救急車を呼ぶか迷ったら|119・#7119・受診の判断基準を救急救命士が解説

「この症状で救急車を呼んでもいいのだろうか」

「もう少し様子を見ても大丈夫?」

「119番と#7119、どちらに電話すればいい?」

急な病気やけがが起きたとき、多くの人が迷うのが「救急車を呼ぶべきか」という判断です。

しかし、救急車を呼ぶかどうかは、単純に「症状が重そうか」「痛みが強いか」だけでは判断できません。

一見すると軽そうな症状でも、脳卒中、心筋梗塞、重い感染症、消化管出血など、緊急性の高い病気が隠れていることがあります。

反対に、症状があっても状態が安定しており、自力で医療機関を受診できるケースもあります。

大切なのは、

① 今すぐ119番通報を検討すべき状態なのか

② 救急車を呼ぶか判断できず、#7119などへ相談する状態なのか

③ 自力で医療機関を受診できる状態なのか

を整理することです。

この記事では、救急救命士として救急に携わってきた経験と公的な情報をもとに、「救急車を呼ぶか迷ったとき」の判断方法をできるだけ分かりやすく整理します。

頭痛、胸痛、腹痛、息苦しさ、めまい、嘔吐、しびれ、失神など、症状ごとの詳しい判断基準についても、それぞれの記事から確認できるようにしています。

「救急車を呼ぶべきか分からない」

そんなときに、まず確認するページとして活用してください。

目次

まず結論|救急車を呼ぶか迷ったら、この3つで考える

救急車を呼ぶか迷ったときは、

① 119番通報を検討する

② #7119などへ相談する

③ 医療機関を受診する

という3つの行動に分けて考えると整理しやすくなります。

命に関わる可能性がある → 119番通報を検討

次のような症状がある場合は、#7119へ相談するより先に119番通報を検討してください。

・呼びかけても反応しない、反応がおかしい

・突然意識を失った

・呼吸ができない、明らかに呼吸がおかしい

・突然の強い胸痛や胸の圧迫感

・突然の激しい頭痛

・顔や手足の片側が動かしにくい

・ろれつが回らない、言葉が出ない

・大量の出血が続いている

・けいれんが続いている

・重いけがをしている

・急激に状態が悪化している

こうした症状では、脳卒中、心筋梗塞、重い呼吸障害、大量出血など、時間が経過するほど危険になる病気やけがが隠れている可能性があります。

緊急性が疑われる場合は、「救急車を呼んで大げさだったらどうしよう」とためらわず、119番通報を検討してください。

救急車を呼ぶべきか判断できない → #7119

「症状はあるけれど、119番するほどなのか分からない」

「今すぐ病院へ行くべきなのか分からない」

このように判断に迷った場合に利用できるのが、救急安心センター事業「#7119」です。

#7119では、急な病気やけがについて、医師・看護師・救急救命士などから電話で助言を受けることができます。

相談内容から緊急性が高いと判断された場合には、119番通報への切り替えを案内されることもあります。

ただし、#7119はすべての地域で利用できるわけではありません。

また、明らかに意識や呼吸がおかしいなど、緊急性の高い状態では#7119への相談を待たず、119番通報を検討してください。

119番と#7119の違いや具体的な使い分けについては、「#7119と119の違い|迷ったときの正しい使い分けを救急隊目線で解説」で詳しく解説しています。

状態が安定している → 医療機関への受診を検討

意識や呼吸が安定しており、明らかな危険サインがなく、自力で安全に移動できる場合は、救急車ではなく医療機関を受診することも選択肢になります。

ただし、

「歩けるから大丈夫」

「会話できるから大丈夫」

「痛みがそれほど強くないから大丈夫」

とは限りません。

症状だけではなく、

・突然始まったか

・時間とともに悪化しているか

・普段と明らかに違うか

・複数の症状が同時に出ていないか

・高齢者、乳幼児、妊婦などではないか

・重い持病がないか

なども含めて判断してください。

救急車を呼ぶ判断で重要なのは「症状の名前」だけではない

「頭痛なら救急車?」

「腹痛なら様子を見ていい?」

症状の名前だけで、救急車を呼ぶかどうかを判断することはできません。

たとえば同じ「頭痛」でも、

いつもの頭痛と同じで、休むと改善している場合と、

突然、経験したことのない激しい頭痛が起きた場合では、緊急性が大きく異なります。

腹痛でも同じです。

軽い腹痛と、冷や汗を伴い動けないほどの突然の腹痛では、必要な対応が変わります。

救急車を呼ぶか判断するときには、

① 意識

② 呼吸

③ 症状の始まり方

④ 症状の強さ

⑤ 悪化しているか

⑥ 普段との違い

⑦ 一緒に出ている症状

を確認することが重要です。

救急車を呼ぶか迷ったときの判断フローチャート

ここまでを、実際の行動に当てはめて整理します。

STEP1 意識・呼吸に異常がある?

YES
→ 119番通報を検討

NO
→ STEP2へ

STEP2 突然の激しい症状や、明らかな危険サインがある?

YES
→ 119番通報を検討

NO
→ STEP3へ

STEP3 救急車を呼ぶべきか自分では判断できない?

YES
→ 利用できる地域では#7119へ相談

NO
→ STEP4へ

STEP4 状態は安定していて、自力で受診できる?

YES
→ 医療機関への受診を検討

NO、または途中で悪化した
→ #7119への相談または119番通報を検討

一度「様子を見る」「自力で受診する」と決めても、症状が悪化したり、新しい症状が出たりした場合には、その時点で判断を切り替えてください。

症状から探す|救急車を呼ぶべきか迷ったとき

救急車を呼ぶべきかどうかは、「具合が悪い」というだけでは判断できません。

同じ症状でも、

・突然起きたのか

・徐々に悪化しているのか

・意識や呼吸に異常があるのか

・ほかの危険な症状を伴っているのか

によって緊急性は変わります。

ここからは、今起きている症状に近いものを選んで、詳しい判断基準を確認してください。

ただし、

・意識がない、反応がおかしい

・正常に呼吸していない

・急激に状態が悪化している

・明らかに命の危険を感じる

といった状態があれば、記事を探し続けず119番通報を検討してください。

胸が痛い・苦しい

突然の胸痛や胸の圧迫感は、心筋梗塞などの急性冠症候群、大動脈解離など、緊急性の高い病気で起こることがあります。

特に、締め付けられるような胸痛に加えて、息苦しさ、冷や汗、吐き気、意識が遠のく感じなどがある場合は注意が必要です。

胸痛で救急車を呼ぶべき症状や受診の目安については、「胸の痛み|救急車を呼ぶ基準は?命に関わる危険な胸痛の見分け方」で詳しく解説しています。

息苦しい・呼吸がおかしい

息苦しさは、肺や心臓の病気、アレルギー、感染症など、さまざまな原因で起こります。

会話を続けるのが難しい、唇の色がおかしい、胸痛や意識の異常を伴うなど、明らかに呼吸がおかしい場合は119番通報を検討してください。

頭が痛い

頭痛は日常的にも起こりますが、発症の仕方によっては、くも膜下出血や脳出血などが隠れていることがあります。

突然起きた激しい頭痛、経験したことのない強い頭痛に加えて、意識の異常、ろれつが回らない、手足が動かしにくい、けいれん、繰り返す嘔吐などがある場合は注意が必要です。

お腹が痛い・腹痛

腹痛は、胃腸炎や便秘などでも起こりますが、緊急性の高い病気が隠れていることもあります。

特に、突然の激しい腹痛、お腹が硬い、冷や汗や意識の異常を伴う、吐血・血便がある、痛みが強く動けないなどの場合は注意が必要です。

腹痛で救急車を呼ぶべき症状や受診の目安については、「【腹痛】救急車を呼ぶ基準は?危険な腹痛の見分け方と受診の目安|命に関わる腹痛のサインを救急救命士が解説」で詳しく解説しています。

めまい・ふらつき

めまいの多くは命に関わるものではありませんが、脳梗塞や脳出血などでも起こることがあります。

突然のめまいに加えて、まっすぐ歩けない、ろれつが回らない、手足に力が入らない、物が二重に見えるなどの症状がある場合は注意してください。

めまいで救急車を呼ぶべき症状や受診の目安については、「めまい|救急車を呼ぶ基準は?危険な症状の見分け方と受診の目安」で詳しく解説しています。

手足がしびれる

手足のしびれは、一時的な神経の圧迫などでも起こります。

一方で、突然体の片側がしびれ、顔のゆがみ、手足の力が入らない、ろれつが回らない、言葉が出ないなどの症状を伴う場合には、脳卒中などの可能性も考える必要があります。

しびれで救急車を呼ぶべき症状や受診の目安については、「手足のしびれで救急車を呼ぶべき?危険な症状と受診目安」で詳しく解説しています。

急に立てない・歩けない

「立てない」「歩けない」という状態も、原因によって緊急性が異なります。

特に、普段歩けていた人が突然歩けなくなり、片方の手足に力が入らない、ろれつが回らない、激しい頭痛、胸痛、呼吸困難などを伴う場合は注意してください。

急に立てない・歩けないときの危険な症状や119番の目安については、「急に立てない・歩けないとき救急車を呼ぶべき?119番の危険なサイン」で詳しく解説しています。

意識を失った・失神した

一時的に意識を失い、すぐに回復する「失神」でも、原因によっては緊急性があります。

運動中の失神、胸痛や動悸を伴う失神、繰り返す失神、回復後も意識がおかしい場合などには注意してください。

意識が戻らない、正常な呼吸をしていない場合は119番通報を検討してください。

意識が戻った場合も含め、失神で注意すべき症状や受診の目安については、「失神(気絶)で救急車を呼ぶべき?意識が戻っても危険な症状と受診の目安」で詳しく解説しています。

動悸がする

動悸は緊張や運動などでも起こりますが、不整脈などが原因となることもあります。

胸痛、息苦しさ、失神、冷や汗、強いめまいなどを伴う場合や、状態が悪化している場合は、単なる動悸として様子を見ないことが重要です。

動悸で救急車を呼ぶ目安や注意すべき症状については、「動悸で救急車を呼ぶ目安は?危険な症状と受診の判断基準」で詳しく解説しています。

吐いている・嘔吐が続く

嘔吐では「何回吐いたか」だけではなく、一緒に起きている症状を確認してください。

意識の異常、突然の激しい頭痛、激しい腹痛、吐血、けいれん、水分がまったく摂れない、頭を打ったあとの繰り返す嘔吐などには注意が必要です。

嘔吐で救急車を呼ぶべき症状や自宅で様子を見る目安については、「嘔吐で救急車を呼ぶべき?119番する症状と自宅で様子を見られる目安」で詳しく解説しています。

下痢が続いている

下痢も回数だけでは救急車の必要性を判断できません。

大量の血便、激しい腹痛、意識の異常、水分が摂れない、尿がほとんど出ない、ぐったりしている、嘔吐を繰り返しているなどの場合は注意してください。

下痢で救急車を呼ぶべき症状や受診の目安については、「下痢で救急車を呼ぶべき?119番する症状と自宅で様子を見られる目安」で詳しく解説しています。

血を吐いた・吐血した

吐血は消化管から出血している可能性があり、出血量や全身状態によっては緊急性があります。

大量の吐血や繰り返す吐血に加えて、冷や汗、顔色不良、強いふらつき、意識の異常などがある場合は119番通報を検討してください。

「吐血したら救急車を呼ぶべき?119番の危険なサインと正しい対処法」で詳しく解説しています。

血便・黒い便が出た

少量の血便がすべて救急車を必要とするわけではありません。

一方で、大量の血便や黒い便に加えて、冷や汗、強いふらつき、失神、意識の異常などがある場合には注意が必要です。

血便や黒い便で119番を検討する症状や病院を受診する目安については、「血便が出たら救急車?119番する危険な症状と病院を受診する目安」で詳しく解説しています。

血尿が出た

血尿も、血が混じったという事実だけで救急車が必要とは限りません。

大量の血尿、血の塊、尿が出ない、激しい腰痛や腹痛、意識の異常、冷や汗や強いふらつきなどがある場合には、早めの医療機関受診や119番通報を検討してください。

血尿で119番を検討する症状や受診の目安については、「血尿が出たら救急車?119番する危険な症状と病院を受診する目安」で詳しく解説しています。

けいれんした

けいれんは原因や持続時間によって対応が異なります。

けいれんが長く続いている、繰り返している、けいれん後も意識が戻らない、初めてのけいれんなどの場合には注意してください。

けいれん中は無理に押さえつけたり、口の中に物を入れたりしないでください。

けいれんで救急車を呼ぶべき症状や受診の目安については、「けいれんで救急車を呼ぶべき?危険な症状と受診の目安」で詳しく解説しています。

鼻血が止まらない

鼻血の多くは、小鼻を適切に圧迫することで止血できます。

一方で、出血量が非常に多い、圧迫しても出血が続く、強いふらつきや失神、意識・呼吸の異常などがある場合には注意が必要です。

鼻血で119番を検討する目安や正しい止め方については、「鼻血が止まらないとき救急車を呼ぶべき?119番の目安と正しい止め方」で詳しく解説しています。

頭を打った

頭を打った直後は元気そうでも、あとから症状が現れることがあります。

意識を失った、繰り返し吐いている、激しい頭痛、けいれん、手足の動きがおかしいなどの場合には注意してください。

また、抗凝固薬など血液を固まりにくくする薬を使用している場合も注意が必要です。

頭を打ったあとの危険な症状や受診の目安については、「頭を打ったあと何時間様子を見る?病院へ行く目安・寝てもいいか・危険な症状」で詳しく解説しています。

症状が1つとは限らない|「組み合わせ」に注意する

救急車を呼ぶか判断するときに重要なのが「症状の組み合わせ」です。

たとえば、

「めまいだけ」

と、

「めまい+ろれつが回らない+片方の手足に力が入らない」

では、緊急性が異なります。

同じように、

「嘔吐だけ」

と、

「突然の激しい頭痛+嘔吐」

でも判断は変わります。

一番つらい症状だけではなく、「ほかに何が起きているか」も確認してください。

「いつもと違う」は重要な情報

本人や家族が感じる、

「なんとなくいつもと違う」

「いつもの症状とは違う」

という変化も重要な情報です。

特に、

・普段より明らかに反応が鈍い

・いつもできることができない

・急にぐったりした

・急激に顔色が悪くなった

・症状が短時間で悪化している

などの場合は、症状の名前が分からなくても緊急性がある可能性があります。

病名を当てることより、「今起きている異常」と「その変化」を確認することが重要です。

同じ症状でも「誰に起きているか」で判断が変わることがある

救急車を呼ぶか判断するときは、症状だけでなく「誰に起きているのか」も重要です。

同じ発熱、嘔吐、腹痛、息苦しさでも、年齢や持病、服用している薬などによって注意すべきポイントが変わります。

特に、

・乳幼児

・高齢者

・妊婦

・重い持病がある人

・血液を固まりにくくする薬を使用している人

などでは、症状が一見軽そうでも慎重な判断が必要になることがあります。

子どもの場合|「いつもと違う」を見逃さない

小さな子どもは、自分の症状を正確に説明できないことがあります。

そのため、「どこが痛いか」だけでなく、普段との違いを見ることも重要です。

特に、

・呼びかけても反応が悪い

・ぐったりしている

・呼吸が明らかに苦しそう

・顔色や唇の色がおかしい

・けいれんが続いている

・水分がほとんど摂れない

・繰り返し吐いている

・強いアレルギー症状が出ている

などの場合は注意してください。

意識や呼吸に明らかな異常がある場合は、119番通報を検討してください。

子どもの救急相談「#8000」

夜間や休日などに、

「病院へ行ったほうがいい?」

「もう少し自宅で様子を見ても大丈夫?」

と迷ったときには、「こども医療電話相談 #8000」を利用できます。

#8000は、保護者が休日・夜間の子どもの症状について、小児科医師・看護師などへ相談できる全国共通の短縮番号です。

相談できる時間帯は地域によって異なります。

ただし、意識がない、正常に呼吸していないなど、明らかな緊急状態では相談を待たず119番通報を検討してください。

高齢者の場合|症状がはっきり出ないことがある

高齢者では、重い病気でも典型的な症状が目立たないことがあります。

そのため、

「熱が高くないから大丈夫」

「痛みをあまり訴えていないから大丈夫」

とは限りません。

急に元気がなくなった、食事や水分を摂れなくなった、立てなくなった、会話の様子がおかしい、息苦しそうになったなど、普段との違いに注意してください。

本人が「大丈夫」と話していても、家族から見て明らかにいつもと違う場合には、その変化も重要な情報になります。

妊娠中の場合|妊娠に関連しない病気にも注意する

妊娠中に体調が急変した場合は、妊娠週数や症状によって対応が異なります。

特に、

・大量の出血

・強い腹痛

・意識を失った

・けいれんした

・強い呼吸困難

・突然の激しい頭痛

・急激に状態が悪化している

などの場合には、緊急性が高い可能性があります。

また、妊娠中でも脳卒中、心臓病、感染症など、妊娠そのものとは別の病気が起こる可能性があります。

「妊娠中だからこの症状が出ている」と自己判断せず、強い症状や急激な変化がある場合には注意してください。

緊急性が高いと考えられる場合は119番通報を検討し、状態が安定していて判断に迷う場合には、かかりつけの産婦人科などへ相談してください。

持病がある人|「いつもの症状」と決めつけない

心臓病、呼吸器疾患、糖尿病などの持病がある場合、

「いつもの症状だから大丈夫」

と考えてしまうことがあります。

しかし、

・いつもより症状が強い

・いつもの薬を使っても改善しない

・症状の出方が普段と違う

・急激に悪化している

・意識や呼吸に異常が出てきた

場合には注意が必要です。

「持病があるからいつものこと」と決めつけず、普段との違いを確認してください。

血液を固まりにくくする薬を使用している人

抗凝固薬や抗血小板薬など、血液を固まりにくくする薬を使用している場合は、出血に注意が必要です。

特に、

・頭を強く打った

・吐血した

・血便が出た

・血尿が出た

・出血がなかなか止まらない

などの場合には注意してください。

頭を打った場合は、見た目に大きなけががなくても頭蓋内で出血している可能性があります。

薬の名前が分からない場合でも、医療機関や救急隊へ「血液をサラサラにする薬を飲んでいます」と伝えてください。

可能であれば、お薬手帳や服用している薬が分かるものを準備しておきましょう。

夜間・休日に救急車を呼ぶか迷ったら

夜中や休日に体調が悪くなると、

「病院が開いていないから救急車を呼ぶしかないのでは?」

と考えることがあります。

しかし、救急車を呼ぶかどうかは「病院が開いているか」ではなく、病気やけがの緊急性を中心に判断します。

緊急性が高い場合には、夜間や休日であっても119番通報を検討してください。

一方、状態が安定していて、

「今夜受診したほうがいいのか」

「明日まで待ってもいいのか」

と判断に迷う場合には、利用できる地域であれば#7119などへの相談が選択肢になります。

子どもの場合には、#8000も利用できます。

「自分で病院へ行けない=救急車」とは限らない

「車がない」

「家族が不在」

「夜なので病院へ行く手段がない」

といった理由で救急車を考えることもあるでしょう。

しかし、救急車の必要性を判断するときに重要なのは、移動手段の有無ではなく、病気やけがの緊急性です。

一方で、

・立つことができない

・歩くことができない

・移動すると著しく状態が悪化する

・意識や呼吸に異常がある

など、病気やけがそのものが原因で安全に移動できない場合には、状況が異なります。

単純に「自力で行けるか」だけではなく、「なぜ自力で行けないのか」も考えてください。

119番や#7119で伝えられるようにしておきたい情報

119番や#7119、医療機関へ相談するときには、次の情報を整理しておくと状況を伝えやすくなります。

① いつから症状が始まったか

② 突然始まったのか、徐々に始まったのか

③ 今一番つらい症状は何か

④ 症状は良くなっているか、悪化しているか

⑤ 意識や呼吸に変化はないか

⑥ ほかにどんな症状があるか

⑦ 持病はあるか

⑧ どんな薬を使用しているか

特に、「最後に普段どおりだった時刻」は、脳卒中など時間が重要になる病気で大切な情報になることがあります。

正確な病名を説明する必要はありません。

「何が起きているのか」「いつからなのか」「どう変化しているのか」を、分かる範囲で伝えてください。

119番通報をしたら何を聞かれる?

「救急車を呼ぶ」と決めても、

「119番で何を話せばいいの?」

と不安になる人もいるでしょう。

119番通報では、指令員から必要なことを順番に聞かれます。

慌ててすべてを一度に説明する必要はありません。

まず「救急です」と伝え、質問されたことに答えてください。

一般的には、

・救急車が向かう住所や場所

・誰が、どのような状態なのか

・年齢や性別

・意識や呼吸の状態

・症状がいつから始まったのか

・通報している人の名前や連絡先

などを確認されます。

特に重要なのは「場所」です。

自宅なら住所、外出先なら建物名、店舗名、交差点、駅、公園など、救急隊が場所を特定できる情報を伝えてください。

住所が分からない場合でも、周囲にある目印など、分かる情報を伝えてください。

119番では病名を当てる必要はない

「心筋梗塞かもしれません」

「脳卒中だと思います」

と病名を正確に説明する必要はありません。

むしろ、

「10分前から突然胸が痛くなった」

「さっきから右手と右足が動かしにくい」

「呼びかけても返事をしなくなった」

「階段から転落して頭を打った」

など、実際に起きていることをそのまま伝えてください。

重要なのは、

「何が起きたか」

「いつ起きたか」

「今どうなっているか」

です。

分からないことは「分かりません」と伝えて構いません。

救急車が来るまでに確認・準備しておきたいこと

119番通報が終わったら、救急車が到着するまで傷病者の状態を観察してください。

可能であれば、

・マイナ保険証など

・診察券

・お薬手帳

・服用している薬

・持病が分かるもの

などを準備しておくと、その後の対応がスムーズになることがあります。

ただし、準備を優先して傷病者から長時間離れる必要はありません。

意識や呼吸に変化がないかを確認することを優先してください。

救急車が到着するまでに確認しておきたいことや、傷病者のためにできることについては、「救急車が来るまでに何をする?到着前にできること」で詳しく解説しています。

救急車を待っている間に状態が悪化したら

119番通報した時点では会話できていた人が、救急車を待っている間に急変することもあります。

たとえば、

・突然反応しなくなった

・正常な呼吸をしなくなった

・けいれんが始まった

・呼吸が急激に苦しくなった

・大量に出血し始めた

などです。

状態が大きく変化した場合は、再度119番へ連絡し、変化したことを伝えてください。

特に、反応がなく正常な呼吸をしていない場合には、心停止の可能性があります。

119番の指令員から胸骨圧迫などの方法を案内されることがありますので、指示に従って対応してください。

近くにAEDがある場合には、周囲の人に持ってきてもらってください。

救急車が来たら何を伝える?

救急隊が到着したら、

・症状が始まった時刻

・症状がどのように変化したか

・一時的に意識を失っていないか

・持病

・使用している薬

・アレルギー

など、分かる範囲で伝えてください。

すべてを把握している必要はありません。

家族が本人の病歴や薬について詳しい場合には、その情報も救急隊へ伝えてください。

🚑 救急救命士国家試験・学習教材おすすめ

国家試験対策から現場応用まで、“救急救命士”を目指す方・指導する方のための教材を紹介します。

🛠 学習を深めるヒント

  • テキストを「読む」より「つくる」:章末まとめを自分で図解・カード化すると理解が定着します。
  • 間違いの振り返り:問題集は“なぜ間違えたか”を書き出して次に活かしましょう。
  • 反復教材を活用:Deru-Qや〇×問題集は、通勤・休憩時間の“繰り返し”用に。
  • 模試形式の練習:本番同様に時間を計り、“試験モード”の集中力を養う。
  • 気分転換教材を1冊:語呂・イラスト系参考書を加えて「継続しやすい環境」をつくる。

救急車を呼ばずに様子を見る場合こそ「その後」を見る

救急車を呼ばなかったからといって、「大丈夫」と決まったわけではありません。

その後の経過を見ることが重要です。

最初は軽い症状でも、

・症状が強くなった

・新しい症状が加わった

・何度も繰り返すようになった

・水分が摂れなくなった

・歩けなくなった

・反応がおかしくなった

・呼吸が苦しくなった

などの変化があれば、最初の判断にこだわらず、もう一度「119番・#7119・医療機関受診」のどれが適切か考えてください。

救急判断は、一度決めたら終わりではありません。

状態が変われば、必要な対応も変わります。

「救急車を呼んだら迷惑かも」とためらっている人へ

「こんな症状で呼んだら迷惑では?」

「大げさだと思われない?」

と心配する人もいるでしょう。

救急車には限りがあり、緊急性の高い傷病者へ速やかに対応するため、適正利用は重要です。

一方で、適正利用とは「できるだけ救急車を呼ばないこと」ではありません。

緊急性の高い状態で119番通報をためらえば、必要な治療が遅れる可能性があります。

大切なのは、「呼ぶ・呼ばない」の二択だけで考えないことです。

明らかな危険サインがある
→ 119番通報を検討

緊急性を自分で判断できない
→ 利用できる地域では#7119へ相談

状態が安定している
→ 医療機関への受診を検討

状態に応じて、適切な行動を選ぶことが重要です。

「こんな症状で救急車を呼んでいいのか」と迷っている方は、「救急車を呼ばなかったことで後悔した実例」も参考にしてください。

救急車を呼ぶか迷ったときの最終チェック

最後に、この記事の判断基準を整理します。

119番通報を検討

・意識がおかしい、反応がない

・正常に呼吸していない

・急激な呼吸困難

・突然の強い胸痛

・突然の激しい頭痛

・突然の麻痺や言葉の異常

・大量の出血

・けいれんが続いている

・重いけが

・短時間で急激に悪化している

#7119などへ相談

・救急車を呼ぶべきか判断できない

・今すぐ病院へ行くべきか迷っている

・状態は比較的安定しているが心配

・夜間や休日で受診先について迷っている

利用できる地域では、救急安心センター事業「#7119」を活用してください。

子どもの休日・夜間の症状について迷った場合には、「#8000」も選択肢になります。

医療機関への受診を検討

・意識や呼吸が安定している

・明らかな危険サインがない

・自力で安全に移動できる

・症状が軽い、または改善傾向にある

ただし、途中で症状が悪化した場合には判断を切り替えてください。

まとめ|迷ったときに大切なのは「病名」より「緊急性」

救急車を呼ぶべきか判断するとき、自分で病名を当てる必要はありません。

大切なのは、

① 意識は正常か

② 呼吸は正常か

③ 突然発症した症状ではないか

④ 急激に悪化していないか

⑤ 普段と明らかに違わないか

⑥ ほかの危険な症状を伴っていないか

を確認することです。

明らかに緊急性が高い場合には119番通報を検討してください。

救急車を呼ぶべきか判断できない場合には、利用できる地域であれば#7119へ相談できます。

状態が安定している場合には、自力での医療機関受診が選択肢になることもあります。

このサイトでは、頭痛、胸痛、腹痛、めまい、しびれ、失神、嘔吐、下痢、吐血、血便、血尿など、それぞれの症状について詳しい判断基準を解説しています。

今起きている症状に近い記事もあわせて確認してください。

ただし、記事を読んでいる途中でも意識や呼吸がおかしくなったり、急激に状態が悪化したりした場合には、情報を探し続けず119番通報を検討してください。

参考資料

この記事は、以下の公的機関の情報などを参考に、救急救命士として救急に携わってきた経験をもとに、一般の方向けに分かりやすく整理しています。

・総務省消防庁「救急安心センター事業(#7119)」

総務省消防庁「119番緊急通報」

総務省消防庁「救急車を上手に使いましょう ~救急車 必要なのはどんなとき?~」

厚生労働省「子ども医療電話相談事業(#8000)について」

・総務省消防庁「あなたの命を守る『マイナ救急』」

※この記事は一般的な救急判断の目安を解説するもので、個別の診断を行うものではありません。

症状や状態によって緊急性は異なります。明らかな意識・呼吸の異常や急激な状態悪化などがある場合は、情報を探し続けず119番通報を検討してください。

🚑 救急救命士国家試験・学習教材おすすめ

国家試験対策から現場応用まで、“救急救命士”を目指す方・指導する方のための教材を紹介します。

🛠 学習を深めるヒント

  • テキストを「読む」より「つくる」:章末まとめを自分で図解・カード化すると理解が定着します。
  • 間違いの振り返り:問題集は“なぜ間違えたか”を書き出して次に活かしましょう。
  • 反復教材を活用:Deru-Qや〇×問題集は、通勤・休憩時間の“繰り返し”用に。
  • 模試形式の練習:本番同様に時間を計り、“試験モード”の集中力を養う。
  • 気分転換教材を1冊:語呂・イラスト系参考書を加えて「継続しやすい環境」をつくる。