肝臓は、人体で最大の実質臓器です。
救急救命士国家試験では、単純に「肝臓の働き」を覚えるだけでなく、
- 肝臓はどこにあるのか
- 肝門には何が通るのか
- 門脈とは何か
- 肝動脈と門脈はどう違うのか
- 肝静脈はどこへ流れるのか
- 肝小葉はどのような構造なのか
- 肝臓の区域はどう分かれるのか
といった解剖・血流・機能を関連づけて理解することが重要です。
特に混乱しやすいのが、
「肝門を通るもの」
「門脈」
「肝動脈」
「肝静脈」
の関係です。
この記事では、肝臓の位置・構造・血流から、肝門を通るもの、肝小葉、胆汁、区域、さらに覚え方まで、救急救命士国家試験対策として整理して解説します。
細かい名称をバラバラに暗記するのではなく、「どこから入り、どこを通り、どこへ出ていくのか」を意識しながら覚えていきましょう。
肝臓とは?
肝臓は、成人で約1〜1.5kgある人体最大の実質臓器です。
主に右上腹部に位置し、その大部分は肋骨に覆われています。
肝臓には、生命を維持するためのさまざまな働きがあります。
代表的なものは、
- 糖質・脂質・タンパク質の代謝
- グリコーゲンの貯蔵
- アルブミンなどの血漿タンパク質の合成
- 多くの凝固因子の合成
- アンモニアなどの処理
- 胆汁の生成
- ビタミンや鉄などの貯蔵
です。
つまり肝臓は、単なる消化器官ではありません。
代謝・合成・解毒・貯蔵・胆汁生成などを担う「人体の化学工場」とイメージすると、その重要性を理解しやすくなります。
肝臓の位置はどこ?
肝臓は腹腔の右上部にあり、横隔膜のすぐ下に位置しています。
大部分は右季肋部にありますが、一部は心窩部から左側にも及びます。
上方には横隔膜があり、下方には、
- 胃
- 十二指腸
- 右腎
- 結腸
などがあります。
まず国家試験対策として、
「肝臓=右上腹部・横隔膜の直下」
と覚えておきましょう。
位置関係を理解しておくと、腹部臓器の問題だけでなく、外傷や疾患を考えるときにも役立ちます。
肝臓の基本構造
肝臓は、外見上は大きく右葉と左葉に分けられます。
さらに臓側面では、
- 右葉
- 左葉
- 方形葉
- 尾状葉
を確認できます。
ただし、肝臓には外見上の区分とは別に、血管や胆管の走行をもとにした機能的な区域があります。
この機能的な区域を理解するうえで重要になるのが、後ほど解説するCouinaud(クイノー)分類です。
ここではまず、
「外見上の右葉・左葉」と「機能的な区域分けは同じではない」
という点を押さえておきましょう。

肝門とは?
肝臓の解剖で重要なのが、肝門(かんもん)です。
肝門は肝臓の臓側面にあり、血管・胆管・リンパ管・神経などが出入りする場所です。
イメージとしては、
「肝臓の玄関」
と考えると分かりやすいでしょう。
国家試験対策として特に整理しておきたいのが、
- 門脈
- 固有肝動脈
- 胆管
です。
この3つを関連づけて覚えておくと、肝臓の血流や胆汁の流れも理解しやすくなります。
肝門を通るものの覚え方
肝門については、
「門脈・肝動脈・胆管」
をまずセットで覚えましょう。
覚え方は、
「門から入る3点セット=門脈・肝動脈・胆管」
です。
ただし、この覚え方で最も重要なのは、肝静脈を混同しないことです。
「肝臓に関係する血管だから、肝静脈も肝門を通るのでは?」
と思いやすいのですが、肝静脈は肝門を通りません。
ここは国家試験対策として明確に区別しておきましょう。
肝門と肝静脈の違い
肝臓へ流入した血液は、肝臓内部を流れたあと、肝静脈から下大静脈へ流れていきます。
つまり、
門脈・肝動脈
↓
肝臓
↓
肝静脈
↓
下大静脈
という流れです。
覚え方は、
「門から入り、静かに出る」
です。
- 「門」=門脈・肝動脈などが肝臓へ入る
- 「静」=肝静脈から血液が出る
この流れをイメージすると、
肝静脈は肝門を通らない
というポイントも理解しやすくなります。
「肝門」と「門脈」は別物
名前が似ているため、ここも整理しておきましょう。
肝門は「場所」です。
一方、門脈は「血管」です。
つまり、
肝門=肝臓の臓側面にある出入口
門脈=消化管などからの血液を肝臓へ運ぶ血管
です。
「肝門」と「門脈」を同じものとして覚えないよう注意してください。
肝臓は二重血行支配
肝臓の血流で非常に重要なのが、二重血行支配です。
肝臓には主に、
① 門脈
② 肝動脈
という2系統から血液が流入します。
この2つは、同じ「肝臓へ入る血管」でも役割が異なります。
門脈
門脈は、消化管などから集めた血液を肝臓へ運びます。
腸管から吸収された栄養素などを含んだ血液が肝臓へ運ばれ、そこで代謝・処理されます。
大きく、
「消化管などから肝臓へ血液を運ぶ血管」
と理解しておきましょう。
肝動脈
肝動脈は、肝臓へ酸素を多く含む動脈血を供給します。
大きな流れとしては、
腹腔動脈
↓
総肝動脈
↓
固有肝動脈
↓
肝臓
と整理できます。
したがって、
門脈=消化管などからの血液
肝動脈=酸素を多く含む動脈血
という違いを理解しておきましょう。
肝臓から出る血液はどこへ行く?
門脈と肝動脈から肝臓へ入った血液は、肝臓内部を流れたあと、最終的に肝静脈へ集まります。
その後、
肝静脈
↓
下大静脈
へ流れます。
肝臓全体の血流を大きく整理すると、
消化管など
↓
門脈
↓
肝臓
↓
肝静脈
↓
下大静脈
となります。
一方、動脈系は、
腹腔動脈
↓
総肝動脈
↓
固有肝動脈
↓
肝臓
です。
最初から細かい血管名をすべて暗記するより、
「門脈と肝動脈から入って、肝静脈から出る」
という大きな流れを理解してから覚えると整理しやすくなります。
ここまでの国家試験ポイント
ここまでの内容を整理します。
- 肝臓は人体最大の実質臓器
- 主に右上腹部に位置する
- 横隔膜の直下にある
- 肝門は肝臓の臓側面にある
- 肝門では門脈・固有肝動脈・胆管などが重要
- 肝門と門脈は別物
- 肝静脈は肝門を通らない
- 肝臓には門脈と肝動脈から血液が流入する
- 門脈は消化管などからの血液を肝臓へ運ぶ
- 肝動脈は酸素を多く含む血液を肝臓へ供給する
- 肝臓からの血液は肝静脈を通って下大静脈へ流れる
そして、血流の基本は、
「門脈・肝動脈から入り、肝静脈から出る」
です。
覚え方の、
「門から入り、静かに出る」
とセットにして整理しておきましょう。
肝臓の基本単位「肝小葉」
肝臓の構造を理解するうえで重要なのが、肝小葉(かんしょうよう)です。
肝小葉は、肝臓を構成する基本的な構造単位です。
典型的な肝小葉は六角柱状の構造として説明され、その中心には中心静脈があります。
一方、肝小葉の周辺部には、
- 門脈の枝
- 肝動脈の枝
- 胆管の枝
があります。
ここで重要なのが、血液が肝小葉の周辺部から中心部へ向かって流れるということです。
門脈と肝動脈から流れ込んだ血液は、肝類洞を通って中心静脈へ向かいます。
大きな流れとしては、
門脈・肝動脈の枝
↓
肝類洞
↓
中心静脈
↓
肝静脈
↓
下大静脈
と整理できます。
国家試験では、それぞれの名称だけでなく、血液がどちら向きに流れるのかまで理解しておきましょう。
肝類洞とは?
肝類洞(かんるいどう)は、肝細胞の間を走る特殊な毛細血管です。
門脈系と肝動脈系から流れ込んだ血液は、肝類洞で混ざりながら中心静脈へ向かいます。
その過程で肝細胞との間でさまざまな物質のやり取りが行われます。
血液の流れは、
門脈・肝動脈
↓
肝類洞
↓
中心静脈
です。
前文で確認した、
「門脈と肝動脈から入り、肝静脈から出る」
という大きな血流を、肝小葉レベルまで細かくしたものと考えると理解しやすくなります。
グリソン鞘とは?
肝臓の解剖でよく登場するのが、グリソン鞘です。
グリソン鞘は、肝臓内を走行する門脈・肝動脈・胆管などを包む結合組織です。
国家試験対策では、
「グリソン鞘には何が含まれるのか?」
を整理しておきましょう。
代表的なのは、
- 門脈の枝
- 肝動脈の枝
- 胆管の枝
です。
この3つを関連づけて覚えておくと、肝小葉の構造を理解しやすくなります。
門脈三つ組とは?
肝小葉周辺部でみられる、
門脈の枝・肝動脈の枝・胆管の枝
の3つを**門脈三つ組(portal triad)**と呼びます。
覚え方は、
「門・動・胆」
です。
- 門=門脈
- 動=肝動脈
- 胆=胆管
つまり、
門脈+肝動脈+胆管=門脈三つ組
と整理します。
ここで重要なのが、肝静脈を混ぜないことです。
肝静脈は肝臓から血液を回収し、下大静脈へ流す血管です。
門脈三つ組には含まれません。
「肝門」と「門脈三つ組」を整理
ここまでに似た3つの構造が出てきました。
混乱しやすいので整理しましょう。
肝門
肝臓の臓側面にある、血管・胆管などが出入りする場所。
特に、
門脈・固有肝動脈・胆管
などが重要です。
門脈三つ組
肝小葉周辺部でみられる、
門脈の枝・肝動脈の枝・胆管の枝
です。
肝静脈
肝臓から血液を集め、下大静脈へ流す血管です。
肝静脈は肝門を通らず、門脈三つ組にも含まれません。
この3つを区別できるようにしておきましょう。

肝小葉の血液は「外から中へ」
肝小葉では、門脈と肝動脈の枝が周辺部にあります。
そこから流れ込んだ血液は肝類洞を通り、中央にある中心静脈へ向かいます。
つまり、
血液=周辺部 → 中心部
です。
その後、
中心静脈
↓
肝静脈
↓
下大静脈
へ流れていきます。
覚え方はシンプルに、
「血液は中心へ」
です。
胆汁は血液と逆方向に流れる
肝小葉でもう一つ重要なのが、胆汁の流れです。
胆汁は肝細胞で作られ、胆汁細管へ分泌されます。
その後、小葉周辺部にある胆管系へ向かいます。
典型的な肝小葉で考えると、
血液:周辺部 → 中心静脈
に対して、
胆汁:胆管方向へ
と、血液と胆汁は概ね反対方向に流れます。
覚え方は、
「血液は中心へ、胆汁は外へ」
です。
この一言を覚えておくと、肝小葉の模式図を見たときにも流れを整理しやすくなります。
胆汁とは?
胆汁は、肝細胞で作られる消化液です。
主な役割の一つが、脂肪の消化・吸収を助けることです。
ここで国家試験対策として重要なのが、
「胆汁を作るのは肝臓」
という点です。
胆のうが胆汁を作っているわけではありません。
胆のうの主な役割は、肝臓で作られた胆汁を貯蔵・濃縮することです。
つまり、
肝臓=胆汁を作る
胆のう=胆汁を貯蔵・濃縮する
と区別しましょう。
胆汁の流れ
肝細胞で作られた胆汁は、胆汁細管から胆管系へ流れます。
大きな流れは、
肝細胞
↓
胆汁細管
↓
肝内胆管
↓
右肝管・左肝管
↓
総肝管
です。
総肝管から流れてきた胆汁は、胆のう管を介して胆のうへ出入りします。
食事などによって胆のうが収縮すると、胆汁は胆のうから胆のう管を通り、総胆管へ流れます。
最終的には十二指腸へ排出されます。
まずは、
肝臓で作る
↓
胆のうで貯蔵・濃縮する
↓
十二指腸へ出す
という大きな流れを理解しておきましょう。
肝臓の区域とは?
肝臓は外見上、右葉と左葉などに分けられます。
しかし、臨床では血管や胆管の走行を基準として、肝臓を機能的に分けて考えます。
代表的なのが、Couinaud(クイノー)分類です。
Couinaud分類では、肝臓を基本的にS1〜S8の8区域に分けます。
- S1:尾状葉
- S2:左葉外側上区域
- S3:左葉外側下区域
- S4:左葉内側区域
- S5:右葉前下区域
- S6:右葉後下区域
- S7:右葉後上区域
- S8:右葉前上区域
最初からすべてを丸暗記するより、まずは、
「Couinaud分類=S1〜S8」
を押さえてください。
Couinaud分類を整理して覚える
区域を大きく整理すると、
左葉
- S2
- S3
- S4
右葉
- S5
- S6
- S7
- S8
S1
S1=尾状葉
として整理できます。
特にS1=尾状葉は、最初に覚えておきたいポイントです。
右葉については、
S5・S8=前区域
S6・S7=後区域
と整理できます。
さらに上下関係では、
S5・S6=下側
S7・S8=上側
です。
したがって、
S5=前下
S6=後下
S7=後上
S8=前上
と位置関係をイメージすると覚えやすくなります。
単純な数字の羅列として覚えるのではなく、前後・上下の位置関係とセットにするのがポイントです。

肝静脈と区域の関係
肝臓の機能的な区域を理解するときには、肝静脈の走行も重要です。
代表的な肝静脈には、
- 右肝静脈
- 中肝静脈
- 左肝静脈
があります。
これらは肝臓から血液を集め、下大静脈へ流します。
ここでも1回目の内容につながります。
肝静脈は肝門を通りません。
門脈・肝動脈・胆管が肝臓内へ枝分かれしていく一方、肝静脈は肝臓から血液を回収して下大静脈へ流します。
「門脈」と「肝静脈」をもう一度整理
ここまで血管の名称が増えてきたので、もう一度整理しましょう。
門脈
消化管などから肝臓へ血液を運ぶ。
肝臓へ入る血管
肝動脈
酸素を多く含む血液を肝臓へ供給する。
肝臓へ入る血管
肝静脈
肝臓を流れた血液を下大静脈へ運ぶ。
肝臓から出る血管
したがって、
門脈・肝動脈
↓
肝臓
↓
肝静脈
↓
下大静脈
という流れになります。
ここまでの国家試験ポイント
肝小葉・グリソン鞘・胆汁・肝区域について、重要事項を整理します。
- 肝小葉の中心には中心静脈がある
- 門脈と肝動脈からの血液は肝類洞を通る
- 血液は中心静脈へ向かう
- 中心静脈に集まった血液は最終的に肝静脈へ流れる
- グリソン鞘には門脈・肝動脈・胆管などが含まれる
- 門脈・肝動脈・胆管を門脈三つ組という
- 肝静脈は門脈三つ組に含まれない
- 胆汁は肝細胞で作られる
- 胆のうは胆汁を貯蔵・濃縮する
- 肝小葉内では血液と胆汁は概ね逆方向に流れる
- Couinaud分類では肝臓をS1〜S8に分ける
- S1は尾状葉
- S5・S8は右葉前区域
- S6・S7は右葉後区域
- 肝静脈は肝門を通らず下大静脈へ流入する
覚え方は、
「門・動・胆」=門脈三つ組
「血液は中心へ、胆汁は外へ」
「門から入り、静かに出る」
です。
この3つを関連づけて覚えると、肝臓の構造・血流・胆汁の流れを一続きに整理できます。
肝臓の主な働き
ここまで、肝臓の位置・構造・血流・胆汁の流れについて解説してきました。
救急救命士国家試験では、解剖だけでなく肝臓の機能も重要です。
肝臓には非常に多くの働きがありますが、まずは次の5つに整理すると覚えやすくなります。
- 栄養素の代謝
- タンパク質の合成
- 解毒
- 胆汁の生成
- 栄養素などの貯蔵
それぞれ確認していきましょう。
① 栄養素の代謝
肝臓は、糖質・脂質・タンパク質などの代謝に深く関わっています。
特に重要なのが、血糖値の調節です。
食後など血糖値が高いときには、ブドウ糖をグリコーゲンとして肝臓に蓄えます。
一方、血糖値が低下したときには、グリコーゲンを分解するなどして血糖値の維持に関与します。
国家試験対策として、
「肝臓=グリコーゲンを貯蔵する」
という点を押さえておきましょう。
② タンパク質の合成
肝臓では、さまざまなタンパク質が合成されます。
代表的なのがアルブミンです。
アルブミンは血漿タンパク質の一つで、血漿膠質浸透圧の維持などに重要な役割を持っています。
そのため、重度の肝機能低下などによってアルブミンが低下すると、浮腫や腹水などにつながることがあります。
また、肝臓では多くの血液凝固因子も合成されます。
肝機能が著しく低下すると、凝固機能にも影響が出ることがあります。
国家試験では、
肝臓 → アルブミン・多くの凝固因子を合成
と関連づけて覚えておきましょう。
③ 解毒
肝臓は、体内のさまざまな物質の代謝・解毒に関わっています。
代表的なものの一つがアンモニアです。
タンパク質やアミノ酸の代謝によって生じるアンモニアは毒性が強いため、肝臓で主に尿素へ変換されます。
その後、尿素は血液によって腎臓へ運ばれ、尿として排泄されます。
流れを整理すると、
アンモニア
↓
肝臓
↓
尿素
↓
腎臓
↓
尿として排泄
です。
重度の肝機能障害ではアンモニアの処理能力が低下し、高アンモニア血症から意識障害などをきたすことがあります。
④ 胆汁の生成
胆汁を作っているのは肝臓です。
ここは胆のうと混同しないよう注意しましょう。
胆汁には胆汁酸などが含まれ、脂肪の消化・吸収を助けます。
肝臓で作られた胆汁は胆管系へ流れ、胆のうに貯蔵・濃縮されたのち、必要に応じて十二指腸へ排出されます。
つまり、
肝臓=胆汁を作る
胆のう=胆汁を貯蔵・濃縮する
です。
国家試験でも間違えやすいポイントなので、明確に区別しておきましょう。
⑤ 栄養素などの貯蔵
肝臓には、さまざまな物質を蓄える役割があります。
代表的なものは、
- グリコーゲン
- 鉄
- 一部のビタミン
などです。
肝臓は単に血液を処理するだけではなく、必要な物質を蓄えておく貯蔵庫としての役割も持っています。
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肝臓を「入口・処理・出口」で理解する
肝臓の解剖は、細かい名称を一つずつ丸暗記すると混乱しやすくなります。
そこで、
入口 → 肝臓内部 → 出口
という流れで整理してみましょう。
入口
肝臓には主に、
門脈+肝動脈
から血液が入ります。
門脈は消化管などからの血液を運び、肝動脈は酸素を多く含む血液を供給します。
肝臓内部
門脈と肝動脈から流入した血液は、肝類洞を通りながら肝細胞との間で物質のやり取りを行い、中心静脈へ向かいます。
門脈・肝動脈
↓
肝類洞
↓
中心静脈
と整理できます。
出口
中心静脈へ集まった血液は、最終的に肝静脈を経て下大静脈へ流れます。
中心静脈
↓
肝静脈
↓
下大静脈
です。
したがって、肝臓の血流を大きくまとめると、
門脈・肝動脈
↓
肝類洞
↓
中心静脈
↓
肝静脈
↓
下大静脈
となります。
まずこの一本の流れを理解してから、細かい構造を覚えると整理しやすくなります。
肝臓で間違えやすいポイント①「肝門」と「門脈」
肝門と門脈は名前が似ていますが、同じものではありません。
肝門は、肝臓の臓側面にある血管・胆管などが出入りする場所です。
一方、門脈は消化管などから集めた血液を肝臓へ運ぶ血管です。
つまり、
肝門=場所
門脈=血管
です。
名称だけで覚えず、意味まで区別しましょう。
肝臓で間違えやすいポイント②「肝門」と「肝静脈」
肝静脈は、肝臓を流れた血液を下大静脈へ運びます。
重要なのは、
肝静脈は肝門を通らない
ということです。
覚え方は、
「門から入り、静かに出る」
です。
- 門脈・肝動脈など → 肝臓へ入る
- 肝静脈 → 肝臓から出て下大静脈へ
この違いを確実にしておきましょう。
肝臓で間違えやすいポイント③「肝臓」と「胆のう」
胆汁を作るのは肝臓です。
胆のうではありません。
胆のうは主に、
胆汁を貯蔵・濃縮する
役割を担います。
国家試験で、
「胆のうで胆汁が生成される」
という選択肢があった場合は注意しましょう。
肝臓で間違えやすいポイント④ 血液と胆汁の方向
典型的な肝小葉では、血液と胆汁は概ね逆方向に流れます。
血液 → 中心静脈方向
胆汁 → 胆管方向
です。
覚え方は、
「血液は中心へ、胆汁は外へ」
です。
肝小葉の模式図を使った問題でも役立ちます。
肝臓で間違えやすいポイント⑤ 門脈三つ組
門脈三つ組は、
- 門脈の枝
- 肝動脈の枝
- 胆管の枝
です。
覚え方は、
「門・動・胆」
です。
肝静脈は門脈三つ組に含まれないので、混同しないようにしましょう。
国家試験対策|肝臓の一問一答
ここまでの内容を一問一答で確認してみましょう。
Q1. 肝臓は主にどこに位置する?
A. 右上腹部(右季肋部を中心)で、横隔膜の直下。
Q2. 肝臓へ血液を運ぶ主な2系統は?
A. 門脈と肝動脈。
Q3. 消化管などから肝臓へ血液を運ぶ血管は?
A. 門脈。
Q4. 肝臓から下大静脈へ血液を運ぶ血管は?
A. 肝静脈。
Q5. 肝静脈は肝門を通る?
A. 通らない。
ここは特に重要です。
Q6. 肝門部で特に覚えておきたい3つの構造は?
A. 門脈・固有肝動脈・胆管。
覚え方は、
「門から入る3点セット」
です。
Q7. 門脈三つ組とは?
A. 門脈の枝・肝動脈の枝・胆管の枝。
覚え方は、
「門・動・胆」
です。
Q8. 肝小葉の中心にある静脈は?
A. 中心静脈。
Q9. 肝小葉内の血液はどちらへ流れる?
A. 肝類洞を通って中心静脈方向へ流れる。
Q10. 胆汁を作る臓器は?
A. 肝臓。
Q11. 胆のうの主な役割は?
A. 胆汁の貯蔵・濃縮。
Q12. Couinaud分類では肝臓を何区域に分ける?
A. S1〜S8の8区域。
Q13. S1は何葉?
A. 尾状葉。
Q14. 肝臓で合成される代表的な血漿タンパク質は?
A. アルブミン。
Q15. アンモニアは肝臓で主に何へ変換される?
A. 尿素。
試験直前チェック|これだけは覚えよう
試験直前なら、最低限ここを確認してください。
- 肝臓は人体最大の実質臓器
- 主に右上腹部に位置する
- 横隔膜の直下にある
- 肝臓には門脈と肝動脈から血液が入る
- 門脈は消化管などからの血液を肝臓へ運ぶ
- 肝動脈は酸素を多く含む血液を肝臓へ供給する
- 肝静脈は肝臓から下大静脈へ血液を運ぶ
- 肝静脈は肝門を通らない
- 肝門では門脈・固有肝動脈・胆管などが重要
- 肝小葉の中心には中心静脈がある
- 血液は肝類洞から中心静脈へ向かう
- 門脈三つ組は門脈・肝動脈・胆管
- 胆汁を作るのは肝臓
- 胆のうは胆汁を貯蔵・濃縮する
- Couinaud分類はS1〜S8
- S1は尾状葉
- 肝臓ではアルブミンや多くの凝固因子が合成される
- アンモニアは肝臓で主に尿素へ変換される
覚え方・語呂をまとめて確認
最後に、この記事で紹介した覚え方をまとめます。
肝門と肝静脈
「門から入り、静かに出る」
門脈・肝動脈などが肝臓へ入り、肝静脈から血液が出ていくイメージです。
特に、
「肝静脈は肝門を通らない」
ことを忘れないようにしましょう。
門脈三つ組
「門・動・胆」
- 門=門脈
- 動=肝動脈
- 胆=胆管
肝小葉の流れ
「血液は中心へ、胆汁は外へ」
血液は中心静脈方向へ、胆汁は胆管方向へ流れます。
語呂だけを丸暗記するのではなく、なぜその方向へ流れるのかを解剖と関連づけて理解することが大切です。
まとめ|肝臓は「血液の流れ」で覚える

肝臓は、位置・血管・肝小葉・胆汁・区域・機能など覚える内容が多く、苦手になりやすい臓器です。
しかし、一つひとつをバラバラに暗記する必要はありません。
まず、
門脈・肝動脈
↓
肝類洞
↓
中心静脈
↓
肝静脈
↓
下大静脈
という血液の流れを理解しましょう。
次に、
肝門=血管・胆管などが出入りする場所
門脈=消化管などから肝臓へ血液を運ぶ血管
肝静脈=肝臓から血液を集め、下大静脈へ流す血管
という違いを整理します。
さらに肝小葉では、
「血液は中心へ、胆汁は外へ」
と覚えておくと理解しやすくなります。
そして検索でも混乱しやすい「肝門」については、
「門から入り、静かに出る」
という覚え方で、
肝門では門脈・固有肝動脈・胆管などが重要で、肝静脈は肝門を通らない
という違いを確実にしておきましょう。
救急救命士国家試験では、単純な名称の暗記だけでなく、
「どこから入るのか」
「どこを通るのか」
「どこへ流れるのか」
まで関連づけて理解しておくことが、肝臓の問題を解くためのポイントです。
🚑 救急救命士国家試験・学習教材おすすめ
国家試験対策から現場応用まで、“救急救命士”を目指す方・指導する方のための教材を紹介します。
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救急救命士標準テキスト
国家試験出題基準に対応した“基礎から専門分野まで”を網羅する決定版。救急救命士を学ぶ全ての人の「土台」となる教材です。 -
必修 救急救命士国家試験対策問題集2025 これだけやれば大丈夫!
過去5年分の国家試験を整理・解説。ジャンル別・A〜D問題別に分類されており、効率的な演習が可能です。 -
救急救命士国家試験対策Deru-Q 2026
要点整理に特化した正文集。忙しい時期の「最終確認・覚え直し」に最適な1冊です。 -
救急救命士国家試験対策〇×問題集 2026年版
○×形式で軽く演習できるタイプ。通勤・隙間時間など、「スキマ学習」にぴったりです。 -
EMT Crash Course(英語版)
国際的視点や英語文献への慣れに最適。英語対応や海外資格を視野に入れる方におすすめです。 -
救急救命士国家試験対策〇×問題集2025
前年版ですが、演習量を増やしたい方にコスパ良く使える併用教材です。
🛠 学習を深めるヒント
- テキストを「読む」より「つくる」:章末まとめを自分で図解・カード化すると理解が定着します。
- 間違いの振り返り:問題集は“なぜ間違えたか”を書き出して次に活かしましょう。
- 反復教材を活用:Deru-Qや〇×問題集は、通勤・休憩時間の“繰り返し”用に。
- 模試形式の練習:本番同様に時間を計り、“試験モード”の集中力を養う。
- 気分転換教材を1冊:語呂・イラスト系参考書を加えて「継続しやすい環境」をつくる。

