私たちの体の中では、血液が絶え間なく流れ続けています。
この血液の流れを支えているのが「循環器系(じゅんかんきけい)」です。
心臓がポンプの役割を果たし、動脈・静脈・毛細血管が全身をめぐることで、酸素や栄養が運ばれ、老廃物や二酸化炭素が回収されています。
この記事では、循環器系の仕組みを わかりやすく、かつ 救急や医療の知識にも役立つ形 で解説します。
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🫀 1.循環器系とは?

循環器系とは、心臓と血管から成る「血液の通り道」 のことです。
このシステムが止まると、全身の細胞が酸素や栄養を受け取れなくなり、生命維持ができません。
血液は、主に次の2つのルートを通ります。
- 体循環(大循環):心臓→全身→心臓
- 肺循環(小循環):心臓→肺→心臓
❤️ 2.心臓の構造と働き
心臓は、胸の中央やや左に位置し、こぶし大ほどの筋肉のかたまりです。
内部は、次の4つの部屋(心腔)に分かれています。
- 右心房(うしんぼう)
- 右心室(うしんしつ)
- 左心房(さしんぼう)
- 左心室(さしんしつ)
血液は一方向に流れるように、各部屋の間には弁(バルブ)があり、逆流を防いでいます。
| 弁の名称 | 位置 | 役割 |
| 三尖弁(さんせんべん) | 右心房と右心室の間 | 血液の逆流を防ぐ |
| 肺動脈弁(はいどうみゃくべん) | 右心室と肺動脈の間 | 右心室から肺への流れを調整 |
| 僧帽弁(そうぼうべん) | 左心房と左心室の間 | 左心室への流れを一方向に |
| 大動脈弁(だいどうみゃくべん) | 左心室と大動脈の間 | 左心室から全身への流れを調整 |
💓 3.刺激伝導系(心臓が動くリズムの仕組み)
心臓は、自分自身でリズムを作って動くことができます。
その仕組みを担っているのが「刺激伝導系」です。
- 洞房結節(どうぼうけっせつ) — 心臓のペースメーカー。心拍のリズムをつくる。
- 房室結節(ぼうしつけっせつ) — 心房から心室へ信号を送る。
- ヒス束(そく)・脚(きゃく)・プルキンエ線維 — 信号を心室全体に伝える。
これにより、
👉 まず心房が収縮して血液を心室に送り、
👉 続いて心室が収縮して血液を全身や肺に押し出す、
というリズムが保たれます。
もしこの電気信号が乱れると、不整脈や心停止が起こることもあります。

🌍 4.体循環と肺循環のしくみ
血液の流れは、全身をめぐる 体循環(大循環) と、肺でガス交換を行う 肺循環(小循環) に分かれます。
🫁 肺循環(小循環)
右心室 → 肺動脈 → 肺 → 肺静脈 → 左心房
このルートでは、肺で 二酸化炭素を捨てて酸素を取り込みます。
つまり、血液が「酸素を補給する」経路です。
💪 体循環(大循環)
左心室 → 大動脈 → 全身の毛細血管 → 大静脈 → 右心房
ここでは、酸素と栄養を体中の細胞に届け、二酸化炭素と老廃物を回収します。
生命活動を維持する「本線」のような循環です。
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🩸 5.血管の種類と構造の違い
血液が通る道「血管」は、3つに分かれます。
| 種類 | 主な特徴 | 役割 |
| 動脈 | 壁が厚く弾力性がある | 心臓から血液を送り出す |
| 静脈 | 弁があり、壁がやや薄い | 血液を心臓に戻す |
| 毛細血管 | 壁が非常に薄く、1層の細胞で構成 | 酸素や栄養を細胞へ届ける |
特に静脈には「逆流防止弁」があり、下半身から心臓に戻る血流を助けています。
脚の筋肉(ふくらはぎ)がポンプのように働くため、「筋ポンプ作用」とも呼ばれます。
⚡ 6.血圧と脈拍の関係
血液を押し出す力を「血圧」といい、単位は mmHg(ミリメートル水銀柱)で表します。
心臓が収縮して血液を押し出すときの圧力を「収縮期血圧(最高血圧)」、
拡張しているときの圧力を「拡張期血圧(最低血圧)」といいます。
脈拍は、心臓の拍動数とほぼ一致し、成人では安静時60〜80回/分程度。
血圧や脈拍の異常は、循環系のトラブルをいち早く察知する重要な指標です。
🚑 7.救急・医療の現場での循環理解
循環の理解は、救急現場でも欠かせません。
たとえば「ショック(循環不全)」では、全身の血液が十分に回らなくなり、脳や臓器が酸素不足になります。
血圧の低下、脈拍の上昇、皮膚の冷感などが現れます。
また、**心停止(CPA)**では心臓がポンプとして機能しないため、人工的に胸骨圧迫(心臓マッサージ)で血流を維持します。
心臓の構造と循環経路を理解しておくことは、まさに命を救う知識につながります。
📘 8.まとめ:心臓と血管は「命を運ぶシステム」

心臓はただのポンプではなく、精密に制御された電気的・機械的な装置のような臓器です。
血管はその配管網であり、全身の細胞一つひとつに酸素を届けています。
循環器系の働きを理解することは、健康管理にも、医療従事者の基礎知識としても欠かせません。
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