― 救急隊が現場で実際に見ているポイントをすべて解説 ―
夜中に子どもが急に熱を出す。
救急隊として活動していると、この場面は本当に多い。
- 「39℃あります。救急車を呼ぶべきですか?」
- 「#7119に電話するべきか迷っていて…」
- 「様子見って言われたけど、本当に大丈夫なんでしょうか」
結論から言うと、
夜間の小児発熱は「体温」ではなく「判断軸」で考える。
この記事では、
救急隊が実際の現場で行っている判断基準を、
一般の保護者にも分かる形で、省略せず解説する。
📘 いざというときの救急・応急手当ガイド
夜間や休日など、すぐに医療機関へ相談できない場面で、
「救急車を呼ぶべきか」「様子を見てよいか」の判断を助けてくれる一冊。
一般の方にも分かりやすく、家庭に1冊あると安心です。
🧰 家庭用 救急セット(ファーストエイドキット)
軽いケガや体調不良時の応急対応に役立つ救急セット。
「様子を見る」判断になった場合でも、適切な初期対応ができます。
防災備蓄としてもおすすめです。
夜間の小児発熱が難しい理由

昼間であれば、
- かかりつけ医に相談できる
- 小児科が開いている
- 周囲に相談できる人がいる
しかし夜間は、
- 医療機関が限られる
- 判断材料が少ない
- 不安が強くなりやすい
そのため、
「熱が高い=救急車」
「元気そう=大丈夫」
という単純な判断は、現場では一切しない。
救急隊が必ず見る「3つの判断軸」
夜間の発熱で、救急隊が最初に確認するのは次の3点。
- 年齢(月齢)
- 全身状態
- 発熱以外の症状
この3つで、
- 119通報が必要か
- #7119相談レベルか
- 自宅経過観察可能か
を切り分ける。
① 年齢(月齢)は最重要判断材料
生後3か月未満(0〜2か月)
体温38.0℃以上 → 原則として緊急評価対象
これは全国共通の考え方。
理由は明確で、
- 免疫機能が未熟
- 重篤感染症でも症状が出にくい
- 見た目が元気でも否定できない
救急隊目線では、
「元気そう」は判断材料にならない月齢。
👉 夜間・休日を問わず
#7119または119通報をためらわない
生後3か月〜6か月
- 38.5℃以上
- 哺乳量が明らかに低下
- 反応が鈍い
このいずれかがあれば、
夜間受診・救急評価を強く検討。
生後6か月以上
ここからようやく、
体温より全身状態重視に切り替わる。
② 救急隊が最も重視する「全身状態」
体温に関係なく、
以下は即危険サイン。
119通報を迷わない症状
- 呼びかけへの反応が悪い
- ぐったりして動かない
- 顔色が悪い(蒼白・紫色)
- 呼吸が苦しそう
- 肩で息をしている
- 肋骨や鎖骨がへこむ
- けいれんを起こした
- 水分がほとんど取れない
- 半日以上おしっこが出ていない(乳幼児)
救急隊はここを見て、
**「発熱が主訴か」「重症のサインか」**を判断している。
③ 発熱+αで危険度が跳ね上がる症状
以下が1つでもあれば、
夜間は救急評価対象。
- 意識がもうろうとしている
- 嘔吐を繰り返す
- 激しい頭痛を訴える
- 首を動かすのを嫌がる
- 押しても消えない発疹(紫斑)
- 39℃以上が解熱剤でも改善しない
これは、
髄膜炎・敗血症などを否定できない所見。
夜間によくある質問①

「39℃ありますが元気です」
救急隊の回答はこう。
- 食欲がある
- 水分が取れている
- 呼吸が楽
- 反応が良い
👉 自宅経過観察+翌日受診で問題ないケースが多い
※ 解熱剤は「熱を下げるため」ではなく
**「つらさを和らげるため」**に使用する。
夜間によくある質問②
「38℃台ですがぐったりしています」
これは逆に危険。
体温が高くなくても、
- 動かない
- 反応が鈍い
- 寝てばかり
👉 体温に関係なく119・#7119相談レベル
夜間によくある質問③
「初めてけいれんしました」
- 5分以内に止まった
- 意識が戻った
この場合でも、
夜間は119通報が妥当。
初回けいれんは、
救急隊として必ず医師評価につなぐ。
「様子見でいい発熱」の条件(救急隊基準)
すべて満たす場合のみ。
- 生後6か月以上
- 意識清明
- 呼吸が楽
- 水分摂取可
- 排尿あり
- 発熱以外の強い症状なし
※ ただし、
保護者が強い不安を感じている場合は相談推奨
#7119と119の使い分け(内部リンク)
夜間の判断に迷ったら、
次の記事も必ず参考にしてほしい。
👉 内部リンク
「#7119に電話すべき?119に電話すべき?救急隊が教える判断基準」
#7119に電話すべき?119に電話すべき? — TETSU十郎/救急救命士/防災士
救急車の適正利用と「迷ったら119番通報」 — TETSU十郎/救急救命士/防災士
救急隊が伝えたい「適正利用」の本当の意味
- 迷って相談するのは適正
- 我慢させることが正解ではない
- 呼ばなかった後悔の方が重い
👉 「迷ったら相談」は間違いではない
まとめ(救急隊目線の結論)

夜間の子どもの発熱は、
「体温」ではなく「年齢・元気さ・呼吸」で判断する。
不安を感じた時点で、相談する行動が最も安全。
📘 いざというときの救急・応急手当ガイド
夜間や休日など、すぐに医療機関へ相談できない場面で、
「救急車を呼ぶべきか」「様子を見てよいか」の判断を助けてくれる一冊。
一般の方にも分かりやすく、家庭に1冊あると安心です。
🧰 家庭用 救急セット(ファーストエイドキット)
軽いケガや体調不良時の応急対応に役立つ救急セット。
「様子を見る」判断になった場合でも、適切な初期対応ができます。
防災備蓄としてもおすすめです。
根拠・参考リンク(公的機関)
- 厚生労働省
小児救急医療ガイド
https://www.mhlw.go.jp/ - 日本小児科学会
https://www.jpeds.or.jp/ - 総務省消防庁
救急安心センター事業(#7119)
https://www.fdma.go.jp/ - 日本救急医学会
https://www.jaam.jp/


