる。


■① 気道の浮腫(むくみ)

好酸球による炎症が主体。
粘膜がむくむため、通り道が物理的に狭くなる。


■② 気道平滑筋の過収縮(気管支攣縮)

喘息発作の“苦しさ”はこれ。
ロイコトリエン・サイトカインが関与。


■③ 粘液分泌過多

  • 痰が増えて詰まりやすい
  • 音が「ヒューヒュー」
  • 完全に詰まると Silent chest

気道リモデリング(chronic change)

炎症が長期間続くと

  • 基底膜の肥厚
  • 平滑筋増殖
  • 気道の構造変化

が起こり、「固定化」して可逆性が減る。
長期管理(ICS)が重要な理由はコレ。


5. 症状をより臨床的に

  • 呼気延長(息が出にくい)
  • 喘鳴(wheeze)
  • 努力呼吸(肩呼吸)
  • 咳(夜間・早朝が多い)
  • 胸苦しさ
  • 運動すると咳が出る(EIA)
  • 会話が途切れる → 重症

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6. 重症発作のサイン(救急レベル)

以下のどれか一つでもあれば危ない。

  • 呼吸回数↑(小児は特に重要)
  • 会話不可(単語のみ)
  • SpO₂低下
  • 肩で息をしている
  • チアノーゼ
  • 意識レベル低下
  • wheezeが消失 Silent chest

Silent chest=気道が完全に閉じかけている
→ 最危険!

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7. 自宅での対処を深く

■① まずSABA(サルブタモール)

  • 2吸入
  • 20分後に再度2吸入
  • 改善なければ医療機関へ

■② 姿勢

・前屈み(Tripod position)
横にならせないことがポイント。
気道が圧迫されて悪化する。

■③ 深呼吸をさせない

意外と知られていない重要ポイント。
→ 呼吸筋が疲れて逆に悪化。


8. 救急車をいつ呼ぶ?(より詳細に)

  • 会話困難
  • 唇が青い
  • 胸が大きく動く
  • 小児の陥没呼吸
  • 発作が急激に進行
  • 不穏・焦燥
  • ぐったり
  • 吸入をしても改善しない
  • 以前ICU入院歴がある
  • 妊娠中の喘息発作(早めに搬送)

9. 医療機関での治療(治療の“深み”を追加)

■① SABA

気道平滑筋を一気に広げる。

■② ステロイド

炎症を根本から抑える。

内服 vs 点滴 の使い分け:

  • 軽〜中等症:プレドニゾロン内服
  • 中〜重症:デキサメタゾン静注

■③ 酸素

SpO₂が92%以下なら投与。


■④ マグネシウム製剤

平滑筋弛緩作用があるため重症例で使用。


■⑤ アドレナリン

アナフィラキシー疑い(蕁麻疹・血圧低下)なら必須。


10. 長期管理(治療の中心をさらに詳しく)

■ICS(吸入ステロイド)

炎症を抑える“最強の治療”。
例:フルチカゾン、ブデソニド


■ICS/LABA(配合薬)

  • シムビコート
  • アドエア
  • レルベア

■LTRA

アレルギー性鼻炎を併発する人に特に効果。


■LAMA

気道を広げるタイプ。
近年は喘息に併用されるケースも増加。


生物学的製剤

重症難治性喘息に有効。

  • 抗IgE(オマリズマブ)
  • 抗IL-5(メポリズマブ)
  • 抗IL-4/13(デュピルマブ)

11. 小児・高齢者・妊婦の喘息

小児

  • 風邪で悪化しやすい
  • 陥没呼吸に注意
  • 乳児は wheeze を誤認しやすい
  • 親の不安を軽減する説明が重要

高齢者

  • COPDとの鑑別が困難
  • β刺激薬の副作用(頻脈)が出やすい

妊婦

  • 発作は胎児へ影響
  • ICSは比較的安全
  • 重症時は早めの医療介入

12. 救急隊向けチェックリスト

観察

  • 呼吸数
  • wheeze の有無
  • silent chest
  • SpO₂
  • 会話量
  • 表情(不穏、焦燥)
  • 姿勢(三脚位)
  • 小児の胸郭の動き

13. ケーススタディ(臨床的理解を深める)

症例A:30歳男性

夜間、咳とヒューヒュー音。
SABA吸入して改善 → 帰宅。
ICSを処方されておらず再発。

長期管理の重要性


症例B:8歳男児

RSV感染後に急激に悪化。
陥没呼吸あり。
silent chest 一歩手前。

感染による増悪と小児の危険性


症例C:アスピリン喘息

鎮痛剤内服後から呼吸苦。
鼻茸(ポリープ)あり。

薬剤性の鑑別が重要


14. まとめ(深い理解の最終整理)

喘息は
「気道の慢性炎症」を治療する病気 であり、
発作の有無だけで判断してはいけない。

  • ICSによる長期管理
  • トリガーを避ける
  • 発作時の迅速対応
  • 重症サインの早期発見

これらが重症化を防ぐカギとなる。

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By TETSU十郎

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