はじめに

「朝、寝返りを打った瞬間に天井がグルグル回る」
「数十秒で治まるけど、また頭を動かすと起こる」
こうした症状がある場合、**良性発作性頭位めまい症(BPPV:Benign Paroxysmal Positional Vertigo)**の可能性があります。
耳の奥にある小さな“石”(耳石)が原因となる代表的なめまいの一つで、救急現場でも遭遇頻度が高い疾患です。
この記事では、一般の方にもわかりやすく、かつ救急救命士や医療職が国家試験対策にも使えるように、BPPVの原因・症状・診断・治療・救急対応まで徹底解説します。
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内耳のしくみを知ろう
めまいを理解するには、まず「平衡感覚を司る器官」を知ることが大切です。
内耳には、
- 三半規管(回転を感じる)
- 耳石器(卵形嚢・球形嚢)(直線加速度を感じる)
という2つの平衡感覚器があります。
三半規管の中はリンパ液で満たされており、頭が動くと液体が流れ、その動きを感知します。
一方、耳石器には「耳石(カルシウムの粒)」があり、重力や傾きを感知します。
BPPVの原因
BPPVは、耳石が本来あるべき耳石器からはがれて、三半規管の中に入り込むことで起こります。
この耳石が三半規管内で動くことで、感覚毛が誤って刺激され、「実際には動いていないのに動いている」と脳が勘違いし、強い回転性めまいを感じます。
耳石が剥がれる原因
- 加齢による変性
- 頭部外傷
- 長期間の寝たきり・安静
- 内耳炎の後遺症
- 特発性(原因不明)
特に中高年女性に多く見られます。
症状の特徴
BPPVのめまいには、次のような特徴があります。
| 特徴 | 内容 |
| 発作性 | めまいは数秒〜1分程度で自然に治まる |
| 頭位依存性 | 頭の向きや姿勢を変えたときに誘発される |
| 反復性 | 同じ動作で繰り返し起こる |
| 伴随症状 | 吐き気・嘔吐・眼振を伴うことが多い |
| 聴覚症状 | 難聴や耳鳴りは伴わない(重要) |
耳鳴りや難聴を伴う場合は、メニエール病など他疾患を疑います。
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国家試験対策ポイント①:鑑別
救急救命士国家試験でよく問われるのは「鑑別」と「特徴の違い」です。
| 疾患名 | めまいの性状 | 聴覚症状 | 原因部位 |
| BPPV | 頭位で誘発、短時間 | なし | 三半規管(耳石) |
| メニエール病 | 数十分〜数時間続く | あり | 内リンパ水腫 |
| 前庭神経炎 | 数日間持続 | なし | 前庭神経 |
| 脳幹・小脳障害 | 持続性・歩行障害 | あり得る | 中枢性 |
この表を覚えておくだけで、国家試験の「めまい」分野は一気に得点源になります。
診断のキーポイント
⇒ ディックス・ホールパイク法(Dix–Hallpike test)
代表的な誘発検査です。
患者を座位から素早く仰臥位に倒して頭を回転させると、特徴的な**眼振(回旋性・遅発性・疲労性)**が出現します。
⇒眼振の方向で、どの半規管が障害されているかを推測できます。
国家試験でも頻出です。
治療とリハビリ
⇒ エプレー法(Epley法)
最も有名な耳石置換法です。
頭を順に動かすことで、三半規管に迷い込んだ耳石を元の耳石器に戻します。
救急救命士でも知っておくべき代表的な手技名です。
薬物療法
- 抗めまい薬(メクリジンなど)
- 吐き気止め(メトクロプラミドなど)
- 血流改善薬(ベタヒスチンなど)
症状が強い時に一時的に使用します。
救急現場での対応

BPPVは生命に直結する疾患ではありませんが、脳卒中との鑑別が極めて重要です。
救急現場での評価ポイント
- 発症様式(急か?徐々にか?)
- 持続時間(秒か、分〜時間か?)
- 神経症状(麻痺・構音障害・複視)
- 既往(高血圧・糖尿病・脳梗塞など)
⇒一見BPPVでも、中枢性めまい(脳梗塞や小脳出血)を見逃すと重篤化するため、「少しでも違和感があれば病院搬送」が鉄則です。
国家試験対策ポイント②:眼振の特徴
- 外向き+上向き回旋性眼振 → 後半規管型BPPV
- 水平性眼振 → 外側半規管型BPPV
BPPVは「遅発性・疲労性・誘発性」が特徴です。
この3つのキーワードを覚えましょう。
予防と生活の工夫
- 朝起きる時はゆっくり頭を起こす
- 急な頭の動きを避ける
- 長期間の寝たきりを防ぐ(リハビリ重要)
- 枕の高さを調整して首への負担を減らす
国家試験頻出ポイントまとめ
- 原因:耳石の迷入(三半規管内)
- 症状:頭位依存性・短時間の回転性めまい
- 眼振:遅発性・疲労性・誘発性
- 聴覚症状:なし
- 鑑別:メニエール病との違い
- 検査:Dix–Hallpike
- 治療:Epley法
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まとめ

BPPVは、耳の中の“耳石”という小さな粒が動くだけで、激しいめまいを引き起こす病気です。
ほとんどは自然軽快しますが、再発も多いため正しい理解が大切です。
また、国家試験では「めまいの分類」「特徴」「眼振の性状」「鑑別」が定番の出題分野。
ここを押さえれば、確実に点が取れるテーマです。
