1. 血圧とは?
血圧とは、心臓が血液を全身に送り出す際に動脈壁にかかる圧力のことです。一般的に、収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)の2つの値で表されます。
- 収縮期血圧(SBP, Systolic Blood Pressure):左心室が収縮して血液を大動脈へ送り出す際の最大圧力。
- 拡張期血圧(DBP, Diastolic Blood Pressure):心臓が拡張し、血液をためるときの最小圧力。
正常血圧値
- 成人の正常血圧は 120/80 mmHg 前後。
- 高血圧:収縮期血圧が 140 mmHg 以上 または拡張期血圧が 90 mmHg 以上。
- 低血圧:収縮期血圧が 90 mmHg 未満 または拡張期血圧が 60 mmHg 未満。
2. 血圧測定の方法
国家試験でも頻出の血圧測定について、基本的な流れを詳しく解説します。
聴診法(アネロイド式血圧計)
最も一般的な方法で、カフ(マンシェット)と聴診器を使用します。
測定手順
- 準備
- 傷病者を 5分以上安静 にさせる(座位または仰臥位)。
- 上腕を 心臓と同じ高さ に保つ。
- マンシェットを肘窩上 2〜3cm に巻く。
- 触診による収縮期血圧の推測
- 橈骨動脈を触れながらカフを加圧。
- 脈が消失した圧力を記録(推定収縮期血圧)。
- 聴診による血圧測定
- 聴診器を 肘窩の上腕動脈 に当てる。
- カフの圧力を 2〜3 mmHg/秒の速度 で下降させる。
- コロトコフ音(血流音)が聞こえ始めた圧力= 収縮期血圧。
- コロトコフ音が完全に消えた圧力= 拡張期血圧。
- 記録
- 血圧値(mmHg)を記録し、左右差も確認。
自動血圧計(オシロメトリック法)
救急現場では、自動血圧計が多く使用されます。
- 長所:簡便で誤差が少ない。
- 短所:不整脈があると測定精度が低下する。振動に弱い。
3. 血圧異常と救急対応
国家試験では血圧異常とその対応が頻出です。
高血圧(Hypertension)
- 基準値:収縮期 140 mmHg 以上 または拡張期 90 mmHg 以上。
- 原因:動脈硬化、腎疾患、ホルモン異常、ストレスなど。
- 救急対応:
- 高血圧緊急症(収縮期180mmHg以上 or 臓器障害) → 迅速な降圧治療と搬送。
- 脳出血や大動脈解離を疑う場合 → CT検査・外科対応。
低血圧(Hypotension)
- 基準値:収縮期 90 mmHg 未満 または拡張期 60 mmHg 未満。
- 原因:
- 出血性ショック(外傷、大量出血)
- 心原性ショック(心筋梗塞、心不全)
- アナフィラキシーショック(アレルギー反応)
- 神経原性ショック(脊髄損傷)
- 救急対応:
- ショック指数(脈拍数 ÷ 収縮期血圧)> 1.0 の場合、ショックの可能性大。
- 輸液(心肺停止前の静脈路確保)
- アナフィラキシーの場合、エピペンの有無を確認。
4. 試験対策ポイント
- 血圧の定義と正常値を正確に暗記。
- 聴診法の手順を順番通りに理解。
- 高血圧・低血圧の原因と救急対応を整理。
- ショックの鑑別(出血性、心原性、神経原性、アナフィラキシー)を理解。
国家試験では、血圧と関連する疾患や救急対応が頻出です。過去問を活用しながら、確実に得点できるよう対策を進めましょう!