胸が痛む、締め付けられる、圧迫される、ズキッとする——
こうした「胸痛(きょうつう)」は、日常の中で非常に多くの方が経験される症状です。
しかし胸痛は、
・まったく問題のない軽症の痛み から
・即座に救急車が必要となる命に関わる胸痛
まで、その背景は多岐にわたります。
医療の世界や救急現場では、
胸痛を 3つの主要グループに分けて理解する のが基本です。
もっと医療情報を知りたい方はこちら👉心筋梗塞とは?──原因・症状・治療・予防をわかりやすく解説 — TETSU十郎/救急救命士
もっと医療情報を知りたい方はこちら👉【狭心症入門】胸の痛みはなぜ起きるのか?原因・症状・治療・予防をやさしく解説 — TETSU十郎/救急救命士
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🔶 第1章:胸痛は“3つの系統”に分けると理解しやすくなります
胸痛の分類は次の通りです。
① 心臓(循環器)由来の胸痛

心筋梗塞・狭心症など、命に関わる可能性が最も高い領域です。
② 肺・胸膜(呼吸器)由来の胸痛
気胸・肺炎・肺塞栓など、こちらも緊急度が高い場合があります。
③ 消化器・皮膚・骨格筋・神経など“その他”の胸痛
逆流性食道炎・肋間神経痛・胸郭出口症候群・帯状疱疹など、比較的軽症のものも含まれます。
🔶 第2章:心臓由来の胸痛(最も危険性が高い領域)
胸痛で最初に考慮しなければならないのは、
心臓への血流が不足することで発生する痛み です。
■ 1. 心筋梗塞
心臓の血管(冠動脈)が詰まることで、心筋が壊死してしまう疾患です。
● 特徴
- 数分で治らず、徐々に悪化する
- 重く、圧迫されるような痛み
- 左胸〜肩〜腕〜あごに放散する痛み
- 冷や汗、吐き気、息苦しさを伴う
- はっきりとした「痛み」でなく、“重だるさ”の場合もある
● 救急判断
この症状に該当すれば、すぐ119番通報が必要です。
国家試験でも、救急現場でも、
「胸痛+放散痛+冷汗」は最重要ポイントになります。
■ 2. 狭心症
冠動脈の血流が一時的に不足する状態です。
● 特徴
- 数分以内に消失する
- 胸中央が圧迫される
- 運動・ストレス・寒冷で誘発
- 休むと改善することが多い
● 注意点
狭心症は 心筋梗塞の前ぶれ として起こることがあります。
「胸が重い日が増えた」「歩くと胸が苦しい」などの症状は、早期受診が推奨されます。
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🔶 第3章:肺・胸膜由来の胸痛(呼吸と関連する痛み)

胸の痛みは「呼吸する臓器」からもよく発生します。
■ 1. 気胸(ききょう)
肺がしぼんでしまう状態です。
背の高い若い男性に多く、突然の胸痛として発症します。
● 特徴
- 片側の胸に鋭い痛み
- 急に息が吸いにくくなる
- 深呼吸で痛みが増す
- 安静にしていても痛むことがある
特に「自然気胸」は救急搬送の多い疾患です。
■ 2. 肺塞栓症(エコノミークラス症候群)
血栓が肺の血管に詰まる疾患です。
● 特徴
- 急激な息苦しさ
- 胸の痛み
- 動悸
- 発汗、失神
- 長時間の座位(車・飛行機・デスクワーク)でリスク増大
こちらも早期治療が必要な命に関わる病気です。
■ 3. 肺炎・胸膜炎
炎症により胸痛が出現します。
● 特徴
- 深呼吸で痛みが増す(胸膜痛)
- 発熱・咳・倦怠感を伴う
- 片側だけ痛むことが多い
軽症例から重症例まで幅広く、肺炎は高齢者にとって非常に危険です。
🔶 第4章:その他の胸痛(消化器・筋肉・神経など)
比較的軽症であることが多い分類ですが、患者様が感じる不安は非常に大きい領域です。
■ 1. 逆流性食道炎(GERD)
胃酸が食道へ逆流することで胸の痛みを起こします。
● 特徴
- 食後に胸が焼けるように痛む
- 前かがみ姿勢で悪化
- 夜間に起こりやすい
- みぞおちの痛みとして感じることもある
胃薬で改善することが多いのが特徴です。
■ 2. 肋間神経痛
肋骨に沿って走る神経が刺激されることで痛む疾患です。
● 特徴
- 身体をひねる、押すと痛む
- 鋭く、刺すような痛み
- 吸気時に痛みが強くなることがある
国家試験では「体動で痛みが増す=非心臓性胸痛」として頻出します。
■ 3. 帯状疱疹
皮膚に出る前の段階でも、神経痛様の胸痛を引き起こします。
● 特徴
- 片側の胸に鋭い痛み
- 数日後に皮疹(水ぶくれ)が現れる
- 高齢者・ストレス・免疫低下で発症しやすい
救急現場では「皮膚症状の前に痛みだけ」というケースも多く、判断が難しいことがあります。
🔶 第5章:救急車を呼ぶべき胸痛のサイン

胸痛で もっとも重要なのは“危険胸痛の識別” です。
以下のいずれかに該当する場合、救急要請が推奨されます。
🚑 即119番すべき胸痛
- 胸の痛みが10分以上続く
- 冷汗・吐き気・動悸を伴う
- 左肩・腕・あご・背中に痛みが広がる
- 息苦しさが強い
- 胸が締め付けられる
- 既往歴として心臓病がある
- 意識がぼんやりする
救急隊の現場でも、この基準は最重要ポイントです。
🔶 第6章:国家試験対策としての胸痛の整理
胸痛は国家試験で頻出のテーマです。
以下のまとめを押さえておくと得点につながります。
■ 鑑別のポイント
| 疾患 | 痛みの特徴 | その他の所見 |
| 心筋梗塞 | 圧迫感・放散痛 | 冷汗・嘔気・血圧低下 |
| 狭心症 | 運動で誘発、数分で消失 | 休むと改善 |
| 気胸 | 片側の鋭い痛み | 呼吸音減弱 |
| 肺塞栓 | 急激な息苦しさ | 失神、頻脈 |
| 食道炎 | 焼ける痛み | 食後・夜間に悪化 |
| 肋間神経痛 | 体動・押すと痛む | 局所的な強い痛み |
🔶 第7章:まとめ

胸痛は、「痛みの強さ」で軽重が判断できるわけではありません。
最も大切なのは次の3点です。
✔ 痛みの性質
(圧迫感・締め付け・刺す痛み など)
✔ 随伴症状
(冷汗・息苦しさ・放散痛)
✔ 発症状況
(運動後・安静時・深呼吸で悪化など)
胸痛は誰にでも起こり得る症状ですが、
その背景には重大な疾患が隠れていることがあります。
ご自身や身近な方の胸痛について「これは大丈夫だろうか」という不安を少しでも軽減できれば幸いです。
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