救急救命士国家試験では、神経系の知識は頻出分野であり、現場対応にも直結する重要項目です。この記事では、神経系の基礎から、よく出る疾患、評価法、現場での対応ポイント、試験対策までを徹底的に解説します。効率的な学習と合格への一歩をサポートします!


1. 神経系の基礎知識

神経系の分類と構造

神経系は以下の2つに大別されます。

🔹 中枢神経系(CNS: Central Nervous System)

  • 構成:脳(大脳、小脳、脳幹)と脊髄
  • 役割:情報処理と指令の中枢
部位役割
大脳運動・感覚・思考・記憶の中枢
小脳運動の協調・平衡感覚
脳幹(中脳・橋・延髄)呼吸・循環など生命維持機能
脊髄感覚と運動の伝達経路

🔹 末梢神経系(PNS: Peripheral Nervous System)

  • 体性神経系:運動・感覚制御
  • 自律神経系:交感神経と副交感神経による内臓の調節

2. 国家試験で頻出する疾患

(1)脳卒中(Stroke)

🔸 分類

  • 虚血性脳卒中:血栓や塞栓による脳血流の停止
  • 出血性脳卒中:脳内出血やくも膜下出血

🔸 主な症状

  • 半身麻痺
  • 構音障害
  • 意識障害

🔸 FAST評価(簡易スクリーニング)

項目内容
F(Face)顔面の左右差、麻痺
A(Arms)両腕を上げて片腕が下がる
S(Speech)言葉が不明瞭
T(Time)発症時間の確認・迅速搬送

(2)痙攣発作

  • 原因:てんかん、高熱、低血糖、中毒など
  • 対応:頭部保護、酸素投与、発作時間の記録

(3)意識障害

  • GCS(Glasgow Coma Scale):開眼、言語、運動反応で評価(3〜15点)
  • JCS(Japan Coma Scale):日本独自の意識レベル評価法(1〜300)

※ELVOスクリーンも参照してください→https://emergency-hirosaki.com/case-reports-papers/%E8%84%B3%E5%8D%92%E4%B8%AD%E3%80%806%E3%81%A4%E3%81%AE%E8%A6%B3%E5%AF%9F%E9%A0%85%E7%9B%AE/


3. 現場での観察ポイント

✅ 意識レベルの評価

  • GCSスコア8以下では気道確保が必要

✅ 瞳孔反射の確認

  • 瞳孔不同、対光反射の消失 → 脳圧亢進や脳ヘルニアを疑う

✅ 運動・感覚の確認

  • 片側麻痺・感覚異常 → 脳卒中の可能性

4. 救急対応と処置のポイント

状態初期対応備考
脳卒中疑い血糖測定→FAST評価→搬送低血糖との鑑別重要
痙攣発作安全確保、酸素投与、発作記録発作後は回復体位へ
意識障害ABC評価、原因検索外傷・中毒・代謝異常も考慮

5. 国家試験対策問題【演習】

問題1:脳卒中患者においてFAST評価で確認する項目に該当しないものはどれか?

  • A: 顔面麻痺
  • B: 言語障害
  • C: 血圧測定
  • D: 腕の麻痺

正解:C

問題2:意識レベル評価でGCSスコアが最低となる状態はどれか?

  • A: 開眼なし、発語なし、自発運動なし
  • B: 開眼あり、発語なし、自発運動なし

正解:A


6. 試験準備のポイント

  • 出題基準の確認:厚生労働省公表の「救急救命士国家試験出題基準」をチェック
  • 過去問演習:繰り返し取り組み、パターンを理解
  • 実践トレーニング:シミュレーションで現場力アップ

✅ まとめ

神経系は国家試験における最重要テーマのひとつです。評価法や緊急対応をしっかり学習することで、試験対策だけでなく、現場力の向上にもつながります。

この記事が皆さんの学習に役立てば幸いです。他の分野の記事も順次アップ予定ですので、ぜひブックマーク・シェアをお願いします!

By TETSU十郎

https://gravatar.com/patroldifferent1a0b6e1b63