はじめに
突然、腰や脇腹を襲う耐えがたい激痛。
あまりの痛さに立っていることも座っていることもできず、冷や汗を流しながら救急車を呼ぶ──。
このような状況で救急搬送される患者さんの多くが「尿路結石」です。
尿路結石は、一度発症すると強烈な痛みを伴い、仕事や生活に大きな支障をきたす病気です。
しかし、正しい原因や対処法、再発予防を知ることで、痛みを抑え、再発リスクを大きく減らすことができます。
本記事では、尿路結石の仕組みから症状、治療法、救急対応、再発予防まで、医療者の視点も交えながら徹底的に解説します。
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1. 尿路結石とは?まず知っておきたい基礎知識

尿路結石(にょうろけっせき)とは、腎臓から尿道までの尿の通り道(尿路)に石ができる病気です。
結石の多くは「カルシウム」を含み、砂粒ほどのものから、小指の先ほどの大きさのものまでさまざまです。
尿路結石は以下の場所にできます。
- 腎結石(腎臓にできる)
- 尿管結石(尿管に詰まる → 激痛の主原因)
- 膀胱結石
- 尿道結石
特に尿管結石は痛みが強く、救急搬送の多くがこのタイプです。
2. 尿路結石ができる原因 — 生活習慣が大きく関わる
尿路結石の原因は一つではありません。
複数の生活習慣や体質が重なって発症します。
2-1. 水分不足が最大の原因
水分が不足すると尿が濃くなり、結晶が形成されやすくなります。
特にリスクが高い状況
- 夏場(汗で水分が失われる)
- 仕事中に水分が取りにくい職種
→ 消防・警察・建設業・運送業など - 高温環境での作業
日本では毎年7〜9月に尿路結石が急増することが知られています。
2-2. 食生活の偏り
以下の食習慣は結石の材料を増やす原因になります。
- 肉の食べ過ぎ(高タンパク)
- 塩分過多
- シュウ酸の多い食品の大量摂取(ほうれん草・紅茶・チョコレート・ナッツなど)
- アルコールの飲みすぎによる脱水
2-3. 運動不足・肥満
運動不足は代謝を低下させ、結石形成のリスクを上げます。
肥満は尿の酸性化を進め、尿酸結石を作りやすくなります。
2-4. 遺伝も大きな要因
家族に尿路結石を経験した人がいる場合、体質が似ているため発症リスクが高いとされています。
3. 尿路結石の症状 — なぜあんなに痛い?
尿路結石の痛みはしばしば「失神するほど」「陣痛のよう」と表現されます。
その理由を詳しく説明します。
3-1. 激痛が起こるメカニズム
尿管は太さ3〜5mm程度の細い管です。
ここに5mm程度の石が詰まると──
- 尿が流れない
- 腎臓側に尿が溜まる(腎盂が拡張)
- 腎臓が圧迫される
- 神経が刺激され激痛が起こる
この一連の流れが数分〜数時間で起きるため、耐えられない痛みへと変わります。
3-2. 典型的な症状
- 脇腹・腰の強烈な痛み
- 冷や汗
- 嘔気・嘔吐
- 落ち着いていられない
- 尿に血が混じる(血尿)
患者は「じっとできない」のが特徴で、痛み逃避姿勢が取れません。
3-3. 放散痛 — 壊れているのは腰ではない
尿管の神経支配のため、以下の部位にも痛みが走ります。
- 下腹部
- 大腿内側
- 睾丸(男性)
これは尿路結石に特有の症状で、鑑別のヒントになります。
3-4. 発熱は危険なサイン
尿路結石に発熱が加わると 腎盂腎炎 → 敗血症 に進行する恐れがあります。
そのため、
痛み+発熱(38℃以上)
は緊急搬送が必要です。
4. 救急隊・医療者の視点:現場での評価ポイント
救急現場で尿路結石が疑われるとき、以下のポイントが重要です。
4-1. 発症状況の聴取
- 突然か?徐々にか?
- 動くと痛みが強くなる?
- 「じっとできない痛み」は結石に多い
4-2. バイタル確認
- 発熱
- 低血圧(感染合併の疑い)
- 頻脈
- 皮膚冷汗
4-3. 鑑別疾患
救急現場では以下との鑑別が重要です。
- 急性腰痛症
- 虫垂炎
- 腸閉塞
- 胆石発作
- 膵炎
- 大動脈解離
- 心筋梗塞(下壁)
4-4. 適切な搬送先
- 泌尿器科がある病院
- 発熱+ショック気味 → 高次救急病院
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5. 病院での検査
尿路結石の確定診断には以下の検査が行われます。
5-1. CT検査(最も正確)
結石の位置・大きさ・周囲の炎症を正確に判断できます。
5-2. エコー検査
腎盂が腫れている(尿が溜まっている)かどうか確認できます。
5-3. 尿検査
- 血尿
- 結晶
- 細菌感染
などを評価します。
6. 治療方法 — 5mmの壁と治療の選択肢
尿路結石の治療は、結石の大きさで大きく変わります。
6-1. 自然排石が期待できるケース(5mm以下)
- 鎮痛剤(NSAIDs)
- 水分摂取
- α遮断薬(尿管の緊張を取る)
- 軽い運動
6-2. 破砕治療が必要なケース
ESWL(体外衝撃波結石破砕術)
体の外から衝撃波を当てて結石を砕く方法。
痛みが少なく広く行われる。
TUL(経尿道的結石破砕術)
尿道から細いカメラを入れ、レーザーで結石を砕く。
PNL(経皮的腎結石除去術)
背中に小さな穴を開けて結石を取り出す。
大きな腎結石に用いられる。
緊急ドレナージ(感染時)
腎臓に尿が溜まり、発熱している場合は命に関わるため、
腎瘻(じんろう)などで尿を逃がす処置が必要。
7. 再発を防ぐための生活習慣 — 今日からできる予防法
尿路結石は5年以内に約半数が再発する病気です。
そのため予防が非常に重要です。
7-1. 水分を多く飲む(1.5〜2L/日)
最も効果的な予防法。
特に夏は意識的に水分を増やす必要があります。
7-2. 食事の見直し
控えるべき食品
- 肉・魚の過剰摂取
- 塩分
- シュウ酸(ほうれん草・紅茶・チョコ・ナッツ)
実はカルシウムは摂った方が良い
腸でシュウ酸と結合して排泄されるため、むしろ予防になります。
7-3. 適度な運動
代謝改善、排石促進に有効。
7-4. 尿を我慢しない
尿の停滞は結石を作りやすくします。
7-5. 適正体重の維持
肥満は尿酸結石の重要なリスク因子。
8. まとめ — 尿路結石は正しく知れば恐れる病気ではない

尿路結石は、激しい痛みで突然日常生活を奪う病気ですが、
- 適切な対処法
- 早期の受診
- 再発予防
を理解していれば、決して恐れる必要はありません。
特に 「痛み+発熱」 は危険サインです。
腎盂腎炎・敗血症に進行する可能性があり、救急受診が必要となります。
正しい知識を持つことで、尿路結石は十分に予防・管理できる病気です。
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