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Ⅰ.病気は“突然”ではなく“積み重ね”で起きる

多くの人は、病気を「ある日突然起きた事件」のように捉えます。
しかし医学の視点では、疾患は以下のような 連続的プロセス の結果です。
- 原因が積み重なる
- 身体の調整力(ホメオスタシス)が限界に近づく
- 発症のきっかけが加わる
- 機能が破綻する(=疾患が成立)
- 病態が進行する
- 増悪して重症化する
救急現場の多くは、この「④〜⑥の段階」に遭遇します。
しかし国家試験では ①〜③の理解 が問われるため、両方をつなげて理解する必要があります。
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Ⅱ.疾患の原因(内因と外因)
病気の原因は、大きく 内因(体の中) と 外因(体の外) に分かれます。
この分類は国家試験の基本であり、一般の人にも分かりやすい枠組みです。
◆ 1. 内因 ― 身体そのものが持つ性質が病気を起こす
内因は、患者自身の“体質・年齢・構造・機能”が原因になるタイプです。
◎(1)遺伝的要因
遺伝子は「体の設計図」。
先天的に弱い部分があると、特定の病気が起こりやすくなります。
例:
- QT延長症候群
- 家族性高コレステロール血症
- 遺伝性の糖尿病体質
一般向けの例え:
→ 生まれつき“壊れやすいパーツ”があるイメージ。
国家試験POINT
→ 若年の突然死には遺伝性疾患の可能性あり。
◎(2)加齢(老化)
年齢は、全ての疾患の最大のリスク因子です。
老化のメカニズム
- 細胞の機能低下
- 修復スピードが遅くなる
- 免疫力が低下
- 血管が硬くなる
結果として起こりやすくなる病気
- 心不全
- 認知症
- 動脈硬化
- 高血圧
- 骨疾患
一般的には「年のせい」と片付けられますが、実際には細胞レベルでの機能低下が関わっています。
◎(3)性別
男性・女性の身体構造とホルモンは大きく異なるため、疾病傾向も違います。
例:
- 男性:心筋梗塞が若いうちから多い
- 女性:自己免疫疾患が多い
- 女性:更年期後に動脈硬化リスクが急上昇
国家試験POINT
→ 性差による病態の違いが狙われる。
◎(4)体質(免疫・アレルギー)
同じ花粉の量でも「花粉症になる人」「全然平気な人」がいるのは体質の違い。
例:
- 喘息
- 花粉症
- 食物アレルギー
- アトピー
- 自己免疫疾患
救急現場で問診に「アレルギーはありますか?」と必ず聞く理由はここにあります。
◆ 2. 外因 ― 外からの刺激が病気を作る
外因は“環境から受ける影響”です。
◎(1)物理的因子
- 外傷
- 熱傷
- 凍傷
- 放射線
- 騒音
- 圧力
熱中症や低体温は「環境と身体のバランスが崩れた疾患」の典型。
◎(2)化学的因子
- 一酸化炭素
- 農薬
- 薬物
- シンナー
- アルコール
- 重金属
ポイント:
→ 毒性は “物質×量×時間” で決まる。
◎(3)生物学的因子
(感染症の詳細は今回扱わないが、「外因」に分類される点は重要)
◎(4)生活習慣・心理・社会因子
現代人の疾患の多くがここに分類される。
- ストレス
- 睡眠不足
- 運動不足
- 過栄養
- 喫煙
- アルコール
- 孤独
- 過労
一般向けに言えば、毎日の積み重ねが体を壊す ということ。
Ⅲ.疾患の発症 ― 身体のバランスが崩れる瞬間
疾患は原因があっても「発症しないこと」もあります。
発症するには トリガー(誘因) が必要。
◆ 1. 発症のメカニズムを分かりやすく
人体は「ホメオスタシス(恒常性)」という自動調整機能を持ちます。
◎ホメオスタシスを保つもの
- 自律神経
- ホルモン
- 免疫
- 心臓・肺・腎臓の機能
- 脳の調整機能
これが崩れると発症します。
◆ 2. 発症の3ステップ
●(1)刺激が加わる
外因・内因どちらでもよい。
例:
- 血管が破れる
- 心筋に血がいかない
- 喉にウイルスがつく
- 急に寒冷刺激が加わる
●(2)炎症・障害・代謝変化が起こる
刺激を受けた組織は炎症を起こす。
炎症の4徴候
- 発赤
- 腫脹
- 痛み
- 熱感
一般の人向けポイント
→ 痛みや熱は“治す反応”でもある。
●(3)臓器の機能が低下し症状が出る
例:
- 肺の炎症 → 呼吸困難
- 心臓の障害 → 息切れ・むくみ
- 脳の障害 → 意識障害
- 腎臓の障害 → むくみ・高カリウム
国家試験はこの「発症のメカニズム理解」をよく問う。
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Ⅳ.疾患の経過 ― 急性・亜急性・慢性

同じ疾患でも、進み方(経過)が違えば症状は大きく異なる。
◆ 1. 急性疾患
数分〜数時間で発症し、急激に悪化する疾患。
- 心筋梗塞
- 脳卒中
- アナフィラキシー
- 肺塞栓
- 気胸
- 急性心不全
救急現場の主役。
国家試験POINT
→ “突然”“急激”という言葉がキー。
◆ 2. 亜急性疾患
急性ほど急激ではないが、確実に悪化する。
- 肺炎
- 胆のう炎
- 甲状腺炎
- 静脈血栓
一般の人には風邪っぽく見えても、内部では病気が進行している。
◆ 3. 慢性疾患
ゆっくり進むが、確実に臓器を蝕む。
- 高血圧
- 糖尿病
- COPD
- 心不全
- 腎不全
- 動脈硬化
国家試験POINT
→ 慢性疾患は“急性増悪”で救急搬送される。
Ⅴ.疾患の進行と増悪 ― 悪化のメカニズムを読む
疾患は自然に良くなることは少なく、悪化(増悪)する方向に進む力を持っている。
◆ 1. 代償とその破綻
身体は機能が落ちても代わりに補おうとする。
例:
- 出血 → 心拍数を上げる
- 心不全 → 交感神経活性化
- 貧血 → 呼吸数増加
しかし限界を超えると、
突然の悪化(急変) が起きる。
国家試験POINT
→ ショックは代償が破綻した状態。
◆ 2. 臓器連鎖(ドミノ現象)
臓器はつながっているため、一つが壊れると他も壊れる。
例:
心臓 ↓ → 肺 ↓ → 脳 ↓ → 腎臓 ↓ → 肝臓
これが重症疾患の本質。
◆ 3. 増悪の引き金
- 脱水
- 感染(感染症は扱わないが“増悪因子”として重要)
- ストレス
- 睡眠不足
- 飲酒
- 暑熱・寒冷
- 痛み
- 薬の飲み忘れ
一般的に「最近体調悪い」と感じたら、この増悪因子が複数かさなっている。
Ⅵ.国家試験向け 重要ポイント総まとめ
- 内因・外因の分類
- 発症はホメオスタシス破綻
- 炎症の4徴
- 急性・亜急性・慢性の違い
- 増悪は代償破綻
- 臓器連鎖で悪化
- ショックは疾患の最終段階のひとつ
ここを理解すると、疾患問題の多くが「覚える」から「理解する」へ変わる。
Ⅶ.一般向けまとめ(やさしく)

病気は
原因の積み重ね → 身体の限界 → 発症 → 悪化
という流れで生じます。
つまり、
「日々の生活・年齢・体質」が静かに病気を作り、
「ある日、突然」症状として現れるのです。
逆にいえば、
今日の生活改善が未来の疾患を減らす最大の予防です。
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