けいれんで救急車を呼ぶべき?危険な症状と受診の目安【救急救命士・防災士監修】

突然、目の前で家族や身近な人がけいれんを起こしたら、

「すぐに救急車を呼んだほうがいい?」
「何分くらいなら様子を見ても大丈夫?」
「口の中に何か入れたほうがいい?」

と、慌ててしまう方も多いでしょう。

けいれんは、てんかんだけで起こる症状ではありません。

発熱、低血糖、脳卒中、頭部外傷、髄膜炎・脳炎など、さまざまな原因によって起こる可能性があります。

そのため大切なのは、けいれんを目撃したときに原因を推測することではなく、

「何分続いているか」「呼吸や顔色はどうか」「意識が戻っているか」

を確認することです。

特に、

  • けいれんが5分以上続いている
  • 一度止まっても意識が戻らないまま再び発作が起きた
  • 発作後も呼吸が正常に戻らない
  • 顔色が明らかに悪い
  • 頭を強く打ったあとにけいれんした
  • 水中でけいれんが起きた

などの場合は、速やかな救急対応が必要です。

また、初めて起きた原因不明のけいれんについても、発作が止まったからといって自己判断で放置せず、医療機関で評価を受けることが重要です。

この記事では、

  • けいれんで救急車を呼ぶべき症状
  • けいれんが起こる仕組み
  • 子ども・成人・高齢者で考えられる原因
  • けいれんが起きたときの正しい対応
  • 絶対にやってはいけない行動
  • 救急隊や医師に伝えてほしい情報

について、一般の方にも分かりやすく解説します。

※この記事は一般的な判断の目安を解説するものであり、個別の診断を行うものではありません。明らかな緊急症状がある場合は119番通報してください。


1.結論:こんな「けいれん」は救急車を呼ぶ

けいれんを目撃したとき、まず確認したいのは、

「発作の持続時間」「意識」「呼吸・顔色」

です。

【緊急度:高】119番を考える症状

次のような場合は、速やかに119番通報してください。

  • けいれんが5分以上続いている
  • けいれんが繰り返し起こり、意識が十分に戻らない
  • 発作後も正常な呼吸が確認できない
  • 顔色が明らかに悪い
  • けいれん中や転倒時に大きなけがをした
  • 頭を強く打ったあとにけいれんが起きた
  • 水中でけいれんが起きた

また、初めて起きた原因不明のけいれんについても、発作後に回復したように見えても医療機関で評価を受けることが重要です。

「けいれんが止まった=原因も解決した」

とは限りません。


2.なぜ「5分」が重要なのか?

けいれんを目撃したら、可能であれば発作が始まった時刻を確認してください。

これは救急隊や医師にとって非常に重要な情報です。

多くのけいれん発作は数分以内に自然に止まります。

一方、けいれんが5分以上続く場合は、自然に止まりにくくなる可能性があり、緊急の治療が必要となる「けいれん性てんかん重積状態」として対応する重要な時間的目安になります。

そのため、

「もう少し待てば止まるかもしれない」

と長時間様子を見るのは避けてください。

5分以上続いている場合は、119番通報を考える状態です。

子どもの熱性けいれんについても、日本小児神経学会は、多くが5分以内に自然に止まる一方、5分以上続く場合には救急搬送が必要な状態として説明しています。


3.けいれんとは?身体の中で何が起きているのか

「けいれん」という言葉は、身体の一部または全身の筋肉が、自分の意思とは関係なく収縮する状態を表す言葉として使われます。

原因の一つに、脳の神経細胞に生じる過剰な電気的活動があります。

脳には非常に多くの神経細胞が存在し、電気的・化学的な信号を使って情報をやり取りしています。

通常は、この神経活動が適切に調節されることで、

  • 手を動かす
  • 足を動かす
  • 話す
  • 見る
  • 感じる

といった身体の働きが保たれています。

しかし、脳の神経細胞に異常な電気的活動が生じると、その場所や広がり方によって、意識や運動、感覚などにさまざまな症状が現れることがあります。

けいれん=てんかんとは限らない

ここは非常に重要です。

「けいれんを起こした=てんかん」ではありません。

けいれんは、

  • 発熱
  • 低血糖などの代謝異常
  • 頭部外傷
  • 脳卒中
  • 中枢神経系の感染症
  • 薬物やアルコールなどの影響
  • てんかん

など、さまざまな原因によって起こる可能性があります。

そのため、初めてけいれんを起こした場合に、周囲の人が「てんかんだろう」と原因を決めつけるのは避けましょう。

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4.けいれん発作は全身がガクガクするとは限らない

けいれんというと、

「突然倒れて、意識を失い、全身が激しくガクガクする」

という姿をイメージする方が多いかもしれません。

しかし、発作の症状はそれだけではありません。

たとえば、

  • 片方の腕や足だけが繰り返し動く
  • 顔の一部がピクピクする
  • 身体が突然硬くなる
  • 一点を見つめて反応しなくなる
  • 呼びかけに反応しなくなる
  • 発作後にしばらくぼんやりする

など、さまざまな症状が現れることがあります。

そのため、

「全身がガクガクしていないから発作ではない」

とは判断できません。


5.意識が戻らないまま発作を繰り返す場合も緊急

けいれんが一度止まったとしても、安心できない場合があります。

特に注意したいのが、

発作と発作の間に意識が十分に回復しないまま、次の発作が起こる場合

です。

このような状態も、てんかん重積状態として緊急の治療が必要になる可能性があります。

「一度止まったから5分をリセットしてよい」

と単純に考えるのではなく、意識が戻っているか、呼吸や顔色が改善しているかを確認してください。


6.けいれん後の「呼吸」を確認する

けいれん中や発作直後には、呼吸が不規則になったり、顔色が悪く見えたりすることがあります。

大切なのは、発作が止まったあとに正常な呼吸が戻っているかを確認することです。

発作後も、

  • 呼吸が確認できない
  • 普段どおりの呼吸ではない
  • 顔色が著しく悪い
  • 反応がなく、呼吸状態もおかしい

といった場合は、ただちに119番通報してください。

呼吸がない、または普段どおりの呼吸がない場合は、けいれんへの対応ではなく、心停止を疑った一次救命処置が必要になります。


7.頭を打ったあとに起きたけいれん

頭部外傷のあとにけいれんが起きた場合も注意が必要です。

転倒や交通事故、高所からの転落などによって頭部に強い衝撃を受けたあとに発作が起きた場合、頭蓋内の損傷などを伴っている可能性があります。

また、

「けいれんしたから転倒した」のか、

「転倒して頭を打った結果、けいれんした」のか、

目撃した人にも分からない場合があります。

そのため、頭部外傷を伴うけいれんでは、発作だけでなく外傷についても救急隊へ伝えることが重要です。


8.水中で起きたけいれんは119番

浴槽やプール、川や海など、水中でけいれんが起きた場合は特に危険です。

発作そのものに加えて、溺水によって呼吸障害を起こす危険があるからです。

まずは自分自身の安全を確保したうえで、可能であれば水中から安全な場所へ移し、反応と呼吸を確認します。

正常な呼吸が確認できない場合は、119番通報と一次救命処置が必要です。

水中で発作が起きた場合は、けいれんが短時間で止まったとしても、救急要請を考えてください。


ここまでのポイント

けいれんを目撃したときに、一般の方が病名を判断する必要はありません。

まず確認してほしいのは、

「時間・意識・呼吸」

です。

特に、

5分以上続くけいれん

意識が戻らない・繰り返す・呼吸がおかしい

といった状態は、速やかな救急対応が必要です。

そして、けいれんが起きたら、

「何時何分に始まったか」

を確認してください。

発作の持続時間は、その後の救急活動や医療機関での診断・治療につながる重要な情報になります。

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9.年齢によって「けいれん」の原因は異なる

けいれんは、子どもから高齢者まで幅広い年代で起こります。

しかし、その原因は年齢や持病、発熱の有無などによって異なります。

そのため、

「子どものけいれんだから熱性けいれんだろう」

「てんかんの持病があるから今回もいつもの発作だろう」

と、周囲の人が原因を決めつけないことが重要です。


10.子どものけいれんで多い「熱性けいれん」

乳幼児のけいれんでよく知られているのが、発熱に伴って起こる熱性けいれん(熱性発作)です。

一般的には、生後6か月から5歳までの子どもに、通常38℃以上の発熱に伴って起こる発作を熱性けいれんと呼びます。

熱性けいれんでは、

  • 突然意識を失う
  • 白目をむく
  • 身体が硬くなる
  • 手足がガクガクする
  • 顔色が悪くなる

などの症状がみられることがあります。

一方で、身体の力が抜け、ぼんやりして反応がなくなるような症状として現れることもあります。

多くの熱性けいれんは5分以内に自然に止まります。

しかし、5分以上けいれんが続いている場合は救急車を要請してください。

また、

  • 初めて起こした熱性けいれん
  • 顔色が悪い
  • 発作後も意識がなかなか戻らない
  • けいれんを繰り返す
  • 発熱に加えて全身状態が悪い

などの場合も、医療機関での評価が重要です。

発熱+けいれん=すべて熱性けいれんではない

ここは特に注意してください。

子どもが発熱中にけいれんしたとしても、

「熱があるから熱性けいれんだ」

と決めつけることはできません。

発熱とけいれんを起こす病気の中には、髄膜炎や急性脳症など、迅速な診断・治療が必要な病気もあります。

初めての熱性けいれんの場合は、発作が止まったとしても医療機関を受診しましょう。


11.成人で初めて起きたけいれん

成人で初めてけいれんが起きた場合も、原因を調べる必要があります。

けいれんは「てんかん」だけで起こるものではなく、

  • 脳卒中など脳の病気
  • 頭部外傷
  • 中枢神経系の感染症
  • 低血糖などの代謝異常
  • 薬物などの影響
  • アルコールに関連するもの
  • てんかん

など、さまざまな原因で起こる可能性があります。

したがって、

「けいれんが止まって普通に戻ったから大丈夫」

とは限りません。

特に初めて起きた原因不明のけいれんは、発作後の状態も含めて医療機関で評価を受けることが大切です。


12.高齢者のけいれんも「年齢のせい」にしない

高齢者にけいれんが起きた場合も注意が必要です。

脳血管障害など、脳に生じた病変が発作に関係する場合があります。

また、過去に脳の病気を経験している人でも、その後に発作を起こすことがあります。

重要なのは、

「高齢だから」「昔、脳梗塞をやっているから」

などと周囲が原因を決めつけないことです。

初めてのけいれんや、普段とは明らかに異なる発作、発作後も意識や身体の状態がおかしい場合は、速やかに医療につなげましょう。


13.てんかんの診断を受けている人がけいれんした場合

すでにてんかんと診断され、発作を繰り返している人の場合、すべての発作で必ず救急車が必要になるとは限りません。

本人や家族が主治医から発作時の対応について説明を受けている場合は、その指示に従うことが基本です。

ただし、

  • 1回のけいれんが5分以上続く
  • 短い間隔で発作を繰り返す
  • 発作と発作の間に意識が戻らない
  • いつもの発作と明らかに違う
  • 大きなけがをした
  • 水中など危険な場所で発作が起きた
  • 発作後も呼吸状態がおかしい

などの場合は、救急要請を考えてください。

「いつものてんかんだから大丈夫」

と決めつけず、普段の発作との違いを見ることが重要です。


14.けいれんが起きたときの正しい応急手当

目の前で人が突然けいれんすると、何かをして発作を止めたくなるかもしれません。

しかし、周囲の人がけいれんそのものを止めることはできません。

最も重要なのは、

発作を無理に止めることではなく、けがや窒息などの二次的な危険から本人を守ること

です。


周囲の安全を確保する

まず、本人がけがをしないよう周囲を確認します。

近くに、

  • 階段
  • ガラス
  • 角のある家具
  • 機械
  • 車両

などがあれば、可能な範囲で危険を取り除きます。

頭を床などに強く打ち続ける可能性がある場合は、タオルや衣類など柔らかいものを頭の下に置く方法もあります。

ただし、けいれんしている身体を力ずくで押さえつける必要はありません。


発作が始まった時刻を確認する

けいれんを目撃したら、時計やスマートフォンなどで時間を確認してください。

重要なのは、

「何時に始まったか」
「何分間続いたか」

です。

5分以上続いているかどうかは、救急要請や治療を考えるうえで重要な情報になります。

感覚だけで、

「かなり長かった」

と判断するのではなく、可能であれば実際に時間を計りましょう。


衣服を緩める

首元を締め付ける衣類などがあれば、可能な範囲で緩めます。

眼鏡やヘアピンなど、発作中にけがにつながる可能性があるものも、安全に外せる場合は外します。


発作が収まったら呼吸を確認する

大きなけいれんが収まったら、反応や呼吸状態を確認します。

呼吸が戻っている場合は、必要に応じて身体を横向きにし、意識が回復するまで静かに見守ります。

発作後は唾液や嘔吐物などによって気道が妨げられる危険もあるため、横向きにすることが役立つ場合があります。

一方、

正常な呼吸が確認できない場合は119番通報し、一次救命処置が必要です。


15.けいれん中に絶対やってはいけないこと

昔から伝わっているけいれんへの対処法の中には、現在では推奨されないものがあります。

特に次の行動は避けてください。

× 口の中に割り箸・タオル・指などを入れる

けいれんしている人に、

「舌を噛まないように」

と、割り箸やスプーン、タオル、自分の指などを口に入れてはいけません。

無理に口を開けることで、

  • 口の中を傷つける
  • 歯を折る
  • 嘔吐を誘発する
  • 入れた物によって気道を妨げる
  • 介助者が指を噛まれる

などの危険があります。

けいれん中は口の中に何も入れない。

これは非常に重要です。


× 身体を力ずくで押さえつける

手足が激しく動いているからといって、複数人で身体を押さえ込む必要はありません。

押さえつけても発作が早く止まるわけではありません。

周囲の危険物を取り除き、本人がけがをしないよう見守ります。


× 身体を揺さぶる・叩く・大声で呼び続ける

けいれん中に、

「起きて!」

と身体を強く揺さぶったり、叩いたり、大声をかけ続けても、発作を止めることはできません。

まず安全を確保し、発作の状態を観察してください。


× 意識が戻る前に水や薬を飲ませる

発作が止まった直後でも、意識が十分に戻っていない場合があります。

この状態で水や内服薬を飲ませると、窒息や嘔吐につながる可能性があります。

意識が十分に回復していない人には、口から飲食物や薬を与えないでください。


× 無理に立たせる・歩かせる

発作後は、ぼんやりしたり、眠り込んだりする場合があります。

すぐに、

「もう大丈夫?」

と立たせたり歩かせたりすると、転倒してけがをする可能性があります。

安全な場所で休ませ、意識や身体の状態が回復するまで見守りましょう。


16.救急隊・医師に伝えてほしい「発作の観察ポイント」

けいれんの診断では、実際に発作を見ていた人からの情報が非常に重要です。

救急隊や医師から、

「どんなけいれんでしたか?」

と聞かれたときに、できるだけ具体的に説明できると、その後の診断や治療に役立ちます。

いつ始まり、何分続いたか

最も重要な情報の一つです。

「14時10分ごろ始まって、14時12分ごろ止まった」

など、可能な範囲で具体的に伝えます。


身体のどこから始まったか

  • 最初から全身だった
  • 右腕から始まった
  • 左の顔から始まった
  • 片足だけ動いていた

など、発作が始まった場所を覚えていれば伝えます。


手足はどのように動いていたか

  • 身体が突っ張って硬くなった
  • 手足がガクガクしていた
  • 左右同じように動いていた
  • 片側だけ動いていた

などを確認します。


目や顔はどうだったか

  • 目が上を向いていた
  • 右または左を向いていた
  • 顔色が悪かった
  • 唇の色がおかしかった

なども重要な情報です。


呼びかけに反応していたか

発作中、

  • 名前を呼ぶと反応した
  • 全く反応しなかった
  • 目は開いていたが会話できなかった

など、意識状態について分かる範囲で伝えます。


発作後はどうなったか

発作が止まったあとに、

  • すぐ普段どおりに戻った
  • 眠り込んだ
  • ぼんやりしていた
  • 会話がおかしかった
  • 手足に力が入りにくかった
  • 再びけいれんした

などの変化がなかったか確認します。


発熱・けが・持病・服薬など

可能であれば、

  • 発熱の有無
  • 頭を打っていないか
  • 糖尿病などの持病
  • てんかんの診断
  • 普段飲んでいる薬
  • 最近の薬の変更

なども伝えます。

お薬手帳があれば準備しておくと役立ちます。


17.安全を確保できていれば「動画」も診断の手掛かりになる

発作の様子を言葉だけで説明するのは簡単ではありません。

日本てんかん協会も、スマートフォンなどで発作の様子を録画しておくことは、診断や治療方針を考えるうえで有用な情報になるとしています。

ただし、

動画撮影より安全確保が最優先です。

危険な場所から離す、119番通報する、呼吸を確認するなど、必要な対応を後回しにして撮影するものではありません。

安全が確保され、ほかに介助者がいるなど余裕がある場合に、

  • 発作の始まり方
  • 顔や目の向き
  • 手足の動き
  • 左右差
  • 発作が終わるまでの経過

などが分かるように記録できれば、医療機関での重要な情報になることがあります。


ここまでのポイント

けいれんを目撃したときに大切なのは、

「止めようとする」のではなく「守りながら観察する」

ことです。

まず周囲の危険を取り除き、

時間を計る

身体を押さえつけない

口に物を入れない

発作後の意識・呼吸を確認する

必要なら119番通報

という流れを覚えておきましょう。

そして救急隊や医師には、

「いつ・何分・どこから・どう動いた・意識と呼吸・発作後の状態」

を伝えることが重要です。

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18.けいれんを予防するためにできること

けいれんにはさまざまな原因があるため、すべての発作を日常生活だけで予防できるわけではありません。

特に、初めて起きた原因不明のけいれんについては、

「寝不足だったから」
「疲れていたから」

などと自己判断せず、まず原因を医学的に評価することが重要です。

一方、すでにてんかんなどの診断を受けている場合は、主治医の指示に従いながら発作をコントロールしていきます。

処方された薬を自己判断で中止しない

抗発作薬などを処方されている場合は、医師の指示どおりに服用することが基本です。

発作がしばらく起きていないからといって、

「もう治っただろう」

と自己判断で薬を中止したり、量を変更したりするのは避けてください。

薬の変更や中止を考える場合は、必ず主治医へ相談しましょう。

自分の発作の特徴を把握しておく

てんかんなどで発作を繰り返している場合は、

  • どのような発作が起こるのか
  • 通常は何分くらい続くのか
  • 発作後はどのくらいで回復するのか
  • どのような場合に救急車を呼ぶのか
  • 発作時に使用する薬があるのか

などを本人だけでなく家族などとも共有しておくことが重要です。

主治医から発作時の対応について具体的な指示を受けている場合は、その内容も家族や周囲の人が確認できるようにしておきましょう。


19.発作が起きると危険な場所に注意する

けいれんでは、発作そのものだけでなく、

「発作がどこで起きたか」

によって危険性が大きく変わります。

特に注意したいのが、

  • 浴槽
  • プール
  • 海や川
  • 高所
  • 階段
  • 火を使用している場所
  • 道路付近

などです。

意識を失うタイプの発作がある人では、主治医とも相談しながら生活環境の安全対策を考えることが重要です。

家族も、

「発作が起きたら何をするか」

をあらかじめ知っておくと、突然の発作にも対応しやすくなります。


20.子どもの熱性けいれんを経験した家族が覚えておきたいこと

熱性けいれんを一度経験すると、

「また熱が出たらけいれんするのではないか」

と心配になる方もいるでしょう。

日本小児神経学会によると、初めて熱性けいれんを起こした子どものうち、再び熱性けいれんを起こすのは約30%とされています。

つまり、熱性けいれんを一度起こしたからといって、すべての子どもが繰り返すわけではありません。

また、熱性けいれんを繰り返しやすい子どもでは、医師の判断によって発熱時のけいれん予防薬が処方される場合があります。

薬を使用する場合は、

「何℃になったら使う」
「いつ使う」
「何時間空ける」

など、主治医から説明された方法に従ってください。

発作中に家族の判断だけで無理に薬を使用するのではなく、事前に主治医から指示された発作時対応を確認しておくことが大切です。


21.救急車を呼ぶか迷ったら「#7119」

けいれんがすでに止まり、意識も回復しているものの、

「救急車を呼んだほうがいいのか分からない」
「今すぐ病院へ行ったほうがいい?」
「朝まで待っても大丈夫?」

と判断に迷う場合があります。

地域によっては、救急安心センター「#7119」を利用できます。

#7119では、急な病気やけがについて、

  • 救急車を呼ぶべきか
  • 今すぐ病院を受診すべきか
  • どのような応急手当をすればよいか
  • どの医療機関を受診すればよいか

などについて相談できます。

ただし、

  • けいれんが5分以上続いている
  • 意識が戻らないまま発作を繰り返している
  • 正常な呼吸が確認できない
  • 顔色が著しく悪い
  • 水中で発作が起きた

など、明らかに緊急性が高い状態では、#7119への相談を挟まず119番通報してください。

また、#7119は地域によって対象者や利用時間などが異なるため、利用する場合はお住まいの地域の実施状況を確認してください。


22.けいれんに関するよくある質問【FAQ】

Q1.けいれんが止まったら救急車は必要ありませんか?

けいれんが止まっただけでは、必ずしも緊急性がなくなったとは判断できません。

特に、

  • 初めての原因不明のけいれん
  • 発作後も意識が十分に戻らない
  • 再びけいれんした
  • 呼吸や顔色がおかしい
  • 頭部外傷を伴っている
  • 水中で起きた

などの場合は、医療機関での評価が必要です。

すでにてんかんと診断されており、いつもの短い発作から普段どおり回復している場合は、主治医からあらかじめ指示された対応に従います。

判断に迷う場合は、地域の救急相談窓口などを利用してください。


Q2.けいれん中に舌を噛まないよう、口に物を入れたほうがいいですか?

入れてはいけません。

割り箸、スプーン、タオル、指などを無理に口へ入れると、

  • 歯や口の中を傷つける
  • 入れた物が気道を妨げる
  • 嘔吐物などによる窒息につながる
  • 介助者が指を噛まれる

などの危険があります。

けいれん中は口の中に物を入れず、周囲の危険物を取り除いて安全を確保してください。


Q3.けいれん中は身体を横向きにしたほうがいいですか?

安全にできる場合は、横向きにすることで唾液や嘔吐物などが口の外へ流れやすくなります。

ただし、激しくけいれんしている身体を無理やり押さえ込み、力ずくで姿勢を変える必要はありません。

まず周囲の危険を取り除き、頭部などを守ります。

発作が収まったあと、正常な呼吸が確認でき、意識が十分に戻っていない場合は、必要に応じて横向きにして見守ります。


Q4.けいれんの様子を動画で撮影してもいいですか?

発作の動画は、医師が発作の種類などを判断する際の参考になる場合があります。

ただし、安全確保と必要な救急対応が最優先です。

119番通報、危険物の除去、呼吸の確認などを後回しにして動画を撮影してはいけません。

ほかに介助者がいるなど安全を確保できている場合には、

  • 顔や目の向き
  • 手足の動き
  • 左右差
  • 発作が始まってから終わるまでの様子

などを記録できると、診察時の参考になることがあります。


Q5.子どもの熱性けいれんが5分以内に止まったら大丈夫ですか?

多くの熱性けいれんは5分以内に自然に止まります。

しかし、初めての熱性けいれんの場合は医療機関を受診してください。

また、発作が止まった場合でも、

  • 意識がなかなか戻らない
  • 顔色が悪い
  • 何度も発作を繰り返す
  • 全身状態が悪い

などの場合は、速やかな医療評価が必要です。

発熱とけいれんがあっても、必ずしもすべてが熱性けいれんとは限りません。


Q6.てんかんがある人なら救急車を呼ばなくても大丈夫ですか?

一概には言えません。

すでに診断されている人でも、

  • 5分以上けいれんが続く
  • 発作を繰り返して意識が戻らない
  • いつもの発作と明らかに違う
  • 大きなけがをした
  • 水中で発作が起きた
  • 発作後も呼吸がおかしい

などの場合は救急要請を考えます。

普段の発作時の対応について、本人・家族・主治医の間であらかじめ確認しておくことが重要です。


まとめ|けいれんでは「時間・意識・呼吸」を確認する

目の前で突然けいれんが起こると、周囲の人は非常に驚きます。

しかし、最も大切なのは、発作を力ずくで止めようとすることではありません。

まず、

周囲の安全を確保する

発作が始まった時刻を確認する

口の中に物を入れない

身体を無理に押さえつけない

発作後の意識と呼吸を確認する

という流れを覚えておきましょう。

特に重要なのが、

「時間・意識・呼吸」

です。

けいれんが5分以上続いている場合や、発作を繰り返して意識が戻らない場合、正常な呼吸が確認できない場合などは、速やかに119番通報してください。

また、

「けいれん=てんかん」

とは限りません。

発熱、低血糖、脳卒中、頭部外傷、中枢神経系の感染症など、さまざまな原因によってけいれんは起こります。

特に初めて起きた原因不明のけいれんは、発作が短時間で止まったとしても自己判断で放置せず、医療機関で評価を受けることが重要です。

けいれんを目撃した人は、

  • 発作が何分続いたか
  • 全身か身体の一部か
  • 左右差があったか
  • 意識はどうだったか
  • 呼吸や顔色はどうだったか
  • 発作後にどのように回復したか

を覚えておき、救急隊や医師へ伝えてください。

「5分」「意識」「呼吸」

この3つを覚えておくだけでも、突然のけいれんに遭遇したときの重要な判断材料になります。


参考URL

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