🔷 はじめに

「ただの風邪かと思っていたら…」が危険な理由**

マイコプラズマ肺炎は、“非典型肺炎”と呼ばれる種類の肺炎。
一見すると軽い風邪のように始まり、熱が上がっても寝込むほどではない。
しかし、**唯一といって良いほど目立つ症状が「続く咳」**だ。

本人は「長引くだけだから大丈夫」と思いがちだが、
救急や外来で診ると、咳のせいで夜眠れず、学校や仕事に行けず、
そのうち体力を奪われてしまうこともある。

さらに国家試験では、
「細胞壁がないためペニシリンが効かない」
という独特の特徴を問う問題が頻出。

つまり、一般の人にも医療者にも、
知っておく価値が非常に高い感染症なのだ。

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🔷 1. マイコプラズマ肺炎とは?

──細菌でもウイルスでもない“特別な存在”**

「マイコプラズマ」は、医学の世界でも扱いが難しい微生物。

なぜ難しいのか?

その答えは “細胞壁が存在しない” ことにある。

人間の細胞も、細菌も、ほとんどが“細胞壁”あるいは“細胞膜”で形を保っている。
だが、マイコプラズマには壁がない。
つまり、外からの攻撃に弱いが、抗生剤も効きにくい。

ここが臨床と国家試験の最大のポイントだ。


【国家試験ポイント】

マイコプラズマの特徴**

  • 細胞壁を持たない
  • ウイルスより大きいが、細菌より小さい
  • 細菌とウイルスの“中間的存在”
  • 細胞壁を壊す抗生剤が効かない(βラクタム系無効)

🔷 2. 感染経路と流行

──「クラスターが一気に広がりやすい」理由**

感染経路の中心は 咳・飛沫
特に流行が広がりやすい場所は、以下の通り。

  • 学校
  • 部活
  • オフィス
  • 家族内感染

相棒テツヤの現場でも、秋〜冬の救急要請で
「咳が止まらない」という通報が増えることがあるだろう。

マイコプラズマ肺炎は、5〜7年周期で大流行を起こすことが知られている。
その理由は“集団免疫の低下”や“抗菌薬耐性”による。


🔷 3. 症状

「軽いのに治らない」これが最大の特徴**

マイコプラズマ肺炎は、一般的な典型的肺炎とは違う。

主な症状

  • 乾いた咳(空咳):特にしつこい
  • 発熱(微熱または高熱)
  • 倦怠感
  • 頭痛
  • 喉の痛み
  • 胸痛(咳で悪化)

熱は引いても咳が止まらないケースが本当に多い。
特に “3週間以上続く咳” は典型的。


なぜ咳が長く続く?

気道に炎症が強く残るため。
マイコプラズマは気道上皮細胞にくっつき、ダメージを与える。

その結果、

ウイルス性の風邪よりも長く、
細菌性の肺炎ほど強くない“中途半端な炎症”が続く。

だからこそ“長びく咳”がキーワードとなる。


🔷 4. 胸部レントゲンの異常

──「症状と画像が一致しない」理由**

一般的な肺炎では、
高熱+レントゲン真っ白(肺が白く濁る)
という典型が多い。

しかし、マイコプラズマ肺炎は違う。

レントゲンの特徴

  • 片側性のスリガラス影
  • 症状に比べて軽く見える
  • 肺胞より間質が中心の炎症

つまり、

患者は辛そうなのに、レントゲンが軽い”

これは国家試験でも必ず問われる鉄板ポイント。


🔷 5. 血液検査や診断

──救急では「臨床判断」が基本

診断方法は複数ある。

診断方法

  • 抗体検査(ペア血清)
  • PCR(精度が高い)
  • 迅速検査
  • レントゲン

だが、すべての検査をすぐに使えるとは限らない。
救急現場では、以下を重視する。

  • 年齢
  • 周囲の流行
  • 咳の長さ
  • 聴診所見(軽度)
  • X線とのギャップ

これらの組み合わせで判断することが多い。

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🔷 6. 治療

──“効く薬・効かない薬”がはっきり分かれる**

これは国家試験受験生にとって絶対に覚えるべきこと。

効かない薬(βラクタム系)

  • ペニシリン
  • セフェム
    → 細胞壁に作用するため無効。

効く薬(細胞壁以外を攻撃する抗菌薬)

  • マクロライド(第一選択)
     クラリスロマイシン、アジスロマイシン
  • テトラサイクリン系(成人に有効)
  • ニューキノロン系(成人に強い)

🔷 7. 合併症

──「軽い病気」と油断すると危険な理由**

マイコプラズマは重症化しづらい…
と言われがちだが、合併症は侮れない。

代表的な合併症

  • 肝炎
  • 中耳炎
  • 気管支喘息の増悪
  • 無気肺
  • 皮膚症状(紅斑)
  • 心筋炎(稀)

そして試験で超重要なのが、

溶血性貧血(寒冷凝集素の上昇)
→ 国家試験では“寒冷凝集素↑”が出たらマイコプラズマを疑う問題が多い。


🔷 8. 救急現場での対応

──「軽症」が「重症」に化ける可能性がある**

救急隊が現場で出会うことも多い。

こんなケースでは搬送を考慮するべきだ。

  • 呼吸が苦しそう
  • SpO₂が低い(92%以下は危険)
  • 3週間以上の咳+脱水
  • 小児や高齢者
  • 無気肺が疑われる状態

咳は侮れない症状だ。
本人より家族のほうが異変に気づいて通報することも多い。


🔷 9. 国家試験(対策まとめ)

“この8つ”を覚えれば満点取れる**

✔ 原因:Mycoplasma pneumoniae
✔ 細胞壁なし → βラクタム無効
✔ 第一選択はマクロライド
✔ 長期間続く乾性咳嗽
✔ レントゲンは軽い非典型肺炎像
✔ 流行:子ども・若者
✔ 合併症:寒冷凝集素↑
✔ 症状と画像のギャップが特徴


🔷 10. まとめ

「咳が止まらない」その一言が、命を守るヒントになる**

マイコプラズマ肺炎は、
その症状の“しつこさ”が特徴であり、
救急現場、一般診療、国家試験…
どの視点でも重要な疾患だ。

咳を軽く扱わず、
“長く続く咳の裏側”を知ることが、
患者を守る第一歩になる。

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By TETSU十郎

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