― 暗記で終わらせない、その知識は“使える武器”になっていますか ―
救急救命士国家試験の勉強をしていると、
誰もが一度はこう思うはずです。
「解剖生理って、結局どこまで覚えればいいんだろう?」
「国家試験に出るから覚えるけど、現場で本当に使うの?」
実際、国家試験では
・心臓の構造
・肺の仕組み
・血圧や酸素化のメカニズム
といった解剖生理が頻繁に出題されます。
しかし、国家試験に合格する知識量=現場で通用する理解
とは限りません。
この記事では、
「暗記としての解剖生理」と「現場で使える解剖生理」の違いを軸に、
救急現場で“本当に差が出る考え方”を解説します。
国家試験対策としての勉強法については、別記事で詳しく解説しています。
暗記に頼らず、理屈で理解する勉強法を知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
▶︎ 救急救命士国家試験|理屈で理解する勉強法
https://tetsujurofire.com/2025/12/10/understand-logically/
国家試験対策の基礎となる公式テキスト。
正常な解剖・生理を理解することで、症状やバイタルの「意味」を考える力が身につきます。
暗記用ではなく、現場思考を支える土台としておすすめです。
人体の構造と生理機能を、豊富な図解で分かりやすく解説した定番書。
「この構造が壊れると、なぜこの症状が出るのか」を理解したい方に最適です。
国家試験の解剖生理は「最低ライン」

まず大前提として、
国家試験の解剖生理はとても重要です。
・基礎がなければ応用はできない
・共通言語として必須
・法的・制度的にも求められる
これは間違いありません。
ただし、国家試験の解剖生理はあくまで
👉 「最低限、全員が知っておくべきライン」です。
なぜ「試験に受かったのに現場で戸惑う」のか
多くの新人、あるいは経験の浅い隊員が
現場で戸惑う理由はシンプルです。
**「知識が点で止まっている」**から。
国家試験勉強でありがちな状態
- 心拍出量=心拍数×一回拍出量(覚えている)
- PaO₂の正常値を言える
- 交感神経・副交感神経を暗記している
でも、
- なぜその患者は頻脈なのか
- なぜSpO₂が下がっているのか
- なぜ血圧が保てている(or 保てていない)のか
を一つの流れで説明できない。
これが「差」の正体です。
現場で必要なのは「ストーリーとしての解剖生理」
現場で本当に使われる解剖生理は、
バラバラの知識ではなく、一本のストーリーです。
例:呼吸苦の傷病者
暗記型だと
「SpO₂が低い → 酸素投与」
理解型だと
- なぜ換気がうまくいっていないのか
- 肺胞で何が起きているのか
- 換気障害か、拡散障害か、循環の問題か
を自然に考え始める。
この思考ができるかどうかで、
評価・観察・報告の質がまったく変わります。
解剖生理は「症状から逆算」する
現場での解剖生理は、
構造 → 機能 → 症状
ではなく、
👉 症状 → 機能の破綻 → 構造・生理
この逆向きで使われます。
例:意識障害
- なぜ意識が低下している?
- 脳への酸素?血流?代謝?
- 呼吸?循環?中枢神経?
この時、
「脳は酸素消費量が多い臓器」
「低酸素・低血糖に弱い」
といった解剖生理が自然に結びつく。
「理解して考える力」を身につけるには、勉強のやり方そのものを見直す必要があります。
国家試験対策として実践してきた理屈で理解する勉強法については、以下の記事で具体的に紹介しています。
▶︎ 救急救命士国家試験|理屈で理解する勉強法
https://tetsujurofire.com/2025/12/10/understand-logically/
国家試験対策の基礎となる公式テキスト。
正常な解剖・生理を理解することで、症状やバイタルの「意味」を考える力が身につきます。
暗記用ではなく、現場思考を支える土台としておすすめです。
人体の構造と生理機能を、豊富な図解で分かりやすく解説した定番書。
「この構造が壊れると、なぜこの症状が出るのか」を理解したい方に最適です。
「正常を知っている人」が強い

現場で強いのは、
異常をたくさん覚えている人ではありません。
👉 「正常な状態」を立体的に理解している人です。
- 正常呼吸とは何か
- 正常循環とは何か
- 正常な意識とは何か
正常を知っているから、
「何がおかしいのか」にすぐ気づける。
これは国家試験の選択肢を覚える勉強だけでは身につきません。
解剖生理が「評価力」に変わる瞬間
解剖生理を理解し始めると、
評価の仕方が変わります。
バイタルサインを見る視点
- 数字を見る → 意味を見る
- 単発で見る → 関連で見る
- 今だけ → 変化を見る
たとえば、
- 血圧・脈拍・皮膚所見
- 呼吸数・努力呼吸・SpO₂
- 意識・瞳孔・発語
これらが一つの生理現象としてつながる。
ここで初めて、
解剖生理が「知識」から「武器」になります。
国家試験対策としても「理解型」は有利
実は、
理解型の解剖生理は国家試験にも強いです。
理由は簡単で、
- ひっかけ問題に強い
- 表現が変わっても対応できる
- 消去法が正確になる
暗記に頼っていると、
「見たことがない聞き方」に弱くなります。
理解していれば、
「それは生理的におかしい」と判断できます。
教科書は「丸暗記するもの」ではない
おすすめしたい教科書の使い方はこれです。
- 1周目:全体像をつかむ
- 2周目:症状と結びつける
- 3周目:現場を想像する
「この構造が壊れたら、どんな症状が出る?」
「この数値が崩れたら、体はどう代償する?」
こうした問いを持って読むだけで、
同じ教科書でも価値が変わります。
現場で差が出る人の共通点
現場で評価が的確な人には、
共通点があります。
- 解剖生理を「説明できる」
- 後輩に図で説明できる
- 医師や看護師への報告が整理されている
つまり、
理解した知識は、言語化できる。
言語化できない知識は、まだ「使える段階」にありません。
まとめ|解剖生理は「暗記科目」ではない

国家試験に合格するための解剖生理は、
確かに必要です。
しかし、
現場で差が出るのはその先。
- 症状から考える
- 正常を基準に考える
- 数字の意味を考える
解剖生理は、
患者を理解するための地図です。
暗記で終わらせず、
「なぜ?」を積み重ねた人だけが、
現場で一歩先を見られるようになります。
解剖生理を「暗記」で終わらせないためには、
日々の勉強の進め方がとても重要です。
国家試験対策として、私自身が実践してきた考える勉強法を以下の記事でまとめています。
▶︎ 救急救命士国家試験|理屈で理解する勉強法
https://tetsujurofire.com/2025/12/10/understand-logically/
国家試験対策の基礎となる公式テキスト。
正常な解剖・生理を理解することで、症状やバイタルの「意味」を考える力が身につきます。
暗記用ではなく、現場思考を支える土台としておすすめです。
人体の構造と生理機能を、豊富な図解で分かりやすく解説した定番書。
「この構造が壊れると、なぜこの症状が出るのか」を理解したい方に最適です。


