こんにちは!今回は、救急救命士の学びの中でも重要な「感覚系」について解説します。感覚系は、傷病者の状態を評価するうえで欠かせない知識です。この記事では、感覚系の基本構造から救急現場での実践的な活用法までをわかりやすくご紹介します!
感覚系とは?
まず、「感覚系」とは何でしょうか?
簡単に言うと、私たちが外界や体内の情報を感じ取り、それを脳に伝えるシステムです。感覚系には以下の5つが含まれます。
- 視覚(目で見る)
- 聴覚(耳で聞く)
- 嗅覚(鼻で匂いを感じる)
- 味覚(舌で味を感じる)
- 触覚(皮膚で触れたものを感じる)
これらの感覚は、傷病者の異常を発見する手がかりになります。例えば、「視力が低下している」「片側がしびれている」といった症状は、病気やケガのサインかもしれません。
感覚系の仕組みを簡単に解説!
1. 視覚
- 視覚は、目から入った光が網膜で電気信号に変換され、それが視神経を通じて脳に伝わることで成り立っています。
- 救急現場では、瞳孔反射や視力・視野異常を確認することで、頭部外傷や脳卒中などの兆候を発見できます。
2. 聴覚
- 聴覚は、耳が音波を受け取り、それを内耳(蝸牛)で電気信号に変換し、脳に伝える仕組みです。
- 難聴や耳鳴りは、中耳炎や頭部外傷などの可能性があります。
3. 嗅覚
- 嗅覚は鼻腔内の嗅上皮が匂い分子をキャッチし、それが嗅神経を通じて脳に伝わることで成立します。
- 頭部外傷後に嗅覚喪失が見られる場合、中枢神経へのダメージが疑われます。
4. 味覚
- 味蕾(舌上の小さな器官)が味刺激を受け取り、それが顔面神経や舌咽神経を介して脳に伝わります。
- 味覚異常は顔面神経麻痺や中枢神経疾患と関連することがあります。
5. 触覚
- 触覚は皮膚上にある受容器が刺激(圧力、温度、痛みなど)を感じ取り、それを脊髄や脳に伝える仕組みです。
- 麻痺やしびれは末梢神経障害や脊髄損傷の可能性があります。
救急現場で役立つ感覚系チェックポイント
救急現場では、傷病者の状態を迅速かつ正確に評価することが求められます。以下は感覚系評価の具体的なポイントです。
1. 初期評価
- 患者さんの意識レベル(JCSまたはGCS)を確認します。
- 瞳孔径と対光反射を見ることで、中枢神経への影響を評価します。
- 四肢の運動能力と感覚異常(麻痺やしびれ)もチェックしましょう。
2. 二次評価
- 視力低下や複視(物が二重に見える)などの視覚異常。
- 難聴、耳鳴りなど聴覚異常。
- 嗅覚喪失や味覚障害。
- 痛みやしびれなど触覚異常。
3. 資器材による補助評価
- 血糖値測定:低血糖による意識障害との鑑別。
- 酸素飽和度測定:低酸素血症による意識障害との鑑別。
ケーススタディ:感覚系異常への対応例
ケース1: 「転倒後に視界がぼやける」
状況:
傷病者が転倒後、「物がよく見えない」と訴えています。
評価:
- 瞳孔反射と眼球運動を確認。
- 頭部外傷による視神経損傷または脳出血を疑います。
処置:
- 安静保持。
- 必要に応じて酸素投与。
ケース2: 「突然右半身がしびれる」
状況:
高齢傷病者さんが「右半身が動かない」と訴えています。
評価:
- FASTスケール(顔・腕・スピーチ・時間)で脳卒中疑いを確認。
- 血糖値測定で低血糖症状との鑑別。(くも膜下出血を強く疑う場合は適応外)
- ELVOスクリーンも使用して鑑別
処置:
- 緊急搬送(緊急安静搬送)し、病院到着後すぐにCT検査へ。
- 症状進行防止のため安静保持と酸素投与。
まとめ:感覚系知識は救命活動の基礎!
感覚系について理解することは、救急現場で傷病者の状態変化に気づき、迅速な対応につながります。特に意識障害や麻痺など、中枢神経疾患との関連性が強い症状では、感覚系評価が非常に重要です。
これから救急救命士として活躍したい方も、現役救命士としてスキルアップしたい方も、この機会にぜひ感覚系について学び直してみてください!
あなたもプロフェッショナルな救命士へ!
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