救急救命士国家試験では、「感染」に関する問題が頻出します。感染管理の知識は、現場での安全確保だけでなく、適切な処置を行うためにも不可欠です。本記事では、試験対策に役立つ感染の基礎知識と重要ポイントを解説します。

1. 感染の基本概念

(1) 感染の成立要因(感染の輪)

感染が成立するためには以下の要因が必要です。

  • 病原体(感染源):細菌、ウイルス、真菌、寄生虫など。
  • 感染経路:空気感染、飛沫感染、接触感染、血液媒介感染など。
  • 宿主の感受性:免疫状態、基礎疾患の有無など。

感染予防の基本は、この感染の輪を断ち切ることにあります。

2. 主な感染症とその特徴

(1) 空気感染(飛沫核感染)

代表疾患:結核、麻疹、水痘(帯状疱疹ウイルス) 対応:N95マスク着用、陰圧室への収容が必要。

(2) 飛沫感染

代表疾患:インフルエンザ、百日咳、髄膜炎菌感染症、新型コロナウイルス感染症 対応:サージカルマスク着用、手指衛生の徹底。

(3) 接触感染

代表疾患:MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、ノロウイルス、疥癬(かいせん) 対応:手袋・ガウンの着用、環境消毒。

(4) 血液媒介感染

代表疾患:HIV、B型肝炎、C型肝炎 対応:針刺し事故の防止、PPE(個人防護具)の適切な使用。

3. 救急現場での感染予防対策

(1) 標準予防策(スタンダード・プリコーション)

すべての患者の血液・体液・粘膜・傷のある皮膚には感染のリスクがあると考えて対処する。

  • 手指衛生:アルコール消毒または石鹸と流水での手洗い。
  • PPE(個人防護具):手袋、マスク、ゴーグル、ガウンの適切な使用。
  • 針刺し防止:使用済み針の適切な廃棄。

(2) 感染経路別予防策

標準予防策に加えて、感染経路ごとに追加の予防策を行う。

  • 空気感染対策:N95マスクの着用、換気の確保。
  • 飛沫感染対策:サージカルマスクの着用。
  • 接触感染対策:手袋・ガウンの着用、物品の消毒。

4. 国家試験で問われやすいポイント

(1) 感染症の分類と主な疾患

試験では「この感染症はどの感染経路か?」という問題が出題されやすい。

(2) 標準予防策と感染経路別予防策の違い

それぞれの予防策の適用範囲を明確に理解しておくことが重要。

(3) 実際の救急現場での対応

「患者の嘔吐物処理」「針刺し事故時の対応」「感染患者の搬送方法」など、実践的な内容も問われることがある。

5. まとめ

感染管理は救急救命士にとって重要な知識の一つであり、国家試験でも頻出分野です。感染経路ごとの予防策や代表的な感染症の特徴をしっかり押さえ、試験対策を進めましょう。実際の現場でも適切な感染対策を徹底することで、自身と患者の安全を守ることができます。

国家試験合格を目指し、感染の知識をしっかり身につけましょう!

By TETSU十郎

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