手足のしびれで救急車を呼ぶべき?危険な症状と受診目安

手や足に突然「ジーンとする」「ピリピリする」「感覚がおかしい」といったしびれが起こると、

「少し様子を見ても大丈夫?」
「病院へ行ったほうがいい?」
「救急車を呼ぶほどではない?」

と迷う方も多いでしょう。

手足のしびれには、長時間同じ姿勢をとったことによる一時的なものから、末梢神経や首・腰の病気、そして脳梗塞や脳出血など緊急性の高い病気まで、さまざまな原因があります。

特に注意してほしいのが、

「突然、体の片側にしびれや力の入りにくさが出た」

というケースです。

さらに、

  • 顔がゆがむ
  • ろれつが回らない
  • 言葉が出ない
  • 片方の手足に力が入らない
  • 急に歩けなくなる

などの症状を伴う場合は、脳卒中を疑う重要なサインです。

日本脳卒中協会も、片側の手足や顔の麻痺・しびれ、言語障害、歩行障害、視覚障害などが「突然」起こることを脳卒中の代表的な症状として挙げています。

このような症状が突然現れた場合は、様子を見ず119番通報して救急車を要請してください。

脳卒中は治療開始までの時間が非常に重要です。

この記事では、

  • 救急車を呼ぶべき「しびれ」
  • 様子を見ず受診したほうがよい症状
  • しびれが起こる仕組み
  • 脳卒中と末梢神経障害などの違い
  • しびれが起きたときの対応
  • やってはいけない行動

について、一般の方にも分かりやすく解説します。

※この記事は一般的な判断の目安を解説するもので、個別の診断を行うものではありません。症状が強い場合や判断に迷う場合は、医療機関や救急相談窓口などへ相談してください。


1.結論:こんな「しびれ」は救急車を呼ぶ

手足のしびれで最も見逃したくない原因の一つが脳卒中です。

脳卒中には主に、

  • 脳の血管が詰まる「脳梗塞」
  • 脳の血管が破れる「脳出血」
  • 脳動脈瘤などが破裂する「くも膜下出血」

があります。

脳梗塞や脳出血では、脳の一部の働きが突然障害されるため、手足のしびれだけでなく、麻痺や言語障害などが突然現れることがあります。

【緊急度:高】119番を考える症状

次のような症状が突然現れた場合は注意してください。

  • 片方の顔や手足がしびれる
  • 片方の手足に力が入らない
  • 持っていた物を突然落とす
  • 片足がもつれて歩けない
  • 急に立てない、まっすぐ歩けない
  • ろれつが回らない
  • 言葉が出てこない
  • 相手の言葉を理解できない
  • 顔の片側がゆがむ
  • 片方の目が見えない
  • 視野の半分が欠ける
  • 物が二重に見える
  • 突然、経験したことのない激しい頭痛が起こる

これらは、日本脳卒中協会が示している脳卒中の代表的な症状にも含まれています。

重要なのは、「突然起こったかどうか」です。

たとえば、

「朝までは普通だったのに、突然右手がしびれて箸を落とした」

「テレビを見ていたら突然ろれつが回らなくなった」

「突然左足に力が入らなくなり、立てなくなった」

といった変化は、脳卒中を疑う重要なサインです。

このような場合は、自分で車を運転して病院へ行かず、119番通報してください。


2.脳卒中を見つける「FAST」を覚えておこう

脳卒中を疑う代表的な症状を覚える方法として「FAST(ファスト)」があります。

F:Face(顔)

「笑ってみてください」と声をかけます。

片側の口角が下がる、顔が左右非対称になる場合は注意が必要です。

A:Arm(腕)

両腕を前に伸ばしてもらいます。

片方の腕が下がってくる、片腕を上げられない場合は、麻痺が起きている可能性があります。

S:Speech(言葉)

簡単な文章を話してもらいます。

  • ろれつが回らない
  • 言葉が出ない
  • 話している内容がおかしい
  • こちらの言葉を理解できない

といった異常がないか確認します。

T:Time(時間)

F・A・Sの症状が1つでも突然現れたら、発症した時刻を確認して119番通報します。

厚生労働省も、顔・腕・言葉の異常が突然1つでも起きた場合は脳卒中を疑い、速やかに救急車を呼ぶことを勧めています。


3.「何時からおかしくなったか」が非常に重要

脳卒中が疑われる場合、救急隊や医師から、

「最後に普通だったのは何時ですか?」

と確認されることがあります。

これは非常に重要な情報です。

たとえば、

「朝7時に家族と普通に会話していた」

「8時30分ごろ突然右手に力が入らなくなった」

という情報があれば、症状が始まった時刻を判断する大きな手掛かりになります。

就寝中に発症し、起床したときに症状に気付いた場合など、正確な発症時刻が分からないケースもあります。

その場合は、

「最後に症状がなかったことを確認できた時刻」

を救急隊や医療機関へ伝えてください。


4.なぜ脳卒中は「時間との勝負」なのか

脳梗塞では、脳の血管が血栓などによって詰まり、その先の脳組織へ十分な血液が届かなくなります。

血流が途絶えた状態が続くほど脳組織へのダメージが進むため、できるだけ早く専門的な評価と治療につなげることが重要です。

急性期脳梗塞では、患者さんの状態や画像検査などをもとに、

  • 血栓を溶かす薬を使用する「静注血栓溶解療法」
  • カテーテルで血栓を取り除く「機械的血栓回収療法」

などが検討される場合があります。

静注血栓溶解療法は一般に発症から4.5時間以内が重要な治療時間の目安になります。

ただし、治療できるかどうかは単純に発症からの時間だけで決まるものではありません。

また、現在は画像検査などによって患者さんを選択し、より時間が経過したケースでも機械的血栓回収療法などが検討される場合があります。

そのため、

「もう何時間も経っているから救急車を呼んでも遅い」

と自己判断してはいけません。

脳卒中を疑う症状がある場合は、時間が経過していても速やかに医療につなげることが重要です。


5.「しびれが治った」場合も注意する

もう一つ重要なのが、

「突然しびれたけれど、しばらくしたら治った」

というケースです。

症状が消えたからといって、必ずしも安心できるとは限りません。

脳への血流が一時的に障害され、脳卒中と似た症状が一過性に起こる一過性脳虚血発作(TIA)などの可能性があります。

TIAでは、

  • 片方の手足に力が入らない
  • 片側がしびれる
  • ろれつが回らない
  • 言葉が出ない
  • 見え方がおかしい

といった症状が一時的に現れ、その後改善することがあります。

しかし、症状が消えたからといって放置してよいわけではありません。

TIAは、その後の脳梗塞につながる可能性があるため、迅速な医学的評価が必要です。

「治ったから明日まで様子を見よう」と自己判断せず、突然の神経症状があったことを医療機関へ伝えてください。


ここまでのポイント

手足のしびれで最も重要なのは、

「しびれているか」だけではなく、「どのように始まり、ほかに何が起きているか」を確認することです。

特に、

突然の片側のしびれ・麻痺

顔のゆがみ・言葉の異常・歩行障害・視覚異常

がある場合は、脳卒中を疑います。

「少し待てば治るかもしれない」ではなく、119番通報を考える症状です。

脳卒中は、早期発見と早期治療がその後の経過を大きく左右します。

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6.なぜ手足の「しびれ」が起こるのか?

「しびれ」と一言でいっても、その感じ方は人によって異なります。

たとえば、

  • ジンジンする
  • ピリピリする
  • ビリビリする
  • 感覚が鈍い
  • 触られている感じが分かりにくい
  • 熱さや冷たさを感じにくい
  • 手足に力が入りにくい

など、さまざまな訴えがあります。

日本神経学会では、「しびれ」という言葉には、感覚が鈍くなる感覚鈍麻だけでなく、何もしていないのにジンジン・ビリビリするといった異常感覚、さらには「力が入りにくい」といった運動症状まで含めて表現されることがあるとしています。

そのため、「しびれる」という言葉だけでは原因を判断できません。

重要なのは、

「どこが」「いつから」「どのように」しびれているのか

そして、

「しびれ以外の症状があるか」

を確認することです。


7.感覚は「手足→神経→脊髄→脳」と伝わる

私たちが、

「手を触られた」

「足が冷たい」

「指が痛い」

と感じるためには、皮膚などで受け取った情報が神経を通って脳まで正しく伝わる必要があります。

大まかな流れは次のようになります。

手足・皮膚など

末梢神経

脊髄



「触られた」「痛い」「しびれる」などと認識

日本神経学会も、しびれは感覚受容器から末梢神経、脊髄、大脳へ至る感覚の伝導路のどこかに障害が起こることで生じると説明しています。

つまり、

「手がしびれる=手そのものに原因がある」

とは限りません。

原因は、

  • 脊髄
  • 神経根
  • 末梢神経

など、まったく別の場所にある可能性があります。

そして、障害される場所によって、しびれの出方にも特徴があります。


8.脳が原因のしびれ

最初に確認したいのが、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害です。

日本神経学会によると、脳血管障害によるしびれは一般に、

「急に現れる片側性の症状」

としてみられることが多いとされています。

たとえば、

  • 突然、右手と右足がしびれた
  • 左の顔と左手が突然しびれた
  • 片側の手足が突然動かしにくくなった

といった症状です。

日本脳卒中協会も、脳卒中では片方の手足や顔半分の麻痺・しびれが突然起こることがあるとしています。

「しびれだけ」の脳卒中もある

ここは非常に重要です。

脳卒中というと、

「完全に手足が動かなくなる」

「意識を失って倒れる」

というイメージを持つ方もいるかもしれません。

しかし、脳血管障害では、必ずしも大きな麻痺が起こるとは限りません。

日本神経学会によると、筋力低下を伴うことが多いものの、感覚障害だけが症状として現れる場合もあります。

たとえば、

「突然、片手だけ感覚がおかしくなった」

というケースでも、脳卒中を完全に否定することはできません。

特に、

  • 突然始まった
  • 片側だけ
  • 今まで経験したことがない
  • 顔や口の周りにも違和感がある

といった場合は注意が必要です。


9.「口の周り+片手」のしびれにも注意

「手足全部ではないから脳卒中ではない」

とも限りません。

日本神経学会では、口の周囲と片側の手がしびれる場合にも脳血管障害の可能性があるため注意が必要としています。

そのため、

「右手の指先と口の右側だけが急にしびれた」

など、症状の範囲が狭い場合でも、突然発症した神経症状は軽視しないことが大切です。


10.首・脊髄が原因のしびれ

一方、しびれの原因は脳だけではありません。

首の骨である頚椎や、その中を通る脊髄、脊髄から枝分かれする神経根が圧迫されることでも、手足のしびれが起こります。

日本神経学会では、頚椎や腰椎など脊椎の異常によって神経が圧迫されることは、慢性的なしびれの代表的な原因の一つとされています。


頚椎症性神経根症

首から出ている神経の根元が圧迫されることで、

  • 首から肩が痛い
  • 腕がしびれる
  • 手や指がしびれる
  • 腕に力が入りにくい

といった症状が起こることがあります。

日本整形外科学会によると、頚椎症性神経根症では腕や手のしびれ・痛みがみられ、首を後ろへ反らすことで症状が強くなる場合があります。

ただし、

「首を動かすとしびれる=必ず頚椎症」

と自己判断することはできません。

同じような症状を起こす病気はほかにもあるため、症状が続く場合は整形外科などで評価を受けることが大切です。


11.脊髄が圧迫されると「手だけ」では済まないこともある

首の神経根だけでなく、脊髄そのものが圧迫されると、症状が広い範囲に及ぶことがあります。

たとえば、

  • 両手がしびれる
  • 手先が不器用になる
  • 箸を使いにくい
  • ボタンを掛けにくい
  • 歩きにくい
  • 足がもつれる

などです。

日本脊椎脊髄病学会も、手足のしびれは脊髄の病気や末梢神経の障害などによって生じると説明しています。

このように、

「手がしびれるから手の病気」

とは限らないことが分かります。

首の脊髄に問題があれば、手だけでなく足の症状が同時に現れることもあります。


12.腰から足にかけてしびれる場合

腰の神経が圧迫されると、

  • お尻
  • 太もも
  • ふくらはぎ
  • 足先

などに痛みやしびれが現れることがあります。

代表的な原因として、

  • 腰椎椎間板ヘルニア
  • 腰部脊柱管狭窄症

などがあります。

特に腰部脊柱管狭窄症では、歩いているうちに足の痛みやしびれが強くなり、休むと再び歩けるようになる間欠性跛行がみられることがあります。

ただし、足のしびれは腰だけでなく、末梢神経障害や血流障害、脳や脊髄の病気などでも起こります。

症状だけで原因を決めつけないことが大切です。


13.見逃したくない「脊髄・馬尾」の緊急症状

首や腰の病気だからといって、すべてが「数日様子を見てもよい」というわけではありません。

次のような症状が突然、あるいは急速に悪化している場合は注意が必要です。

  • 急に両足に力が入らなくなった
  • 急に歩けなくなった
  • しびれや麻痺が急速に広がっている
  • 尿が出にくい、または排尿できない
  • 尿や便を漏らすようになった
  • 股の間や陰部周辺の感覚がおかしい
  • 強い腰痛とともに両足の麻痺・しびれが出た

こうした症状では、脊髄や神経の束である馬尾などが強く圧迫されている可能性があります。

急激な麻痺や排尿・排便の異常を伴う場合は、早急な医療評価が必要です。

特に「歩けない」「急速に麻痺が進んでいる」といった場合は、通常の外来受診まで待たず、救急要請も含めて判断してください。


14.末梢神経が原因のしびれ

脳や脊髄より身体の外側を走っている神経を末梢神経と呼びます。

この末梢神経が、

  • 圧迫される
  • 傷つく
  • 炎症を起こす
  • 代謝性疾患などによって障害される

ことでも、しびれが起こります。

末梢神経障害では、障害された神経が支配している範囲に沿って症状が出ることがあります。


手根管症候群

代表例の一つが手根管症候群です。

手首にある「手根管」という狭い通路を通る正中神経が圧迫されることで、手指にしびれなどが起こります。

一般的には、

  • 親指
  • 人差し指
  • 中指
  • 薬指の親指側

などにしびれや痛みが現れます。

進行すると、親指の付け根の筋肉が弱くなったり、細かい作業がしにくくなったりすることがあります。

このような症状は通常、突然発症する脳卒中とは症状の分布や経過が異なります。

ただし、症状だけで自己診断するのは避けてください。


15.糖尿病などでも手足がしびれる

末梢神経は、糖尿病など全身の病気によって障害されることもあります。

糖尿病性神経障害では、一般的に足先など身体の末端から症状が始まり、

  • 足先がジンジンする
  • 足の裏の感覚が鈍い
  • 左右両側に似た症状がある

などの形で現れることがあります。

長期間続く感覚低下によって、足に傷ができても気付きにくくなることもあるため、放置すべき症状ではありません。

一方で、

「糖尿病があるから、このしびれも糖尿病だろう」

と決めつけるのも危険です。

糖尿病がある方でも脳卒中など別の病気を発症することはあります。

突然片側にしびれが出た場合は、持病だけを理由に自己判断しないようにしてください。


16.「脳・脊髄・末梢神経」の違いを簡単に比較

しびれの原因は、症状の出方からある程度推測できる場合があります。

障害される場所しびれの特徴の一例一緒に起こり得る症状緊急性
突然、身体の片側など顔のゆがみ、麻痺、言語障害、視覚障害など高い
脊髄手足など広い範囲歩行障害、手の不器用さ、筋力低下など症状によって高い
神経根腕や足など一定の範囲首・腰の痛み、放散痛など多くは外来だが例外あり
末梢神経特定の指、足先など感覚低下、筋力低下など原因による

ただし、この表はあくまで一般的な特徴です。

実際には症状が典型的でないケースもあるため、

「この出方なら絶対に脳卒中ではない」

という判断には使えません。


17.しびれを見るときは「場所」より「始まり方」が重要

一般の方がしびれを判断するとき、特に意識してほしいのが、

「いつ、どのように始まったのか」です。

脳卒中を疑いやすい経過

「朝9時までは普通だったのに、9時10分ごろ突然右手がしびれた」

「食事中に突然箸を落とし、言葉がおかしくなった」

このような急激な変化は注意が必要です。

日本神経学会も、脳血管障害によるしびれは急に出現する片側性の症状であることが多いとしています。

首・腰などが原因でみられることがある経過

一方、

「数週間前から手がしびれている」

「首の痛みと一緒に腕がしびれる」

「以前から歩くと足がしびれる」

といった症状では、脊椎や神経根などの病気も考えられます。

もちろん例外はあります。

だからこそ、

突然の発症は緊急性を判断する重要なポイント

として覚えておきましょう。


ここまでのポイント

手足のしびれは、

脳 → 脊髄 → 神経根 → 末梢神経

という感覚を伝える経路のさまざまな場所の異常によって起こります。

特に覚えてほしいのは、

「突然」「片側」「今までなかった神経症状」

です。

突然、片側の手足がしびれたり、力が入らなくなった場合、脳卒中の可能性を考える必要があります。日本脳卒中協会も、片側の手足・顔半分の麻痺やしびれが突然起こることを代表的な脳卒中症状として挙げています。

一方、首や腰の病気、末梢神経障害などでもしびれは起こります。

大切なのは、

「しびれ=脳卒中」でもなければ、「しびれだけだから大丈夫」でもない

ということです。

症状の始まり方、左右差、麻痺の有無、言葉・顔・歩行などの変化を合わせて判断する必要があります。

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  • 間違いの振り返り:問題集は“なぜ間違えたか”を書き出して次に活かしましょう。
  • 反復教材を活用:Deru-Qや〇×問題集は、通勤・休憩時間の“繰り返し”用に。
  • 模試形式の練習:本番同様に時間を計り、“試験モード”の集中力を養う。
  • 気分転換教材を1冊:語呂・イラスト系参考書を加えて「継続しやすい環境」をつくる。

18.救急車を呼ぶ?病院へ行く?しびれの受診目安

ここまで解説してきたように、手足のしびれには脳卒中のように一刻を争う病気から、末梢神経や首・腰の病気など、緊急性が比較的低いものまでさまざまな原因があります。

そのため、

「しびれがあるかどうか」だけで救急車の必要性を判断することはできません。

ポイントになるのは、

  • 突然始まったか
  • 片側だけか
  • 力が入らないか
  • 顔や言葉に異常がないか
  • 歩けるか
  • 急速に悪化していないか
  • 排尿・排便に異常がないか

などです。


19.【緊急度:高】119番を考えるしびれ

次のような症状がある場合は、救急車を要請することを考えてください。

突然、片側の手足がしびれた

特に、

「右手と右足」
「左手と左足」
「顔の片側と同じ側の手足」

など、身体の片側に突然症状が出た場合は、脳卒中を疑う重要なサインです。

さらに、

  • 顔がゆがむ
  • 片方の手足に力が入らない
  • ろれつが回らない
  • 言葉が出ない
  • 相手の言葉を理解できない
  • 急に歩けなくなった
  • 視野がおかしい
  • 物が二重に見える

などを伴う場合は、様子を見ないでください。

突然起こった神経症状は119番を考える状態です。


しびれ+突然の激しい頭痛

突然、

「今まで経験したことのないような激しい頭痛」

が起こり、しびれや麻痺、意識の異常などを伴う場合も緊急性があります。

くも膜下出血など重篤な病気が隠れている可能性があるため、119番通報してください。


急に歩けない・立てない

「しびれる」という訴えでも、実際には感覚障害ではなく筋力低下や麻痺が起きている場合があります。

  • 急に足に力が入らない
  • 立とうとしても立てない
  • 歩くと片側へ倒れる
  • 急に足がもつれる
  • 数分〜数時間で症状が悪化している

などの場合も、救急要請を考えてください。


急激な両足の麻痺+排尿・排便異常

脳卒中以外にも緊急性の高い神経疾患があります。

特に、

  • 両足に急激なしびれ・麻痺が出た
  • 尿が出ない
  • 急に尿や便を漏らすようになった
  • 股の間や陰部周辺の感覚がおかしい
  • 強い腰痛とともに足の麻痺が進んでいる

といった場合は、脊髄や馬尾などの神経が障害されている可能性があります。

このような症状を「腰痛だから」と長時間様子を見るのは避け、速やかに医療につなげてください。


20.救急車ではなくても「早めに受診」したいしびれ

緊急性が高い症状がなくても、しびれが続いている場合は原因を調べる必要があります。

たとえば、

  • 数日以上しびれが続いている
  • 徐々にしびれる範囲が広がっている
  • 何度もしびれを繰り返す
  • 手に力が入りにくくなってきた
  • 細かい作業が難しくなった
  • 歩きにくくなってきた
  • 首や腰の痛みと一緒にしびれる
  • 両足の感覚が徐々に鈍くなっている

といった場合です。

「救急車を呼ぶほどではない=放置してよい」

という意味ではありません。

症状が持続・進行している場合は、医療機関を受診しましょう。


21.手足のしびれは何科を受診する?

原因によって適した診療科は異なります。

しびれの特徴考えられる原因の例受診先の目安緊急度
突然の片側のしびれ・麻痺脳梗塞・脳出血など救急医療機関119番を検討
顔のゆがみ・言葉の異常を伴う脳卒中など救急医療機関119
首の痛み+腕・手のしびれ頚椎・神経根の病気など整形外科早めに受診
腰痛+足のしびれ腰椎・神経根の病気など整形外科早めに受診
手足の先から徐々にしびれる末梢神経障害など脳神経内科・内科など早めに受診
特定の指が繰り返ししびれる末梢神経の圧迫など整形外科など症状が続けば受診
急激な両足麻痺+排尿障害脊髄・馬尾障害など救急医療機関緊急

この表はあくまで一般的な目安です。

しびれの原因は症状だけでは判断できないことも多いため、診療科が分からない場合は、まずかかりつけ医や地域の医療相談窓口へ相談する方法もあります。

ただし、突然の麻痺・言語障害・意識障害などがある場合は、診療科を探している時間を使わず119番通報してください。


22.しびれが起きたときに確認してほしいこと

救急隊や医師に症状を伝えるときは、単に、

「手がしびれます」

だけではなく、次の情報が非常に重要です。

いつ始まったか

「朝8時30分ごろ突然始まった」

など、できるだけ具体的に確認します。

正確な時刻が分からない場合は、

「最後に正常だったことを確認できた時刻」

を伝えます。

どこがしびれているか

「右手だけ」

「右手と右足」

「両足の先」

「親指から中指」

など、具体的に伝えましょう。

突然か、徐々にか

これは非常に重要です。

突然発症した神経症状は、脳卒中など緊急性の高い病気を考える重要な情報になります。

力は入るか

  • 両手を同じように握れるか
  • 腕を上げられるか
  • 歩けるか

なども重要な情報です。

ただし、転倒する可能性があるため、無理に歩かせて確認する必要はありません。

ほかの症状はないか

  • 顔のゆがみ
  • 言葉の異常
  • 頭痛
  • めまい
  • 吐き気・嘔吐
  • 見え方の異常
  • 意識状態の変化

などを確認します。


23.救急車を呼んだらどうする?

脳卒中などが疑われる場合は、まず119番通報します。

救急隊が到着するまでの間は、

安全な場所で安静にする

転倒を防ぐため、無理に立ったり歩いたりしないようにします。

発症時刻を確認する

「何時から症状が始まったか」を確認します。

発症時刻が不明なら、最後に普段どおりだった時刻を確認しておきます。

持病・薬の情報を準備する

可能であれば、

  • お薬手帳
  • 健康保険に関する情報
  • 普段飲んでいる薬
  • これまでの病気
  • アレルギー

などを確認しておくと、救急隊や医療機関への情報提供に役立ちます。

特に、血液を固まりにくくする薬などを使用している場合は、その情報も重要です。


24.しびれがあるときに「やってはいけないこと」

× 自分で車を運転する

脳卒中などでは、症状が突然悪化する可能性があります。

運転中に麻痺や意識障害が進行すれば、交通事故につながる危険があります。

脳卒中を疑う症状がある場合は、自分で運転せず119番通報してください。


× 無理に歩かせる

「歩けるか確認してみよう」

と無理に立たせる必要はありません。

麻痺や平衡障害があれば転倒する危険があります。


× 食べ物や飲み物を無理に与える

脳卒中では、飲み込む機能が障害される場合があります。

本人が、

「喉が渇いた」

と言っていても、脳卒中を疑う状態では自己判断で飲食させるのは避けましょう。


× 自己判断で薬を追加する

特に、

「脳梗塞かもしれないから血液をサラサラにする薬を飲もう」

と自己判断するのは危険です。

脳卒中には脳梗塞だけでなく脳出血もあり、症状だけでは区別できません。

普段処方されている薬についても、急性症状がある場合の追加服用などは自己判断せず、救急隊や医療機関へ相談してください。


× 首を強く揉む・無理に動かす

首や神経の病気などが原因の可能性もあります。

原因が分からない状態で、

  • 首を強く揉む
  • 無理にストレッチする
  • 首を勢いよく回す
  • 「ボキボキ」と鳴らす

などの行為は避けましょう。


× 「治ったから大丈夫」と放置する

これは特に注意してください。

突然、

「片手がしびれた」

「言葉が出なかった」

「片側に力が入らなかった」

などの症状があり、その後完全に治った場合でも、一過性脳虚血発作(TIA)などの可能性があります。

突然の神経症状が一度でもあった場合は、症状が改善したことだけを理由に放置しないことが重要です。


25.救急車を呼ぶか迷ったら「#7119」

「救急車を呼ぶほどなのか判断できない」

という場合、地域によっては救急安心センター「#7119」を利用できます。

#7119では、急な病気やけがで、

  • 救急車を呼ぶべきか
  • 今すぐ病院へ行くべきか
  • どのように対応すればよいか

などを電話で相談できます。

相談内容から緊急性が高いと判断された場合には、119番通報への転送や、119番へかけ直すよう案内される場合があります。

ただし、#7119は全国すべての地域で同じように利用できるわけではなく、対象地域や受付時間などが異なります。

お住まいの地域の実施状況を事前に確認しておくと安心です。

また、

顔のゆがみ・片側の麻痺・言葉の異常など、明らかに脳卒中を疑う症状が突然現れている場合は、#7119への相談を挟まず119番通報してください。


26.手足のしびれを「予防」するためにできること

すべてのしびれを予防できるわけではありません。

しかし、脳卒中などのリスクを下げるためには、生活習慣病を適切に管理することが重要です。

血圧を管理する

高血圧は脳卒中の重要な危険因子です。

健診などで高血圧を指摘されている場合は、放置せず適切な治療を受けましょう。

糖尿病・脂質異常症を管理する

糖尿病や脂質異常症なども動脈硬化や脳卒中と関連します。

定期的な健診と、必要に応じた治療を続けることが大切です。

禁煙する

喫煙も脳卒中など心血管疾患のリスクと関連します。

喫煙している方は禁煙を検討しましょう。

適度な運動を続ける

体調や持病に合わせた適度な身体活動は、生活習慣病の予防・管理にも役立ちます。

ただし、すでに首・腰の痛みや手足のしびれがある場合は、無理な運動を始める前に医療機関へ相談してください。


まとめ|突然の「片側のしびれ」を見逃さない

手足のしびれには、長時間同じ姿勢をとったことによる一時的なものから、末梢神経障害、首や腰の病気、そして脳卒中など、さまざまな原因があります。

そのなかでも特に覚えてほしいのが、

「突然」「片側」「神経症状」

です。

突然、

  • 片側の手足がしびれる
  • 片側に力が入らない
  • 顔がゆがむ
  • ろれつが回らない
  • 言葉が出ない
  • 急に歩けない
  • 見え方がおかしい

といった症状が出た場合は、脳卒中を疑う重要なサインです。

このような場合は「もう少し様子を見よう」と待たず、119番通報してください。

また、症状が数分〜数十分で消えたとしても、それだけで安全とは判断できません。

しびれは「どこがしびれているか」だけでなく、

いつ始まったのか
突然なのか徐々になのか
片側なのか両側なのか
麻痺や言語障害などを伴っていないか

を確認することが重要です。

そして何より、

「しびれだけだから大丈夫」と決めつけないこと。

突然起こった身体の異変には、身体からの重要なサインが隠れている可能性があります。

迷ったときは地域の救急相談窓口を活用し、明らかな脳卒中症状がある場合は迷わず119番通報してください。

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