【頭痛で救急車を呼ぶ基準】危険な頭痛の見分け方|脳卒中・くも膜下出血のサインとは?

「突然、経験したことのない激しい頭痛がした」

「頭痛くらいで救急車を呼んでも大丈夫?」

「いつもの頭痛との違いが分からない」

頭痛は風邪や疲労、睡眠不足などでも起こる非常に身近な症状です。

しかし、中には脳卒中やくも膜下出血など、一刻を争う重大な病気が隠れていることがあります。

実際に救急現場では、

「いつもの頭痛だと思って様子を見ていた」

「朝まで寝れば治ると思った」

という判断の結果、重症化してしまうケースも少なくありません。

一方で、頭痛の多くは命に関わらない一次性頭痛であり、過度に不安になる必要もありません。

大切なのは、

危険な頭痛を見逃さないこと

です。

この記事では救急救命士・防災士の視点から、

  • 救急車を呼ぶべき頭痛
  • 危険な病気の特徴
  • 病院受診の目安
  • 救急隊が現場で確認しているポイント
  • 応急手当の方法

について分かりやすく解説します。

結論:こんな頭痛は迷わず119番

まず結論です。

以下の症状がある場合は、様子を見ずに救急車を要請してください。

突然の激しい頭痛

  • バットで殴られたような痛み
  • 雷が落ちたような痛み
  • 人生最悪の頭痛
  • 何時何分に始まったか分かるほど突然

このような頭痛は、くも膜下出血の典型的な症状です。

意識がおかしい

  • 呼びかけへの反応が悪い
  • 会話がかみ合わない
  • 強い眠気がある
  • 名前や場所が分からない

脳に重大な異常が起きている可能性があります。

手足の麻痺やしびれ

  • 片方の手に力が入らない
  • 足がもつれる
  • コップを落とす
  • 顔がゆがむ

脳卒中を強く疑います。

ろれつが回らない

  • 言葉が出ない
  • 言いたいことが話せない
  • 相手の言葉が理解できない

脳梗塞や脳出血でよく見られる症状です。

視覚異常

  • 物が二重に見える
  • 視野の一部が欠ける
  • 急に見えにくくなった

脳や神経の異常が疑われます。

繰り返す嘔吐

頭痛とともに何度も吐く場合は脳圧上昇の可能性があります。

けいれん

頭痛と同時にけいれんを起こした場合は緊急事態です。

高熱と首の硬さ

  • 高熱
  • 激しい頭痛
  • 首が前に曲がらない

髄膜炎の可能性があります。

迷ったら#7119へ相談

救急車を呼ぶべきか判断に迷う場合は、

救急安心センター事業(#7119)

へ相談しましょう。

医師や看護師などの専門家が、

  • 救急車が必要か
  • 受診が必要か
  • 受診先はどこか

を案内してくれます。

ただし、

  • 意識障害
  • 麻痺
  • 激しい頭痛
  • けいれん

がある場合は#7119ではなく119番を優先してください。


頭痛はなぜ起こるのか?【解剖・生理】

頭痛の仕組みを理解すると、危険な頭痛を見分けやすくなります。

実は脳自体は痛みを感じない

意外に思われるかもしれませんが、

脳そのものには痛覚受容器がありません。

つまり、

脳自体は痛みを感じない

のです。

頭痛を感じる場所

痛みを感じるのは次の組織です。

  • 頭皮
  • 筋肉
  • 骨膜
  • 血管
  • 硬膜
  • 三叉神経
  • 大後頭神経

これらが刺激されることで頭痛が発生します。

頭痛が起こる仕組み

例えば、

  • 血管が急激に拡張する
  • 炎症が起きる
  • 組織が引っ張られる
  • 圧迫される

といった刺激が神経を介して脳へ伝わり、

「頭が痛い」

と認識されます。


命に関わる危険な頭痛(二次性頭痛)

頭痛は大きく分けると、

  • 二次性頭痛(危険な頭痛)
  • 一次性頭痛(よくある頭痛)

の2種類があります。

まずは命に関わる二次性頭痛について解説します。

くも膜下出血

脳動脈瘤が破裂して起こる病気です。

病態

脳の血管にできたコブ(脳動脈瘤)が破裂し、

くも膜下腔へ出血します。

特徴的な症状

  • 突然発症
  • 人生最悪の頭痛
  • 激しい嘔吐
  • 項部硬直
  • 意識障害

救急現場でも特に警戒する病気の一つです。

脳出血

脳内の血管が破れて出血する病気です。

原因

最も多い原因は高血圧です。

長年の高血圧により血管がもろくなり破裂します。

症状

  • 頭痛
  • 片麻痺
  • ろれつ障害
  • 感覚障害
  • 意識障害

出血量が多い場合は急速に悪化します。

脳梗塞

脳の血管が詰まる病気です。

症状

  • 麻痺
  • ろれつ障害
  • 視野障害
  • めまい
  • 歩行障害

頭痛を伴わない場合もあります。

しかし頭痛と神経症状が同時に出た場合は危険です。

髄膜炎

脳や脊髄を包む髄膜に炎症が起きる病気です。

症状

  • 高熱
  • 激しい頭痛
  • 項部硬直
  • 意識障害

進行すると命に関わります。

特に小児や高齢者では重症化しやすい病気です。

慢性硬膜下血腫

頭を打った数週間〜数か月後に発症することがあります。

特徴

  • 徐々に悪化する頭痛
  • 物忘れ
  • ふらつき
  • 軽い麻痺

高齢者では特に注意が必要です。

「転んだけど大したことはなかった」

というケースでも発症することがあります。

脳腫瘍

脳にできた腫瘍が徐々に大きくなる病気です。

特徴

  • 朝方に強い頭痛
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 徐々に悪化

数週間から数か月かけて進行します。


危険な頭痛を見分けるRED FLAGS

医療現場では、

危険な頭痛を見分けるために

RED FLAGS(レッドフラッグ)

という考え方があります。

RED FLAGSとは、

重大な病気が隠れている可能性を示す危険信号です。

突然発症

数秒〜数分でピークに達する頭痛。

50歳以上で初めて発症

脳腫瘍や側頭動脈炎などの可能性があります。

徐々に悪化する

脳腫瘍や慢性硬膜下血腫を疑います。

神経症状を伴う

  • 麻痺
  • しびれ
  • ろれつ障害
  • 意識障害

は危険なサインです。

発熱を伴う

髄膜炎など感染症の可能性があります。

がんや免疫不全がある

脳転移や感染症のリスクがあります。

頭部外傷後に発症

慢性硬膜下血腫の可能性があります。

日常的によくある頭痛(一次性頭痛)

ここまで危険な頭痛について説明してきましたが、実際には頭痛の多くが命に関わらない「一次性頭痛」です。

一次性頭痛とは、脳出血や脳腫瘍などの病気が原因ではなく、頭痛そのものが病気である状態を指します。

代表的なものは、

  • 緊張型頭痛
  • 片頭痛
  • 群発頭痛

の3つです。


緊張型頭痛

最も多い頭痛です。

原因

  • ストレス
  • 長時間のデスクワーク
  • スマートフォンの見過ぎ
  • 猫背
  • 首や肩の筋肉の緊張

などが原因になります。

特徴

  • 頭全体が締め付けられる
  • ヘルメットを被ったような圧迫感
  • 首や肩のこりを伴う
  • めまいを伴うことがある

対処法

  • 入浴
  • ストレッチ
  • 首や肩を温める
  • 適度な運動

が有効です。


片頭痛

女性に多くみられる頭痛です。

原因

脳の血管拡張や三叉神経周囲の炎症が関与していると考えられています。

特徴

  • ズキズキする
  • ドクドク脈打つ
  • 動くと悪化する
  • 吐き気を伴う
  • 光や音がつらい

前兆

一部の人では、

  • ギザギザした光が見える
  • 視野の一部が欠ける

などの前兆が出現します。

対処法

  • 暗い部屋で休む
  • 頭を冷やす
  • 十分な睡眠をとる

ことが有効です。


群発頭痛

比較的まれな頭痛です。

特徴

  • 目の奥をえぐられるような激痛
  • 毎日同じ時間帯に起こる
  • 数週間〜数か月続く
  • 片側だけ痛む

随伴症状

痛む側に

  • 鼻水
  • 目の充血

がみられます。

痛みは非常に強いですが、脳出血とは異なる病気です。


救急隊が頭痛で確認しているポイント

救急隊は単に

「頭が痛い」

という情報だけで重症度を判断しているわけではありません。

頭痛の背景に危険な病気が隠れていないかを確認しています。


発症時刻

最も重要な情報の一つです。

例えば、

  • 14時10分に突然発症
  • 夕食中に急に発症

など、発症時刻が明確であるほど診断に役立ちます。

脳卒中治療では時間が極めて重要です。


発症状況

  • 安静時か
  • 運動中か
  • 入浴中か
  • 排便時か

なども重要です。

くも膜下出血は、

  • 排便時
  • 入浴時
  • 重い物を持った時

などに発症することがあります。


神経症状

頭痛以上に重要なのが神経症状です。

  • 麻痺
  • ろれつ障害
  • 感覚障害
  • 視野障害
  • 意識障害

があれば緊急性が高くなります。


バイタルサイン

  • 血圧
  • 脈拍
  • 呼吸
  • 酸素飽和度
  • 体温

なども確認します。

特に脳出血では高血圧を伴うことがあります。


FASTで脳卒中を見逃さない

脳卒中を疑った場合はFASTが有効です。

F(Face)

顔のゆがみ

笑顔を作ったときに左右差がある。


A(Arm)

腕の麻痺

両腕を前に出すと片方が下がる。


S(Speech)

言葉の障害

ろれつが回らない。

言葉が出ない。


T(Time)

時間

一つでも当てはまれば時間との勝負です。

迷わず119番してください。


高齢者の頭痛は特に注意

高齢者では典型的な症状が出ないことがあります。

例えば、

  • 軽い頭痛
  • めまい
  • ふらつき
  • 物忘れ

だけの場合もあります。


抗血栓薬服用者は要注意

以下の薬を服用している人は出血リスクが高くなります。

  • ワーファリン
  • DOAC
  • バイアスピリン
  • クロピドグレル

転倒後の頭痛は早めに受診しましょう。


子どもの頭痛で注意するサイン

子どもは症状を正確に説明できないことがあります。

以下の場合は受診を検討してください。

  • 高熱
  • 繰り返す嘔吐
  • けいれん
  • 呼びかけへの反応低下
  • 歩行異常
  • 元気がない

乳児では、

  • ミルクを飲まない
  • 異常に泣く
  • ぐったりする

なども重要なサインです。


妊娠中の頭痛は要注意

妊娠中の頭痛には、

妊娠高血圧症候群

が隠れていることがあります。


注意する症状

  • 強い頭痛
  • 視界がチカチカする
  • むくみ
  • 高血圧
  • 上腹部痛

放置すると母体と胎児の両方が危険になります。


CTとMRIの違い

頭痛で病院を受診すると、

CTやMRIを行うことがあります。


CT

X線を利用した検査です。

得意な病気

  • 脳出血
  • くも膜下出血
  • 頭部外傷

救急外来ではまずCTを行うことが一般的です。


MRI

磁気を利用した検査です。

得意な病気

  • 脳梗塞
  • 脳腫瘍
  • 慢性硬膜下血腫

CTで異常がない場合に追加されることがあります。


医療機関を受診する目安

当日受診した方がよい頭痛

  • いつもと違う頭痛
  • 初めて経験する頭痛
  • 徐々に悪化する頭痛
  • 50歳以降に発症した頭痛
  • めまいを伴う頭痛

外来受診を検討する頭痛

  • 市販薬が効かない
  • 頭痛薬を月10日以上使用している
  • 日常生活に支障がある
  • 頭痛頻度が増えている

頭痛でやってはいけないこと

我慢する

危険な頭痛を見逃す原因になります。


自分で運転する

脳卒中などの場合、運転中に症状が悪化する危険があります。


飲酒する

片頭痛や群発頭痛を悪化させます。


激しい運動

脳出血やくも膜下出血の場合は危険です。


鎮痛薬を飲み続ける

薬剤乱用頭痛の原因になります。


救急車が来るまでの応急手当

安静にする

静かな場所で横になります。


嘔吐への備え

誤嚥防止のため横向きにします。


意識確認

定期的に

  • 名前
  • 生年月日
  • 場所

を確認しましょう。


お薬手帳の準備

救急隊や医師へ重要な情報になります。


頭痛を予防する方法/応急手当(痛くなってしまったら)

ズキズキ痛む「片頭痛」の時は【血管を冷やす】

片頭痛は、脳の血管が急激に拡張して、周囲の神経に炎症が広がることで起こります。対処の正解は「冷やして血管を収縮させること」です。

痛みが始まったら、すぐにこめかみや首の後ろ(太い血管が通る場所)を冷却しましょう。外出先や夜間の急な発作には、手軽にピンポイントで冷やせる冷却シートをバッグや枕元に常備しておくのが一番確実です。

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(※冷却シートをおでこだけでなく「首の後ろ」に貼ると、脳へ行く血流が効率よく冷やされるため、痛みの軽減に効果的です)

ギューッと締め付けられる「緊張型頭痛」の時は【筋肉を温める】

日本人に最も多い緊張型頭痛は、デスクワークやスマホの長時間使用による「首や肩の筋肉のこり」が原因です。筋肉がこわばって血流が悪くなっているため、片頭痛とは逆に「温めて血行を良くすること」が正解です。

「いつもの肩こりから頭痛がしてきたな…」と感じたら、首・肩の全体をじんわり包み込んで温めるホットパックが手放せません。

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予防方法(頭痛を起こさないために)

1. 「自分の頭痛タイプ」を知り、正しく予防する

頭痛を根本から予防するためには、自分がどのタイプの頭痛持ちなのか、何が引き金(トリガー)になっているのかを正しく知ることが最大の近道です。

「市販の鎮痛薬がだんだん効かなくなってきた」「低気圧や天気の変化で頭が重くなる」という方は、一度頭痛の専門医が書いた解説書を読んでおくことを強くおすすめします。

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(※1万人以上の頭痛患者を救ってきた名医による本です。ネットの断片的な情報とは違い、低気圧頭痛(天気痛)への具体的なアプローチや、市販薬を飲みすぎることで逆に頭痛が reduce する「薬剤乱用頭痛」の防ぎ方などが一冊で網羅されており、手元にあるだけで安心感が違います)

2. 規則正しい生活と睡眠

寝不足はもちろんですが、実は「休日の寝だめ(寝すぎ)」も片頭痛の大敵です。副交感神経が優位になりすぎて血管が急激に拡張するためです。平日の休日も、できるだけ同じ時間に起きるリズムを意識しましょう。

3. パソコン・スマホ時の正しい姿勢

猫背やストレートネックは、緊張型頭痛の直接的な原因になります。1時間に1回は立ち上がり、肩甲骨を後ろに引くストレッチをして、首回りの血流をリセットしてください。

4. 頭痛ダイアリーの活用

「いつ、どんな天気(気圧)の時に、どのくらいの痛みが出たか」をメモしておきましょう。自分の頭痛のパターン(生理周期、特定の食べ物、週末のストレス解放など)が見えてくれば、痛みが来る前に先回りして予防行動がとれるようになります。


救急救命士から伝えたいこと

私は救急現場で多くの頭痛傷病者に対応してきました。

その中には、

「救急車を呼んで良かった」

という方もいれば、

「もっと早く受診していれば」

と思う方もいました。

頭痛の多くは命に関わりません。

しかし、

危険な頭痛は確実に存在します。

特に、

  • 突然の激しい頭痛
  • 麻痺
  • ろれつ障害
  • 意識障害
  • けいれん
  • 繰り返す嘔吐

がある場合は決して様子を見ないでください。

迷ったら相談する。

おかしいと思ったら受診する。

その行動が命を守ります。


よくある質問(FAQ)

Q1. 頭痛だけでも救急車を呼んでいいですか?

突然の激痛や神経症状を伴う場合は救急車を呼んでください。


Q2. 血圧が高いと頭痛になりますか?

軽度〜中等度の高血圧だけでは頭痛は起こりにくいですが、著しい高血圧では脳出血などの可能性があります。


Q3. 頭痛薬を飲むと治るのですが大丈夫ですか?

月に数回程度なら問題ありません。

ただし月10日以上使用している場合は薬剤乱用頭痛の可能性があります。


Q4. 頭を打った後の頭痛は危険ですか?

高齢者では慢性硬膜下血腫の可能性があります。

数週間後でも受診を検討してください。

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まとめ

頭痛の多くは命に関わりません。

しかし、

  • 突然の激しい頭痛
  • 麻痺
  • ろれつ障害
  • 意識障害
  • けいれん
  • 繰り返す嘔吐

を伴う場合は、脳卒中やくも膜下出血など命に関わる病気が隠れている可能性があります。

特に覚えておいていただきたいのは、

「いつもと違う頭痛は危険な頭痛」

ということです。

少しでも異常を感じたら、迷わず119番通報または#7119へ相談してください。

あなたや大切な家族の命を守るために、正しい知識を身につけておきましょう。

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参考文献

日本頭痛学会『頭痛診療ガイドライン2021』
国際頭痛分類第3版(ICHD-3)
日本脳卒中学会『脳卒中治療ガイドライン』
・総務省消防庁 救急車利用マニュアル