こんにちは。救急救命士を目指す皆さんにとって、現場活動の最初の一歩となる**「初期評価」と「状況評価」**は、国家試験でも現場でも非常に重要な項目です。
「現場に着いたらまず何をする?」
「ABCの順番って、状況によって変わる?」
「トリアージの判断は初期評価?それとも状況評価?」
この記事では、そんな疑問に答えながら、国家試験によく出るポイントを含めて徹底解説していきます。
🟨 状況評価(Scene Assessment)とは?
🔹 現場で最初に行う“評価の評価”
救急現場に到着して、まず行うのが状況評価です。これは傷病者をいきなり観察するのではなく、「現場そのものを評価する」プロセス。
つまり、“この場所は安全か?” “活動を始めていい状況か?” を判断するのが最優先となります。
🔸 目的
- 自分・隊員・周囲の人の安全を確保する
- 傷病者の人数や重症度の把握
- 活動方針や応援要請の要否を判断する
- 必要であれば、トリアージを実施する準備をする
📝 状況評価の具体的な流れ(S→S→N→I→T)
項目 | 内容 | ポイント |
---|---|---|
Scene Safety | 火災・ガス・建物倒壊・暴力などの危険がないか | 国家試験では「まず何をするか?」の正答になることが多い |
Scene Size-Up | 現場の全体像、事故の種類(交通事故・転落・火災など)を確認 | 救助活動の方法・動線確保にも関係する |
Number of Patients | 傷病者は何人?動けている人はいる? | 多数傷病者ではトリアージが必要になるケースも |
Initial Impression | 遠目に意識や呼吸の有無を把握 | 明らかな無呼吸・重症者がいれば早急な初期評価へ |
Team Needs(必要資源の確認) | 警察・消防・医師・支援部隊などが必要か判断 | 通信連絡・指令所との連携も重要 |
🎯 国家試験での出題例(状況評価編)
Q. 救急現場に到着した直後にまず行うべき行動はどれか?
A. 傷病者の意識確認
B. 呼吸の確認
C. 脈拍の確認
D. 現場の安全確認
👉 正解:D(Scene Safety)
🟦 初期評価(Primary Assessment)とは?
🔹 傷病者に接触してから行う「緊急介入判断」
状況評価で安全が確保され、傷病者に接触したら、次は初期評価です。ここでは、傷病者の命に関わる重大な異常(気道閉塞・無呼吸・ショックなど)を即座に発見し、介入します。
🔸 目的
- 緊急を要する病態(気道閉塞、呼吸停止、出血性ショックなど)の迅速な把握
- **迅速な処置(BVM、止血、気道確保など)**が必要かを判断
- 二次評価に進む前のクリティカル判断の完了
🧩 ABCDEアプローチを深掘り!
項目 | 観察内容 | 異常の例 | 初期対応 |
---|---|---|---|
A(Airway) | 声を出せるか、異物・嘔吐物・舌根沈下の有無 | チアノーゼ、いびき様呼吸、無言 | 頭部後屈あご先挙上、吸引、OPA/NPA挿入など |
B(Breathing) | 呼吸数・胸郭の動き・努力呼吸の有無 | 陥没呼吸、呼吸停止、左右差 | 酸素投与、BVM、緊張性気胸なら脱気など |
C(Circulation) | 脈拍・皮膚色・冷感・大出血 | 頻脈・微弱脈、蒼白、出血 | 止血・ショック体位・大量輸液の準備 |
D(Disability) | 意識レベル(JCS/GCS)、瞳孔反応 | GCS ≤8、片側散瞳、昏睡 | 迅速な搬送、医師への早期報告 |
E(Exposure) | 全身の外傷、火傷、低体温の確認 | 複数外傷、発疹、低体温 | 体温管理・全身観察・保温と隠蔽のバランス |
🎯 国家試験での出題例(初期評価編)
Q. 呼吸が停止している患者に最初に行うべき処置はどれか?
A. 気道確保
B. 胸骨圧迫
C. 酸素投与
D. AED装着
👉 正解:A(Airway:まず気道を確保)
Q. 傷病者の意識がない場合に最初に行うべき評価は?
👉 A(Airway)→B(Breathing)→C(Circulation)の順に行うべき
🔁 状況評価と初期評価の違いを整理!
比較項目 | 状況評価 | 初期評価 |
---|---|---|
対象 | 現場全体 | 傷病者個人 |
優先事項 | 自分・隊員の安全 | 傷病者の生命維持 |
目的 | 活動方針とリスク評価 | 緊急処置と命の救助 |
実施タイミング | 接触前 | 接触後すぐ |
国家試験で問われること | 「最初に行う行動は?」 | 「ABCの順番は?」、「緊急対応の優先順位は?」 |
🧠 覚え方のコツ(語呂合わせ)
🔤 ABCDEアプローチ
- 「A(あ)B(び)C(し)D(で)E(え)らいこっちゃ」
- どんな場面でもA→B→Cの順番は変えないことが基本!
🟨 状況評価の頭文字「SING」
- S:Safety(安全)
- I:Impression(印象)
- N:Number of Patients(人数)
- G:Gather Help(応援判断)
📝 まとめ:評価の基本が“命を救う”
「初期評価」と「状況評価」は、救急活動の最も基本であり、最も重要な部分。
国家試験でも頻出で、現場でも正しい評価が命を左右します。
- 状況評価=まず自分と周囲の安全!
- 初期評価=ABCDEで迅速に判断・介入!
- 順番と目的の違いを理解しておくこと!
この評価の流れが自然に身につけば、試験でも、そして現場でも、自信を持って動けるようになります。
💡このブログでは、今後も国家試験対策や臨床に役立つ知識をどんどん発信していきます。
「○○についても解説してほしい!」などあれば、ぜひコメントやメッセージで教えてください!