目の前で突然人が倒れたり、自分が一瞬意識を失ったとき、適切な対応が必要です。
失神 救急車を呼ぶべき状況です。
「すぐ意識が戻ったから大丈夫だろうか」
「救急車を呼ぶほどではないのでは?」
と迷う方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、失神は「意識が戻ったから大丈夫」とは言い切れません。
失神には、長時間の立位や強い緊張で起こる反射性失神があり、予後は良いです。
ですが危険な病気で意識を失うこともあり、命に関わる場合は失神 救急車を呼ぶべきです。
特に、
- 胸痛や強い動悸を伴う
- 呼吸が苦しい
- 激しい頭痛がある
- 運動中に突然倒れた
- 意識が十分に戻らない
- 顔や手足の麻痺、ろれつが回らないなどの症状がある
といった場合は、単なる「立ちくらみ」と考えず、緊急性の高い病気を疑う必要があります。
この記事では、失神 救急車 に関する知識も含め、失神が起こる仕組みを解説します。 また、救急車を呼ぶべき危険なサインや受診の目安、応急手当を解説します。
1. 【結論】失神で救急車を呼ぶべき?判断基準をチェック
失神した人の意識が戻った場合でも、失神の前後にどのような症状があったのか、どのような状況で倒れたのかが重要です。
次のような症状・状況がある場合は、意識が戻っていても119番通報を検討してください。
迷わず119番通報を考える危険なサイン
- 胸の痛み・圧迫感がある
- 突然の激しい背中の痛みがある
- 強い動悸の直後に意識を失った
- 呼吸が苦しい、強い息切れがある
- 突然の激しい頭痛を伴う
- 顔や手足の麻痺・しびれ、ろれつが回らない、言葉が出にくいなどの症状がある
- 激しい腹痛や腰・背中の痛みがある
- 吐血や黒い便など、消化管出血を疑う症状がある
- 運動中に突然意識を失った
- 前触れなく突然倒れた
- 意識が十分に戻らない、反応が鈍い、会話がかみ合わない
- 失神によって頭などを強く打ち、大きなけがをしている
- 心臓病の既往がある人が失神した
これらの背景には、致死性不整脈、急性冠症候群、肺塞栓症、大動脈解離、重篤な出血などが隠れている可能性があります。
また、麻痺や言語障害などの神経症状を伴う場合は、脳卒中なども考える必要があります。
「数十秒で意識が戻った」という事実だけでは、安全な失神かどうかを判断できません。
意識が戻ったかどうかだけでなく、「失神した状況」と「失神前後の症状」を確認することが重要です。
救急車を呼ぶほどではなくても、医療機関を受診した方がよいケース
明らかな危険なサインがなく、現在は普段どおりに戻っていても、次のような場合は医療機関への相談・受診を検討してください。
- 初めて失神した
- 原因がはっきりしない
- 失神を繰り返している
- 失神前に動悸や胸部の違和感があった
- 薬を服用しており、血圧低下などとの関連が考えられる
- 脱水や食事摂取不足などが考えられる
- 失神によって転倒し、頭部などを打った
特に原因が分からない失神を「いつもの立ちくらみだろう」と自己判断するのは避けましょう。
2. 失神(気絶)とは?なぜ意識を失うのか
「失神」と「意識を失うこと」は、医学的には完全に同じ意味ではありません。
失神とは、一般的に脳全体への血流が一時的に低下することによって起こる、一過性の意識消失です。
典型的には突然意識を失って倒れますが、脳への血流が回復すると比較的速やかに意識が戻ります。
一方、意識を失う原因には、
- てんかん発作
- 低血糖
- 薬物・アルコールなどによる中毒
- 頭部外傷
- 脳卒中
- 心停止
などもあります。
そのため、「倒れて意識を失った=すべて失神」ではありません。
一般の方がその場で原因を正確に判断することは難しいため、まずは反応と呼吸を確認し、危険な状態を見逃さないことが重要です。
3. 失神が起こる仕組み|解剖→生理→病態で理解する
失神を理解するには、「なぜ脳への血流が低下すると意識を失うのか」を知ると分かりやすくなります。
【解剖】意識を保つために重要な脳・心臓・血管
私たちが意識を保つためには、脳に酸素とブドウ糖を含んだ血液が継続的に送られることが必要です。
そのために重要なのが、
- 脳
- 心臓
- 血管
- 自律神経
です。
心臓がポンプとして血液を送り出し、血管を通って脳へ血液が届けられます。
さらに自律神経が心拍数や血管の収縮・拡張を調節することで、姿勢が変化しても脳への血流が大きく低下しないようにしています。
【生理】立ち上がっても失神しないのはなぜ?
人が寝た状態から立ち上がると、重力の影響によって血液の一部が下半身側へ移動します。
そのままでは心臓へ戻る血液が減り、血圧が低下してしまいます。
そこで正常な身体では、自律神経などが働いて、
血管を収縮させる
↓
心拍数などを調節する
↓
血圧を維持する
↓
脳への血流を保つ
という反応が起こります。
私たちが立ち上がるたびに意識を失わないのは、この血圧調節機能が働いているためです。
【病態】脳への血流が一時的に低下すると失神する
何らかの原因でこの仕組みが崩れると、脳全体への血流が一時的に不足します。
例えば、
血圧が急激に低下する
↓
心臓から送り出される血液が減る
↓
脳への血流が低下する
↓
脳の働きを維持できなくなる
↓
意識を失う
という流れです。
これが失神の基本的なメカニズムです。
倒れて横になることで重力の影響が小さくなり、脳への血流が回復すると、比較的速やかに意識が戻ることがあります。
ただし、「すぐ意識が戻った」という経過だけで原因が安全だと判断することはできません。
4. 失神の主な原因
失神は原因によって大きく、
- 反射性失神
- 起立性低血圧による失神
- 心原性失神
などに分類されます。
この中でも特に見逃したくないのが心原性失神です。
① 反射性失神
比較的よくみられる失神です。
代表的なものが血管迷走神経性失神で、
- 強い痛み
- 恐怖や緊張
- 採血
- 長時間立ち続ける
- 暑い環境
などをきっかけに起こることがあります。
自律神経の反射によって心拍数が低下したり血管が拡張したりすると、血圧が低下して脳への血流が不足し、失神します。
失神する前に、
- 気分が悪い
- 冷や汗が出る
- 吐き気がする
- 顔色が悪くなる
- 視界が暗くなる
などの前兆を感じることもあります。
ただし、このような前兆があったというだけで「安全な失神」と判断することはできません。
② 起立性低血圧による失神
寝た状態や座った状態から立ち上がったときなどに血圧が低下し、脳への血流が不足することで起こります。
背景には、
- 脱水
- 出血
- 加齢
- 自律神経の障害
- 血圧を下げる薬などの影響
が関係することがあります。
「立ち上がったらクラッとした」という状況だけで原因を決めつけず、繰り返す場合や症状が強い場合は医療機関で原因を確認することが大切です。
③ 心原性失神|特に注意が必要
心原性失神は、不整脈や心臓の構造的な病気などによって、心臓から脳へ十分な血液を送り出せなくなることで起こる失神です。
原因として、
- 頻脈性不整脈
- 徐脈性不整脈
- 大動脈弁狭窄症
- 心筋症
- その他の重い心疾患
などがあります。
心原性失神では、
- 運動中に起こった
- 動悸に続いて意識を失った
- 前触れなく突然倒れた
- 心疾患の既往がある
といった状況が重要な手がかりになります。
ただし、これらの特徴だけで一般の方が原因を診断することはできません。
心原性失神は生命に関わる不整脈などが原因となることがあるため、疑われる状況では速やかな医療評価が必要です。
「失神」以外の危険な病気にも注意
突然の意識消失では、典型的な失神だけでなく、
- 肺塞栓症
- 大動脈解離・大動脈瘤破裂
- 重篤な消化管出血などによる循環不全
- くも膜下出血などの脳血管障害
- てんかん発作
- 低血糖
- 中毒
- 心停止
なども鑑別する必要があります。
特に、胸痛・呼吸困難・突然の激しい頭痛・麻痺・大量出血を疑う症状などを伴う場合は、「ただの失神」と考えず119番通報を検討してください。

5. 失神したら何科を受診する?医療機関を受診する目安
失神の原因は、反射性失神や起立性低血圧だけでなく、不整脈などの心疾患、出血、薬剤の影響などさまざまです。
そのため、「失神したら必ず循環器内科」と決めつけるのではなく、失神した状況や症状に応じて受診先を判断することが大切です。
原因が分からない場合
初めて失神した場合や原因が分からない場合は、内科や救急外来などで相談することを検討してください。
医療機関では、
- 失神する直前に何をしていたか
- 前兆があったか
- どのくらい意識を失っていたか
- 倒れている間の様子
- 意識が戻った後の状態
- 心臓病などの既往歴
- 服用している薬
などを確認し、必要に応じて心電図や血液検査などが行われます。
本人が倒れている間の状況を覚えていないことも多いため、失神を目撃した人からの情報が診断の重要な手がかりになります。
循環器内科への受診を考えるケース
次のような場合は、不整脈など心臓が原因となっている可能性を評価するため、循環器内科で詳しい検査が行われることがあります。
- 運動中に失神した
- 動悸に続いて失神した
- 前触れなく突然倒れた
- 心臓病の既往がある
- 失神を繰り返している
必要に応じて、通常の心電図だけでなく、長時間心電図(ホルター心電図など)や心臓超音波検査などが検討されます。
麻痺や言葉の異常などがある場合
失神や意識消失の前後に、
- 顔や手足の麻痺・しびれ
- ろれつが回らない
- 言葉が出ない
- 突然の激しい頭痛
- 視野や見え方の異常
などがある場合は、脳卒中などを疑う必要があります。
このような症状が現在も続いている場合は、自分で診療科を探して受診するのではなく、119番通報を検討してください。
6. 失神した人に「やってはいけない」対応
目の前で人が倒れると、慌てて起こしたり水を飲ませたりしたくなるかもしれません。
しかし、意識状態が十分に回復していない人への対応には注意が必要です。
無理に立たせたり歩かせたりしない
意識が戻った直後でも、原因となった血圧低下などが十分に改善していない可能性があります。
すぐに立ち上がらせると再び意識を失い、転倒して頭部などを負傷する危険があります。
意識が戻ったからといって、すぐに一人で歩かせないようにしてください。
意識がはっきりしない人に飲食させない
呼びかけへの反応が鈍い、会話がかみ合わないなど、意識が十分に回復していない場合は、無理に水や食べ物を与えないでください。
飲み込む機能が十分に働いていないと、飲食物が気管に入る誤嚥につながる可能性があります。
激しく揺さぶらない
反応を確認するときは、肩を軽くたたきながら大きな声で呼びかけます。
激しく身体を揺さぶる必要はありません。
転倒によって頭や首を負傷している可能性もあるため、必要以上に身体を動かさないようにします。
「すぐ意識が戻ったから大丈夫」と決めつけない
これが非常に重要です。
失神では比較的短時間で意識が回復することがありますが、意識が戻ることと、原因となった病気が安全であることは別問題です。
失神前後の症状や倒れた状況を確認し、危険なサインがある場合は119番通報を検討してください。
7. 目の前で人が倒れたときの正しい応急手当
突然人が倒れた場合、その場で「失神なのか、心停止なのか」を最初から正確に判断する必要はありません。
まず重要なのは、反応と呼吸を確認して、心停止の可能性を見逃さないことです。
ステップ1:周囲の安全を確認する
倒れている人に近づく前に、周囲が安全か確認します。
道路上、階段付近、火災現場など、救助する側にも危険がある場合は注意してください。
ステップ2:反応を確認する
傷病者の肩を軽くたたきながら、
「大丈夫ですか?」
などと大きな声で呼びかけます。
反応がない、または反応があるか判断に迷う場合は、助けを呼びます。
ステップ3:119番通報とAEDを依頼する
周囲に人がいる場合は、
- 119番通報
- AEDを持ってきてもらう
ことを具体的に依頼します。
一人の場合も、可能であれば携帯電話のスピーカー機能などを利用して119番通報し、通信指令員の指示に従ってください。
ステップ4:普段どおりの呼吸があるか確認する
胸や腹部の動きを見て、10秒以内で普段どおりの呼吸をしているか確認します。
ここで注意したいのが、心停止直後などにみられる死戦期呼吸です。
死戦期呼吸では、
- しゃくり上げるような呼吸
- ときどき「ハッ」と息をする
- 不規則で途切れ途切れの呼吸
などがみられることがあります。
これは正常な呼吸ではありません。
呼吸がない場合だけでなく、「普段どおりの呼吸ではない」「正常な呼吸か判断できない」という場合も、心停止と判断して胸骨圧迫を開始します。
ステップ5:普段どおりの呼吸がなければ胸骨圧迫を開始する
普段どおりの呼吸がない、または判断に迷う場合は、ただちに胸骨圧迫を開始します。
成人では胸の真ん中(胸骨の下半分)を、
- 約5cm沈む強さ
- 1分間に100〜120回
- 圧迫するたびに胸を十分に戻す
- できるだけ中断しない
ことを意識して圧迫します。
AEDが到着したら電源を入れ、音声メッセージに従って使用してください。
倒れた原因が「失神」だと思っていても、反応がなく普段どおりの呼吸が確認できなければ、心停止の可能性があります。
原因を考えるより先に、胸骨圧迫とAEDを開始することが重要です。
ステップ6:普段どおりの呼吸がある場合
普段どおりの呼吸が確認できる場合は、救急隊が到着するまで傷病者の状態を注意深く観察します。
反応がないものの普段どおりの呼吸があり、嘔吐などによる窒息の危険がある場合には、状況に応じて**回復体位(横向きの姿勢)**をとらせます。
ただし、転倒によって頭部・首・背中などを負傷している可能性がある場合は、不必要に身体を動かさないよう注意してください。
また、呼吸は途中で変化することがあります。
「さっき呼吸していたから大丈夫」と考えず、救急隊が到着するまで反応や呼吸の状態を継続して観察してください。
状態が悪化して普段どおりの呼吸がなくなった場合は、ただちに胸骨圧迫を開始します。
8. 救急隊が到着するまでに確認しておきたいこと
失神した本人は、意識を失っていた間のことを覚えていない場合があります。
そのため、周囲にいた人が確認した情報は、救急隊や医療機関が原因を判断するうえで重要です。
可能であれば、次のことを確認しておきましょう。
- 何をしているときに倒れたか
- 立っていた・座っていた・横になっていたなど、失神時の姿勢
- 運動中だったか
- 胸痛・動悸・息苦しさ・頭痛などがなかったか
- 気分不良、冷や汗、吐き気などの前兆があったか
- 突然倒れたのか、徐々に崩れるように倒れたのか
- 意識を失っていた時間
- 倒れている間に身体のけいれんがなかったか
- 舌をかんでいないか
- 意識が戻った後、すぐ普段どおりになったか
- 転倒時に頭などを打っていないか
- 心臓病などの既往歴
- 服用している薬
特に、「倒れる瞬間を見ていた人」がいる場合は、その人の情報が重要です。
可能であれば救急隊が到着するまでその場に残り、倒れたときの状況を伝えてください。
9. 失神を繰り返さないためにできること
失神の予防方法は、原因によって異なります。
特に、原因が分からないまま失神を繰り返している場合や、初めて失神した場合は、「体質だから」「立ちくらみだろう」と自己判断せず、まず医療機関で原因を確認することが大切です。
そのうえで、反射性失神や起立性低血圧などと診断されている場合には、医師の指示に従いながら日常生活での対策を行います。
脱水を避ける
脱水によって体内を循環する血液量が減少すると、血圧が低下しやすくなります。
特に、
- 暑い環境
- 発熱
- 下痢や嘔吐
- 激しい運動
- 長時間の入浴
などでは、脱水に注意が必要です。
水分制限を指示されていない人では、脱水を避けるために適切な水分摂取を心がけましょう。
ただし、心不全や腎臓病などで水分・塩分の制限を受けている方は、自己判断で摂取量を増やさず、主治医の指示に従ってください。
急に立ち上がらない
起立性低血圧がある人では、寝た状態や座った状態から急に立ち上がることで血圧が低下し、めまいや失神を起こすことがあります。
特に、
- 朝起きた直後
- 長時間座った後
- 入浴後
- 体調が悪いとき
などは注意が必要です。
ベッドから起きるときは、いきなり立ち上がらず、
横になった状態
↓
ゆっくり身体を起こす
↓
ベッドの端などに座る
↓
体調を確認してから立つ
というように、段階的に姿勢を変える方法があります。
失神の前兆を感じたら、すぐに安全な姿勢をとる
反射性失神では、意識を失う前に、
- 気分が悪くなる
- 冷や汗が出る
- 吐き気がする
- 視界が暗くなる
- 耳鳴りがする
- めまいやふらつきを感じる
などの前兆が現れることがあります。
このような症状を感じた場合は、無理に立ち続けないことが重要です。
転倒して頭を打つなどの二次的なけがを防ぐため、安全な場所で横になるなど、転倒しにくい姿勢をとりましょう。
身体的対抗圧操作
反射性失神で前兆を自覚できる人では、医療機関から身体的対抗圧操作を指導されることがあります。
例えば、
- 脚を交差させて下半身の筋肉に力を入れる
- 両手を組み、左右に強く引っ張る
- 手を強く握る
など、筋肉に力を入れる方法です。
筋肉を収縮させることで血圧低下を抑え、失神を防いだり遅らせたりすることを目的とします。
ただし、すでに意識が遠のいている場合や転倒しそうな場合は、この動作を続けることよりも、まず安全な場所で横になるなどして転倒を防ぐことを優先してください。
また、失神の原因によって適切な対応は異なるため、繰り返す場合は医療機関で原因を確認しましょう。
失神・動悸が気になる方に関連するアイテム
失神や立ちくらみの原因によっては、日常生活での心電図記録や、 起立時の血圧低下への対策が役立つ場合があります。
ただし、これらの商品は病気を自己診断するためのものではありません。 失神を繰り返す場合や、胸痛・息苦しさ・強い動悸などを伴う場合は、 測定結果だけで判断せず医療機関を受診してください。
① オムロン 携帯型心電計 HCG-8060T
気になったときに心電図を記録できる携帯型心電計です。 日常生活の中で動悸や脈の乱れなどを感じた際に心電図を記録し、 データを確認できます。
症状が一時的で、医療機関を受診したときには治まっているケースもあります。 症状が出たタイミングの心電図を残しておくことで、 受診時に医師へ状況を伝える際の参考になる可能性があります。
② Checkme Lite ADV(チェックミーライト)
心電図やSpO2(動脈血酸素飽和度)などを測定できる携帯型の医療機器です。 動悸などの症状があるときの記録に活用できます。
記録した心電図は、医療機関を受診した際に医師へ症状の状況を伝えるための 参考情報として活用できます。
③ 医療用弾性ストッキング・着圧ソックス
起立性低血圧では、立ち上がった際に下半身へ血液がたまることで、 めまい・立ちくらみ・失神などが起こることがあります。
症例によっては、下肢への血液の貯留を抑える目的で 弾性ストッキングなどが用いられる場合があります。
携帯型心電計などによる測定結果は、医師による診断に代わるものではありません。 失神、胸痛、呼吸困難、強い動悸、意識障害などの症状がある場合は、 測定結果にかかわらず適切な医療機関への受診や救急要請を検討してください。
10. 失神と「けいれん」はどう違う?
突然倒れて身体が動いていると、
「てんかん発作では?」
と思うかもしれません。
しかし、失神でも一時的にけいれんのような動きがみられることがあります。
そのため、身体が動いていたという情報だけで「失神」「てんかん」と判断することは困難です。
判断の手がかりとして、
- 倒れる前の状況
- 意識を失っていた時間
- 身体の動き方
- 舌をかんでいないか
- 意識が戻った後の状態
- 失禁の有無
- 過去に同様の発作があったか
などが確認されます。
特に、意識が戻った後も長時間ぼんやりしている、会話がかみ合わないなどの場合は、てんかん発作など失神以外の原因も考える必要があります。
一般の方がその場で正確に見分けることは難しいため、「けいれんしていたから失神ではない」「すぐ目を覚ましたからてんかんではない」と自己判断しないことが大切です。
11. 失神と心停止を見分けられないときは?
目の前で突然人が倒れた場合、最も見逃してはいけないのが心停止です。
心停止直後には、けいれんのような動きをしたり、しゃくり上げるような死戦期呼吸がみられたりすることがあります。
そのため、
「けいれんしているから心臓は動いている」
「息をしているように見えるから心停止ではない」
とは限りません。
倒れている人に、
反応がない
+
普段どおりの呼吸がない、または正常な呼吸か判断できない
場合は、心停止と判断して胸骨圧迫を開始します。
AEDがあれば、すぐに使用してください。
AEDは電気ショックが必要かどうかを機器が解析して判断します。
「失神か心停止か」をその場で診断することよりも、反応と呼吸を確認し、心停止の可能性があれば速やかに心肺蘇生を開始することが重要です。
12. 判断に迷ったときはどうすればいい?
「意識は戻ったけれど、本当に救急車を呼んでいいのだろうか」
と判断に迷うこともあるでしょう。
この記事で紹介した危険なサインがある場合や、意識が十分に戻らない場合、普段どおりの呼吸が確認できない場合などは、119番通報を優先してください。
一方、現在は意識がはっきりしており、緊急性が高い症状がなく、「救急車を呼ぶべきか」「今すぐ病院へ行くべきか」判断に迷う場合には、地域によっては**救急安心センター事業(♯7119)**を利用できます。
♯7119では、急な病気やけがについて、救急車を呼ぶ必要があるか、すぐに医療機関を受診する必要があるかなどを相談できます。
ただし、♯7119はすべての地域で利用できるわけではありません。
また、明らかに緊急性が高い場合は、♯7119への相談を挟まず119番通報してください。
記事のまとめ

失神とは、脳全体への血流が一時的に低下することで起こる、一過性の意識消失です。
反射性失神や起立性低血圧など比較的予後の良い原因もありますが、危険な不整脈などの心疾患が原因となることもあります。
また、突然の意識消失では、失神だけでなく、肺塞栓症、大動脈解離、重篤な出血、てんかん発作、低血糖、脳血管障害、心停止なども考える必要があります。
特に、
- 胸痛や突然の激しい背中の痛み
- 強い動悸
- 呼吸困難
- 突然の激しい頭痛
- 麻痺や言葉の異常
- 運動中の失神
- 前触れのない突然の意識消失
- 意識が十分に戻らない
などがある場合は、「意識が戻ったから大丈夫」と判断せず、119番通報を検討してください。
そして、目の前で人が突然倒れた場合に最も重要なのは、最初から原因を診断することではありません。
反応を確認する
↓
119番通報・AEDを手配する
↓
普段どおりの呼吸を確認する
↓
普段どおりの呼吸がない、または判断に迷う
↓
胸骨圧迫を開始しAEDを使用する
という基本的な対応が重要です。
失神は、比較的予後の良い原因から生命に関わる病気まで、さまざまな原因で起こります。
「気を失ったけれど、すぐに目を覚ましたから大丈夫」と決めつけず、失神した状況や前後の症状を確認し、適切な救急要請や医療機関の受診につなげましょう。
参考情報
この記事を作成するにあたり、以下の公的機関・医学会等の情報を参考にしています。
- 日本蘇生協議会(JRC)「JRC蘇生ガイドライン2025」
- 日本循環器学会・日本不整脈心電学会「不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン」
- 総務省消防庁「救急安心センター事業(♯7119)」
- 厚生労働省「上手な医療のかかり方」
失神・動悸が気になる方に関連するアイテム
失神や立ちくらみの原因によっては、日常生活での心電図記録や、 起立時の血圧低下への対策が役立つ場合があります。
ただし、これらの商品は病気を自己診断するためのものではありません。 失神を繰り返す場合や、胸痛・息苦しさ・強い動悸などを伴う場合は、 測定結果だけで判断せず医療機関を受診してください。
① オムロン 携帯型心電計 HCG-8060T
気になったときに心電図を記録できる携帯型心電計です。 日常生活の中で動悸や脈の乱れなどを感じた際に心電図を記録し、 データを確認できます。
症状が一時的で、医療機関を受診したときには治まっているケースもあります。 症状が出たタイミングの心電図を残しておくことで、 受診時に医師へ状況を伝える際の参考になる可能性があります。
② Checkme Lite ADV(チェックミーライト)
心電図やSpO2(動脈血酸素飽和度)などを測定できる携帯型の医療機器です。 動悸などの症状があるときの記録に活用できます。
記録した心電図は、医療機関を受診した際に医師へ症状の状況を伝えるための 参考情報として活用できます。
③ 医療用弾性ストッキング・着圧ソックス
起立性低血圧では、立ち上がった際に下半身へ血液がたまることで、 めまい・立ちくらみ・失神などが起こることがあります。
症例によっては、下肢への血液の貯留を抑える目的で 弾性ストッキングなどが用いられる場合があります。
携帯型心電計などによる測定結果は、医師による診断に代わるものではありません。 失神、胸痛、呼吸困難、強い動悸、意識障害などの症状がある場合は、 測定結果にかかわらず適切な医療機関への受診や救急要請を検討してください。

