「ただの腹痛」と思っていませんか?
「急にお腹が痛くなったけど、少し休めば治るだろう…」
「胃腸炎かもしれないから様子を見よう。」
このように考えてしまう方は少なくありません。
しかし腹痛は、単なる食べ過ぎや胃腸炎だけではなく、数時間の遅れが命に関わる病気が隠れていることがあります。
実際に救急現場では、
- 腹部大動脈瘤破裂
- 大動脈解離
- 消化管穿孔
- 上腸間膜動脈閉塞症
- 急性胆管炎
- 腸閉塞
など、緊急手術や集中治療が必要となる「急性腹症」に数多く遭遇します。
私は救急救命士として19年以上、腹痛を訴える多くの傷病者の搬送に携わってきました。同じ「腹痛」でも、命に関わるものから比較的軽症なものまで原因はさまざまであり、初期対応の早さが予後を左右する症例を数多く経験しています。
この記事では、一般の方にも分かりやすいように、
- 救急車を呼ぶべき危険な腹痛
- 腹痛が起こる仕組み(解剖・生理・病態)
- 痛む場所から考えられる病気
- 命に関わる代表的な病気
について医学的根拠を交えながら詳しく解説します。

関連記事
【胸の痛み】救急車を呼ぶ基準は?命に関わる危険な胸痛の見分け方
胸痛は心筋梗塞や大動脈解離など、一刻を争う病気のサインであることがあります。腹痛との関連痛として現れることもあるため、あわせて確認しておきましょう。
突然の激しい頭痛や意識障害は脳卒中やくも膜下出血の可能性があります。腹痛と同様に、早期対応が命を左右します。
黒色便や鮮血便の危険性、受診の目安、救急車を呼ぶ基準について詳しく解説しています。
救急車を呼ぶべきか迷ったときの相談窓口について、利用方法や対象地域を分かりやすく説明しています。
結論|この症状があれば迷わず119番
次の症状が一つでもあれば、救急車を要請することを検討してください。
🚨危険な腹痛のレッドフラッグ
- 突然始まった経験したことのない激痛
- お腹が板のように硬い
- 冷や汗・顔面蒼白・意識がぼんやりする
- 血を吐いた、真っ黒な便や血便が出た
- 背中や胸まで激しく痛む
- 激しい腹痛で歩けない
- 妊娠中または妊娠の可能性があり強い腹痛がある
- 高齢者で普段と様子が違う腹痛
これらは、
- 消化管穿孔
- 腹部大動脈瘤破裂
- 大動脈解離
- 急性胆管炎
- 腸閉塞
- 上腸間膜動脈閉塞症
などの重篤な疾患が原因である可能性があります。
なぜ腹痛は起こるのか?(解剖・生理・病態)
腹痛は単純に「胃が悪いから痛い」というものではありません。
人の身体には痛みを感じる仕組みが複数あり、それぞれ原因も緊急度も異なります。
腹痛は医学的に大きく3種類に分類されます。
① 内臓痛(ないぞうつう)
解剖・生理
胃・小腸・大腸・胆嚢・尿管などの臓器は、自律神経によって脳へ痛みを伝えます。
臓器が
- 引き伸ばされる
- 強く収縮する
- 血流が悪くなる
ことで痛みが発生します。
特徴
- 場所がはっきりしない
- 「お腹全体が痛い」
- 鈍く重い痛み
- 波がある(疝痛)
- 吐き気や冷や汗を伴う
代表疾患
- 急性胃腸炎
- 胆石発作
- 尿管結石
- 初期の虫垂炎
- 腸閉塞初期
② 体性痛(たいせいつう)
解剖・生理
腹膜には知覚神経が豊富に存在しています。
胃や腸に穴が開くと、
- 胃酸
- 腸液
- 血液
- 胆汁
などが腹膜を刺激し、非常に強い痛みになります。
特徴
- 指一本で場所を示せる
- 動くと痛い
- 咳でも痛い
- 持続する激痛
- お腹が硬くなる
代表疾患
- 消化管穿孔
- 腹膜炎
- 虫垂炎進行例
③ 関連痛
解剖・生理
内臓からの痛みは脊髄へ伝わります。
その際、皮膚や筋肉の神経と情報が混線し、本来痛くない場所を脳が痛いと認識します。
これを関連痛といいます。
代表例
- 胆石 → 右肩
- 急性膵炎 → 背中
- 心筋梗塞 → みぞおち
- 大動脈解離 → 背中
- 尿管結石 → 足の付け根

医師や救急隊が必ず確認する「OPQRST」
腹痛では、医師や救急隊は次の6項目を重点的に確認します。
| 項目 | 確認内容 |
| O(Onset) | いつから痛いか。突然か徐々にか。 |
| P(Provocation) | 何をすると痛みが強くなる・楽になるか。 |
| Q(Quality) | 刺すような痛み、締め付けられる痛み、鈍い痛みなど。 |
| R(Radiation) | 背中・肩・腰・股へ広がるか。 |
| S(Severity) | 痛みを0~10点で表すとどの程度か。 |
| T(Time) | 痛みは続いているか、波があるか、悪化しているか。 |
この情報は診断の重要な手掛かりになります。

痛む場所で分かる代表的な病気
腹部には多くの臓器が存在します。
そのため、痛む場所によってある程度原因を推測できます。
| 痛む場所 | 主な病気 |
| みぞおち | 胃潰瘍、胃炎、膵炎、心筋梗塞 |
| 右上腹部 | 胆石症、胆嚢炎、胆管炎 |
| 左上腹部 | 膵炎、胃潰瘍、脾臓疾患 |
| 右下腹部 | 虫垂炎、尿管結石、異所性妊娠 |
| 左下腹部 | 憩室炎、虚血性腸炎、婦人科疾患 |
| お腹全体 | 腹膜炎、腸閉塞、腹部大動脈瘤破裂 |
痛みが移動する場合は虫垂炎を疑う
急性虫垂炎では、
最初は「みぞおち」や「おへその周囲」が痛みます。
これは内臓痛です。
数時間後になると、
右下腹部へ痛みが移動し、鋭い痛みに変化します。
これは腹膜へ炎症が広がり、体性痛へ移行したためです。
この経過は虫垂炎に特徴的であり、早めの受診が必要です。
命に関わる腹痛①|腹部大動脈瘤破裂
腹部大動脈瘤とは、大動脈の壁が弱くなり、風船のように膨らんだ状態です。
これが破裂すると大量出血を起こし、短時間でショック状態に陥ります。
症状
- 突然の激しい腹痛
- 背中や腰への激痛
- 冷や汗
- 顔面蒼白
- 血圧低下
- 意識障害
なぜ痛いのか
大動脈は全身へ血液を送る最も太い血管です。
破裂すると大量の血液が腹腔内や後腹膜へ流出し、循環血液量が急激に減少します。
その結果、ショック状態となり命に関わります。
ポイント
高齢者や高血圧の方では特に注意が必要です。
歩けるから大丈夫とは限りません。
命に関わる腹痛②|大動脈解離
大動脈解離は、大動脈の内側が裂け、血液が血管壁の中へ流れ込む病気です。
救急医療では最も緊急性が高い病気の一つです。
症状
- 胸から背中へ裂けるような痛み
- 激しい腹痛
- 腰痛
- 冷汗
- 意識障害
- 手足の脈が弱いことがある
病態
大動脈の壁が裂けることで、臓器への血流が遮断されます。
腸への血流が止まれば腹痛となり、腎臓への血流が止まれば腎障害を起こします。
解離が進行すると破裂して死亡する危険があります。
命に関わる腹痛③|上腸間膜動脈閉塞症
高齢者の腹痛で絶対に見逃してはいけない病気です。
心房細動などでできた血栓が腸の血管を詰まらせ、腸が壊死してしまいます。
症状
- 突然の激しい腹痛
- 嘔吐
- 下痢
- 初期はお腹が柔らかいことも多い
- 痛みの割に腹部所見が乏しい(Pain out of proportion)
病態
腸は大量の血液を必要とする臓器です。
血流が止まると数時間で腸が壊死し、腹膜炎や敗血症へ進行します。
特に、
- 心房細動
- 人工弁
- 高齢者
では強く疑う必要があります。
命に関わる腹痛④|消化管穿孔
胃潰瘍や十二指腸潰瘍、大腸などに穴が開く病気です。
胃液や腸液が腹腔内へ漏れ出し、急速に腹膜炎を起こします。
症状
- 突然の激痛
- お腹が板のように硬い(板状硬)
- 動けない
- 咳や振動で激痛
- 発熱
- 冷汗
なぜ危険なのか
腹膜は非常に痛みに敏感です。
そこへ胃酸や腸液が流れ込むと、強い炎症が全身へ広がります。
放置すると敗血症やショックへ進行し、緊急手術が必要になります。
黒色便や鮮血便の危険性、受診の目安、救急車を呼ぶ基準について詳しく解説しています。
命に関わる腹痛⑤|腸閉塞(イレウス)
腸閉塞(イレウス)は、何らかの原因で腸の内容物が流れなくなった状態です。
癒着や腫瘍、ヘルニア、大腸がんなどが原因となることが多く、放置すると腸が壊死して命に関わることがあります。
主な症状
- 激しい腹痛(波があることが多い)
- 繰り返す嘔吐
- お腹が大きく張る
- おならや便が出ない
- 食事や水分が摂れない
病態
腸の内容物が流れなくなると、腸管内の圧力が上昇し、血流まで障害されます。
血流障害が進行すると腸が壊死し、穿孔(穴が開くこと)や腹膜炎、敗血症へ進行します。
特に注意する人
- 開腹手術歴がある
- 大腸がん
- 鼠径ヘルニア
- 高齢者
命に関わる腹痛⑥|急性胆管炎
胆汁の通り道である胆管に細菌感染が起こる病気です。
胆石が原因となることが多く、重症化すると敗血症性ショックを起こします。
主な症状
- 右上腹部痛
- 高熱
- 悪寒
- 黄疸
これら3つを
Charcot(シャルコー)の三徴
と呼びます。
さらに
- 意識障害
- 血圧低下
まで加わると重症であり、救急治療が必要です。
病態
胆汁の流れが止まることで細菌が増殖し、感染が全身へ広がります。
放置すると敗血症となり、多臓器不全へ進行する危険があります。
命に関わる腹痛⑦|急性膵炎
急性膵炎は膵臓の消化酵素によって、自分自身の膵臓を消化してしまう病気です。
主な症状
- みぞおちの激痛
- 背中へ抜ける痛み
- 吐き気
- 嘔吐
- 発熱
痛みの特徴
仰向けになると悪化し、
前かがみになると少し楽になる
という特徴があります。
主な原因
- アルコール
- 胆石
この2つが大半を占めます。
病態
膵酵素が膵臓自身を破壊し、炎症が全身へ広がります。
重症化すると
- 呼吸不全
- 腎不全
- 播種性血管内凝固症候群(DIC)
などを合併し、集中治療が必要になります。
命に関わる腹痛⑧|急性虫垂炎(盲腸)
虫垂炎は若い世代に多い病気ですが、高齢者でも発症します。
放置すると穿孔し、腹膜炎になります。
典型的な経過
①みぞおちやおへその周囲が痛い
↓
②数時間後
↓
③右下腹部へ痛みが移動
↓
④歩けないほど痛くなる
発熱
38℃前後の発熱を伴うことがあります。
嘔吐
吐き気はありますが、何度も繰り返し吐くことは比較的少ないとされています。

命に関わる腹痛⑨|女性に多い緊急疾患
女性の下腹部痛では婦人科疾患も考えなければなりません。
異所性妊娠(子宮外妊娠)
受精卵が子宮以外に着床する病気です。
破裂すると大量出血し、短時間でショック状態になります。
症状
- 下腹部痛
- 不正出血
- めまい
- 冷汗
- 意識障害
妊娠の可能性がある女性では必ず考える必要があります。
卵巣茎捻転
卵巣がねじれて血流が止まる病気です。
症状
- 突然の激しい下腹部痛
- 吐き気
- 嘔吐
時間との勝負であり、早期手術が必要になります。
高齢者の腹痛は特に危険
高齢者では重症でも典型的な症状が出ないことがあります。
例えば
- 熱が出ない
- お腹が硬くならない
- 痛みをあまり訴えない
にもかかわらず、
実際には
- 腸管壊死
- 腹膜炎
- 敗血症
へ進行していることがあります。
高齢者が
「何となく元気がない」
「食欲がない」
だけでも腹部疾患が隠れていることがあります。
子どもの腹痛で注意する病気
子どもは痛みをうまく説明できません。
次の症状がある場合は早めの受診が必要です。
腸重積
腸が腸の中へ入り込む病気です。
特徴
- 激しく泣く
- 少しすると落ち着く
- また激しく泣く
- イチゴジャムのような血便
乳幼児では緊急疾患です。
虫垂炎
子どもでは進行が早く、穿孔しやすいことがあります。
歩きたがらない
ジャンプできない
という所見も参考になります。
鼠径ヘルニア嵌頓
鼠径ヘルニアが戻らなくなり、腸が締め付けられる病気です。
腸が壊死する危険があるため緊急受診が必要です。
妊娠中の腹痛
妊娠中は通常とは異なる病気も考えます。
例えば
- 異所性妊娠
- 常位胎盤早期剥離
- 切迫早産
などがあります。
強い腹痛や出血がある場合は自己判断せず、速やかに産婦人科または救急外来を受診してください。
救急車を呼ぶ判断基準
次の症状がある場合は119番通報を検討してください。
今すぐ救急車
- 突然の激しい腹痛
- お腹が板のように硬い
- 意識がぼんやりする
- 冷汗が止まらない
- 血圧が低そう
- 吐血
- 下血
- 妊娠中の激しい腹痛
- 高齢者の強い腹痛
- 歩けないほど痛い
夜間・休日でも受診すべき症状
- 38℃以上の発熱
- 嘔吐が続く
- 水分が摂れない
- おしっこが半日以上出ない
- 徐々に悪化している
- 強い右下腹部痛
- 強い右上腹部痛
関連記事|軽い症状でも救急車を呼んだ方がよい危険なサインとは?
「このくらいなら大丈夫」と思っていても、実は命に関わる病気が隠れていることがあります。軽い腹痛や違和感に見えても、突然悪化するケースは少なくありません。救急車を呼ぶべき症状や受診を急ぐサインをまとめていますので、不安な症状がある方はぜひあわせてご覧ください。
腹痛で絶対にやってはいけないこと
① 市販の鎮痛薬を自己判断で飲まない
鎮痛薬によって痛みが隠れると、病気の進行に気付きにくくなります。
また、消化性潰瘍が原因の場合には、薬剤によって胃粘膜障害が悪化する可能性もあります。
② 下剤を飲まない
腸閉塞だった場合、腸管へ負担をかけ穿孔の危険があります。
③ 無理に食事をしない
緊急手術が必要になる可能性があります。
食事は控えましょう。
④ お腹を強く揉まない
腹膜炎や動脈瘤では状態を悪化させる危険があります。
⑤ 原因不明の腹痛を長時間温めない
炎症性疾患では症状が悪化する可能性があります。
正しい応急手当
安静にする
膝を軽く曲げた姿勢が最も楽になります。
腹筋の緊張が和らぎ、痛みが軽減することがあります。
衣服を緩める
ベルトやズボンを緩め、お腹への圧迫を減らします。
飲食は最小限
脱水を避けるため、少量の水分を口にする程度にとどめます。
ただし、激しい腹痛や手術が疑われる場合は、医療機関の指示があるまで飲食を控えることが望ましい場合があります。
OPQRSTをメモする
病院では次の内容を伝えると診断の助けになります。
- いつから
- どこが
- どんな痛み
- どこへ広がる
- 何点くらいの痛み
- 時間とともにどう変化したか
- 熱・吐き気・下痢・血便
- 持病
- 内服薬
- 妊娠の可能性

腹痛を予防するために今日からできること
すべての腹痛を防ぐことはできませんが、日頃の生活習慣を見直すことで発症リスクを下げられる病気は少なくありません。
① バランスの良い食生活を心掛ける
胃や腸は毎日働き続けています。
暴飲暴食や脂っこい食事、過度な飲酒は胃腸へ大きな負担をかけます。
心掛けたいポイント
- 腹八分目を意識する
- よく噛んで食べる
- 野菜・果物・食物繊維を十分摂る
- 水分をこまめに補給する
- アルコールを飲み過ぎない
- 脂質の多い食事を控える
胆石や急性膵炎の予防にもつながります。
② 便秘を放置しない
便秘は腹痛だけでなく、
- 憩室炎
- 腸閉塞
- 痔
などの原因にもなります。
便秘予防
- 朝食を食べる
- 毎日決まった時間にトイレへ行く
- 適度な運動
- 水分摂取
- 食物繊維を十分に摂る
③ 適度な運動
ウォーキングなどの有酸素運動は
- 腸の動きを促進
- 血流改善
- ストレス軽減
につながります。
特にデスクワーク中心の方は意識的に体を動かしましょう。
④ ストレスをためない
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、自律神経の影響を強く受けます。
ストレスが続くと
- 過敏性腸症候群
- 胃炎
- 機能性ディスペプシア
などを引き起こすことがあります。
睡眠・休養・趣味など、自分に合ったストレス解消法を見つけることも大切です。
⑤ 定期的に健康診断を受ける
腹痛の原因には
- 胃がん
- 大腸がん
- 胆石
- 大動脈瘤
など、自覚症状が少ない病気もあります。
40歳を過ぎたら、
- 胃内視鏡検査
- 大腸内視鏡検査
- 腹部超音波検査
なども必要に応じて検討しましょう。

「救急車を呼ぶべきか迷う…」そんなときは#7119
「119番するほどではない気がする。」
「でも朝まで待って大丈夫なのかな…」
そのような場合は、
救急安心センター事業「#7119」
を利用してください。
医師や看護師などの専門家が、
- 救急車を呼ぶべきか
- 今すぐ受診すべきか
- 翌日受診でよいか
などを電話でアドバイスしてくれます。
ただし、
- 意識障害
- 激しい腹痛
- 冷汗
- 吐血
- 下血
- ショック症状
がある場合は、#7119ではなく119番通報を優先してください。
救急車を呼ぶべきか迷ったときの相談窓口について、利用方法や対象地域を分かりやすく説明しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. お腹が痛いときに温めてもいいですか?
軽い胃腸の冷えや生理痛などでは楽になることがあります。
しかし、
- 虫垂炎
- 胆嚢炎
- 腹膜炎
- 消化管穿孔
など炎症性疾患では悪化する可能性があります。
原因が分からない急な腹痛では、自己判断で温め続けることは避けましょう。
Q2. 腹痛で救急車を呼ぶのは大げさでしょうか?
決して大げさではありません。
腹部大動脈瘤破裂や大動脈解離、上腸間膜動脈閉塞症などは、数時間の遅れが命に関わる病気です。
激しい腹痛やショック症状がある場合は、ためらわず119番通報してください。
Q3. 痛み止めを飲んではいけないのですか?
自己判断で服用することはおすすめできません。
鎮痛薬によって症状が分かりにくくなり、診断が遅れることがあります。
また、消化性潰瘍では薬剤によって病状が悪化する場合もあります。
まずは医療機関を受診し、原因を確認しましょう。
Q4. 子どもの腹痛はどこまで様子を見てもいいですか?
元気に遊び、水分も摂れている場合は経過観察できることがあります。
しかし、
- ぐったりしている
- 繰り返し吐く
- 強い腹痛
- 血便
- 歩けない
などがあれば早めに受診してください。
Q5. 高齢者の腹痛は軽そうでも受診した方がよいですか?
はい。
高齢者は重症でも症状が軽く見えることがあります。
「いつもと違う」
という家族の気付きが、重大な病気の早期発見につながることも少なくありません。

まとめ

腹痛は日常的によくある症状ですが、その中には命に関わる病気が隠れていることがあります。
特に次のような症状がある場合は、救急車を要請することを検討してください。
- 突然の激しい腹痛
- お腹が板のように硬い
- 冷汗・顔面蒼白
- 意識障害
- 吐血・下血
- 背中まで広がる痛み
- 妊娠中の強い腹痛
- 高齢者の急な腹痛
「もう少し様子を見よう」
という判断が命取りになる病気もあります。
迷ったときは#7119を活用し、危険な症状がある場合は119番通報をためらわないことが大切です。
早期受診・早期治療が、自分や大切な家族の命を守ることにつながります。
関連記事
【胸の痛み】救急車を呼ぶ基準は?命に関わる危険な胸痛の見分け方
胸痛は心筋梗塞や大動脈解離など、一刻を争う病気のサインであることがあります。腹痛との関連痛として現れることもあるため、あわせて確認しておきましょう。
突然の激しい頭痛や意識障害は脳卒中やくも膜下出血の可能性があります。腹痛と同様に、早期対応が命を左右します。
黒色便や鮮血便の危険性、受診の目安、救急車を呼ぶ基準について詳しく解説しています。
救急車を呼ぶべきか迷ったときの相談窓口について、利用方法や対象地域を分かりやすく説明しています。
参考文献
- 日本腹部救急医学会・日本救急医学会 編『急性腹症診療ガイドライン 2021』
- 日本消化器病学会『急性腹症診療ガイドライン』
- 日本消化器病学会『消化性潰瘍診療ガイドライン』
- 日本膵臓学会『急性膵炎診療ガイドライン』
- 日本循環器学会『大動脈疾患診療ガイドライン』
- 日本産科婦人科学会『産婦人科診療ガイドライン』
- 厚生労働省「救急安心センター事業(#7119)」


