救急車を呼んでいいのに“呼ばなかった人”が後悔した実例

――救急隊が現場で何度も見てきた「判断の分かれ目」


はじめに|「呼ばなかった後悔」は、想像以上に多い

救急隊として活動していると、次のような言葉を何度も耳にします。

「あのとき、救急車を呼んでいればよかった」
「様子を見すぎました」
「大げさだと思ってしまって…」

実はこれらの多くは、
**「救急車を呼んでもよかったケース」**です。

つまり、

  • 呼んだら怒られるかもしれない
  • 大したことなかったら迷惑になる
  • 朝まで待てば病院に行ける

そう考えて呼ばなかった結果、後悔につながったケース。

この記事では、
救急隊の現場で実際に何度も遭遇してきた

  • 「呼んでよかったのに呼ばなかった」実例
  • そのとき、どこが判断の分かれ目だったのか
  • なぜ“迷っている時点”で行動してよかったのか

を、感情論ではなく判断基準として整理します。

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実例①|夜中の胸の違和感「朝まで我慢」で心筋梗塞

事例概要

  • 60代男性
  • 夜間、胸の中央に圧迫感
  • 痛みは強くないが「いつもと違う」感覚
  • 家族は「様子を見よう」と判断

結果:
翌朝、心筋梗塞で倒れ、救急搬送時は重篤状態

なぜ後悔につながったのか

心筋梗塞は、

  • 激痛が出ないケース
  • 胸痛ではなく「違和感」「胃の不快感」として出るケース

が珍しくありません。

「我慢できる=緊急性が低い」ではない典型例です。

判断の分かれ目

  • 「いつもと違う胸の症状」
  • 「夜間で相談先がない」

この2点が揃った時点で、119または#7119の対象でした。

👉 関連内部リンク

(※胸が苦しい時の判断基準)


実例②|片側のしびれ「寝たら治る」で脳梗塞

事例概要

  • 50代女性
  • 夜、片側の手足がしびれる
  • 会話はできる
  • 「疲れのせい」と判断

結果:
翌朝、言葉が出なくなり脳梗塞と判明

後悔のポイント

脳卒中は、

  • 初期は軽いしびれ
  • ふらつきだけ
  • 一時的に回復する

といった**“油断しやすい始まり方”**をします。

特に重要なのが、

  • 片側だけの症状
  • 突然の発症

これは教科書レベルで危険サインです。

👉 関連内部リンク

突然「片側だけ」しびれる…救急車を呼ぶべき危険サインを救急隊が解説 — TETSU十郎/救急救命士/防災士


実例③|子どもの高熱「様子見」で重症化

事例概要

  • 2歳児
  • 夜間、39℃超の発熱
  • 解熱剤で一時的に下がる
  • 呼吸が少し早いが寝ている

結果:
翌未明、呼吸状態が悪化し緊急搬送

なぜ判断が難しかったのか

子どもの場合、

  • 熱の高さだけで判断できない
  • 元気そうに見える時間帯がある

しかし、

  • 呼吸が普段より明らかに早い
  • ぐったりしている
  • 反応が鈍い

これらは重症サインです。

👉 関連内部リンク

夜間に子どもが発熱したときの判断基準 — TETSU十郎/救急救命士/防災士

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実例④|腹痛と嘔吐「救急車は大げさ」で腹膜炎

事例概要

  • 70代男性
  • 腹痛と嘔吐
  • 市販薬で様子見
  • 痛みは波がある

結果:
腸閉塞→腹膜炎で緊急手術

後悔の理由

高齢者の腹痛は、

  • 痛みが強く出ない
  • 本人が訴えを控える

という特徴があります。

「歩ける」「会話できる」は
安全の証拠ではありません。


実例⑤|「#7119に電話しなかった」後悔

よくある声

「#7119があるのは知ってたけど…」
「119にかけるほどじゃないと思った」

しかし実際には、

  • #7119は“迷った時点”で使うもの
  • 電話したからといって救急車が強制されるわけではない

という誤解が多いのが現状です。

同じ後悔を繰り返さないためには、

事前に判断基準を知っておくことが重要です。

▶ 救急車の適正利用と「迷ったら119番通報」

▶ #7119に電話すべき?119に電話すべき?

👉 関連内部リンク

#7119に電話すべき?119に電話すべき? — TETSU十郎/救急救命士/防災士


救急隊が共通して感じる「後悔する人の特徴」

症状の強さだけで判断している

時間帯(夜間・休日)を甘く見ている

他人に迷惑をかけたくない気持ちが強い

正解を「結果」で判断してしまう

判断は“その時点の情報”でしていい
結果論で自分を責める必要はありません。


「呼んでいい基準」は意外とシンプル

以下のうち、1つでも当てはまれば相談対象です。

  • いつもと違う症状
  • 夜間・休日で判断に迷う
  • 本人が不安を強く訴える
  • 家族が「何かおかしい」と感じる

👉 参考:総務省消防庁
https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/

👉 参考:厚生労働省
PowerPoint プレゼンテーション


まとめ|「呼ばなかった後悔」を減らすために

救急隊として断言できることがあります。

「呼んで後悔した人」より
「呼ばなくて後悔した人」の方が圧倒的に多い。

  • 迷ったら相談
  • 判断に自信がなければ電話
  • その行動自体が“正しい”

この視点を、ぜひ家族全員で共有してください。


関連記事(内部リンクまとめ)

同じ後悔を繰り返さないためには、

事前に判断基準を知っておくことが重要です。

▶ 救急車の適正利用と「迷ったら119番通報」

▶ #7119に電話すべき?119に電話すべき?

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