「人の命を救いたい」「消防士や救急隊員になりたい」――そんな熱い思いを胸に、救急救命士を目指す人は年々増えています。
しかし、最初にぶつかるのが**「専門学校と大学、どちらに進学するべきか?」**という悩みです。
どちらも国家資格である「救急救命士」の受験資格を得ることができますが、
学ぶ内容・期間・費用・将来の選択肢には大きな違いがあります。
この記事では、現場経験者の視点から、専門学校と大学の特徴を比較し、
あなたに合った進路選びのヒントを詳しく解説します。
🔶 救急救命士とは?
救急救命士は、医師が現場に到着する前に、重症傷病者に対して高度な救命処置を行う国家資格職です。
心肺停止の現場での心電図解析、アドレナリン投与、気管挿管など、一般の救急隊員では行えない医療行為を担います。
つまり、「医師のいない救命現場で命をつなぐプロ」。
その使命感と専門性の高さから、非常にやりがいのある仕事といえます。
🔹 専門学校ルートの特徴
◎ メリット1:短期間で資格が取れる
専門学校は2年制または3年制が中心。
大学よりも早く国家試験の受験資格を得られるため、早く現場に出たい人に向いています。
◎ メリット2:実践的な授業が多い
カリキュラムの大半が救急救命処置・病態生理・シミュレーション実習など、現場で即使える内容。
現役救急救命士や医師が講師を務める学校も多く、**「現場で動ける力」**を磨けます。
◎ メリット3:学費が比較的安い
学校にもよりますが、2〜3年間で200〜400万円程度が一般的。
大学に比べて経済的負担が軽く、学費面でのハードルが低いのが魅力です。
◎ メリット4:国家試験対策が充実
専門学校は救命士合格率が90〜100%近い学校もあり、試験対策が非常に手厚いです。
特に小規模校では、個別サポートや面接対策まで徹底してくれるところもあります。
△ デメリット1:一般教養が少ない
専門学校では、英語・心理学・法学などの一般教養が限られています。
そのため、幅広い知識を身につけたい人にはやや物足りない場合もあります。
△ デメリット2:就職・進学の幅が狭い
専門学校卒業後の進路は、救急救命士または消防士にほぼ限定されます。
将来的に大学院進学や他職種への転職を考える場合、学歴上の制限が出ることもあります。
△ デメリット3:進学・研究には不向き
「教育・研究職を目指したい」「災害医療や国際救助に携わりたい」といった希望がある場合、
大学や大学院ルートの方が圧倒的に有利です。
🔸 大学ルートの特徴
◎ メリット1:幅広い知識を学べる
大学では、救命学だけでなく解剖学・生理学・病理学・心理学・倫理学・災害医療学など、
幅広い分野を総合的に学びます。
現場対応だけでなく、指導・研究・マネジメントまで視野を広げられます。
◎ メリット2:学士(大学卒業資格)が得られる
大学卒業者には「学士(救急救命学など)」の称号が与えられます。
これは公務員採用試験や他医療職への進学で大きなアドバンテージになります。
◎ メリット3:進学・キャリアの幅が広い
大学卒業後は、大学院・医療系大学・看護学・公務員上級職など、進路の幅が広がります。
教育・研究・行政分野など、「現場以外で医療を支える」道も選択可能です。
◎ メリット4:人脈や社会経験を積める
4年間の在学期間で、ボランティア・インターンシップ・地域救急活動などに関わるチャンスも多く、
視野を広げる経験ができます。
また、救命士以外の医療系学生との交流も刺激になります。
△ デメリット1:学費が高い
4年間で500〜800万円程度が目安。
私立大学ではさらに高額になるケースもあります。
奨学金制度を活用する人も多いですが、金銭的な負担は大きめです。
△ デメリット2:資格取得までに時間がかかる
4年間の学修を経て国家試験を受験するため、社会人になるまでに時間がかかります。
「早く現場で働きたい」という人にはもどかしく感じるかもしれません。
△ デメリット3:実践経験が少ない大学もある
大学によってはシミュレーション実習が少ない場合もあり、
現場力を身につけるには自主的な救急ボランティアや外部実習の活用が必要です。
🔶 専門学校と大学の比較まとめ
比較項目 | 専門学校 | 大学 |
---|---|---|
学習期間 | 2〜3年 | 4年 |
学費 | 200〜400万円 | 500〜800万円 |
目的 | 現場で即戦力 | 幅広い知識・研究 |
カリキュラム | 実践中心 | 理論+実践 |
就職先 | 消防・民間救急など | 消防・行政・教育など |
国家試験合格率 | 高い傾向 | ややばらつきあり |
進学・転職の幅 | 狭い | 広い |
🔷 どちらが向いている?タイプ別の選び方
【専門学校が向いている人】
- できるだけ早く資格を取りたい
- 現場で即戦力として働きたい
- 実践重視の学びを求めている
- 学費を抑えて通いたい
【大学が向いている人】
- 幅広い知識や教養を身につけたい
- 将来、教育・研究・行政にも関わりたい
- 公務員上級職や大学院進学を視野に入れている
- 学生生活や人脈づくりも重視したい
🔶 最後に:進路選びで大切なのは「自分の目的」
救急救命士という職業は、「命を救う」ことを目的にする一方で、
その道のりは人によってまったく異なります。
専門学校で現場力を磨く人もいれば、大学で研究や教育に進む人もいます。
どちらの道を選んでも、最終的なゴールは同じ——命を救うこと。
大切なのは、「自分がどんな救命士になりたいか」を明確にすることです。
その想いが決まれば、きっと進むべき道も見えてくるはずです。私は専門学校でした。
✳️この記事が、救急救命士を目指すあなたの進路選びの参考になれば幸いです。
実際の学校のオープンキャンパスに足を運び、自分の目で雰囲気や学びを確かめるのもおすすめです。