―「様子を見る」という判断が、取り返しのつかない結果になる前に―
はじめに|「あの時、呼んでいれば…」という言葉を、何度も聞いてきました
「救急車を呼ぶほどじゃないと思った」
「夜中だし、もう少し様子を見ようと思った」
「大げさだと思われたら嫌で…」
これはすべて、実際に現場で家族から聞いた言葉です。
私は救急隊として19年間、数え切れない現場に出場してきました。
その中で、救急車を“呼ばなかった”ことを後悔する家族には、はっきりとした共通点があります。
この記事は、医療の専門知識がなくても読めるように書いています。
目的はただ一つ。
「迷ったときに、後悔しない判断ができるようになること」
どうか最後まで読んでください。
そして、できれば 家族とも一度共有してください。
📘 家庭で役立つ 応急手当・救急対応ハンドブック
夜間や休日など、すぐに医療機関へ相談できない場面で、
「今すぐ119番か」「まず何をすべきか」を、
一般の方向けにわかりやすくまとめた実用書です。
イラストや具体例が多く、
高齢者・子ども・家族の急変時を想定した内容のため、
家庭に一冊置いておくと、
判断に迷ったときの支えになります。
🩹 家庭用 救急セット(応急対応・防災兼用)
出血や転倒、体調不良など、
救急車が到着するまでの間に必要な物品が
ひと通りそろった家庭用の救急セットです。
「何もできない状態」を避けるための備えとして、
自宅・車・防災用品と一緒に準備しておくことで、
落ち着いた初期対応につながります。
📞 ワンタッチ緊急通報ボタン(高齢者・家族向け)
体調の急変時に、
ボタン一つで家族や登録先に通知できる
簡易型の緊急通報デバイスです。
一人暮らしの高齢者や、
夜間に体調を崩しやすい方がいる家庭では、
「気づくのが遅れる」リスクを下げる補助的な備えになります。
※本記事で紹介している書籍・物品は、
診断や治療を目的としたものではありません。
症状に不安がある場合や、強い苦しさ・異変がある場合は、
使用の有無に関わらず、医療機関の受診や119番通報を優先してください。
救急車を呼ぶか迷うのは「普通」です

最初に伝えておきたいことがあります。
救急車を呼うか迷うのは、決して悪いことではありません。
多くの人は
- 救急車は「本当に重症な人が使うもの」
- 軽症で呼ぶと怒られるのでは?
- 医療費が高いのでは?
そんな不安を抱えています。
実際、現場でも
「呼んでよかったんですか?」
と不安そうに聞かれることは少なくありません。
でも、ここで一つだけ覚えておいてください。
後悔は、呼んだ人より“呼ばなかった人”のほうが圧倒的に多い
これは、現場にいる救急隊なら誰もが感じている事実です。
救急車を呼ぶ判断に迷う背景には、
「適正利用」への誤解や、
「様子見して後悔した事例」があります。
▶ 救急車の適正利用と「迷ったら119番通報」
▶ 救急車を呼んでいいのに“呼ばなかった人”が後悔した実例
後悔する人に共通する①「症状そのもの」より「元気そう」を信じた
「さっきまで普通に話していたから」
「歩けていたから大丈夫だと思った」
これは本当によくある判断です。
しかし、救急の現場では
“元気そうに見える”と“安全”は全く別です。
典型的なケース
- 会話ができる脳梗塞
- 歩ける心筋梗塞
- 痛みが軽い大動脈解離
どれも珍しくありません。
特に怖いのは、本人が「大丈夫」と言っているケースです。
重篤な病気ほど、初期には自覚症状が軽いことがあります。
👉
見た目・本人の言葉だけで判断しない
これが最初の重要ポイントです。
後悔する人に共通する②「様子を見る」という言葉を深く考えていない
「とりあえず様子を見よう」
一見、冷静で正しい判断のように聞こえます。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
「様子を見る」とは?
- 何分?
- 何時間?
- どんな変化が出たら呼ぶ?
これを決めていない「様子見」は、
実質的に“何もしない”のと同じです。
現場で多いのは
「気づいたら反応がなくなっていた」
というケース。
👉
様子を見るなら
「〇分後に再評価」「〇〇が出たら119番」
ここまで決めてください。
後悔する人に共通する③「夜だから」「休日だから」を理由にした
夜中・早朝・休日。
この時間帯は、判断が一段と鈍ります。
- 病院がやっていない
- 迷惑をかけそう
- 朝まで待てば…
しかし、救急の現場では
夜間だからこそ危険なケースを数多く見てきました。
特に注意が必要な夜間症状
- 胸の違和感
- 息苦しさ
- 意識がぼんやりする
- ろれつが回らない
👉
時間帯は、判断を遅らせる理由にはなりません。
後悔する人に共通する④「自分が責任を取ろうとした」
これはとても日本人的で、優しい判断です。
- 救急車を呼んで大げさだったら自分の責任
- 家族に心配をかけたくない
- もう少し自分で様子を見よう
でも、救急の現場で思うのはこれです。
判断の責任を、家族が一人で背負う必要はない
迷ったら、119番で相談していいんです。
「呼ぶかどうか迷っている」と伝えてください。
判断は、救急のプロと一緒にすればいい。
後悔する人に共通する⑤「最悪のケースを想像しなかった」
人は無意識に
「大丈夫だったケース」を想像します。
でも、救急では逆です。
最悪を想定し、外れたらラッキー
これくらいでちょうどいい。
- 脳梗塞だったら?
- 心筋梗塞だったら?
- 呼吸が止まったら?
これを一瞬でも考えたら、
もう119番の判断ラインです。
救急隊の本音|呼んでほしいタイミング
よく聞かれます。
「どんな時に救急車を呼んでほしいですか?」
答えはシンプルです。
“迷った時点”で呼んでください
呼んで後悔するケースは、正直ほとんどありません。
呼ばずに後悔するケースは、何度も見てきました。
家族で決めておいてほしい「判断の目安」

今すぐ決めてほしいことがあります。
- 胸が苦しい → 119番
- 片側が動かしにくい → 119番
- 呼吸が苦しい → 119番
- いつもと明らかに違う → 119番
「迷ったら呼ぶ」ではなく
「これが出たら呼ぶ」
これを、家族で共有してください。
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この記事を読んだあとに、やってほしいこと
この記事は
知識を増やすためのものではありません。
迷った瞬間に、背中を押すための記事です。
- ブックマークしてください
- 家族にLINEで送ってください
- 「こんな記事読んだよ」と話してください
それだけで、救える命があります。
📘 家庭で役立つ 応急手当・救急対応ハンドブック
夜間や休日など、すぐに医療機関へ相談できない場面で、
「今すぐ119番か」「まず何をすべきか」を、
一般の方向けにわかりやすくまとめた実用書です。
イラストや具体例が多く、
高齢者・子ども・家族の急変時を想定した内容のため、
家庭に一冊置いておくと、
判断に迷ったときの支えになります。
🩹 家庭用 救急セット(応急対応・防災兼用)
出血や転倒、体調不良など、
救急車が到着するまでの間に必要な物品が
ひと通りそろった家庭用の救急セットです。
「何もできない状態」を避けるための備えとして、
自宅・車・防災用品と一緒に準備しておくことで、
落ち着いた初期対応につながります。
📞 ワンタッチ緊急通報ボタン(高齢者・家族向け)
体調の急変時に、
ボタン一つで家族や登録先に通知できる
簡易型の緊急通報デバイスです。
一人暮らしの高齢者や、
夜間に体調を崩しやすい方がいる家庭では、
「気づくのが遅れる」リスクを下げる補助的な備えになります。
※本記事で紹介している書籍・物品は、
診断や治療を目的としたものではありません。
症状に不安がある場合や、強い苦しさ・異変がある場合は、
使用の有無に関わらず、医療機関の受診や119番通報を優先してください。
最後に|救急車は「命を守るための道具」です

救急車は
怒られるためのものでも
遠慮するものでもありません。
使うかどうか迷う時点で、使う価値がある
これは、19年間現場に立ってきた救急隊としての実感です。
どうか、後悔のない判断をしてください。
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参考URL・参考資料(判断基準の根拠)
本記事は、救急医療の現場経験に加え、以下の公的機関・専門資料・救急医療の考え方を参考にし、一般の方にも分かりやすく再構成しています。
■ 総務省消防庁|救急受診ガイド(Q助)
参考ポイント
・救急車を呼ぶべき症状の目安
・「今すぐ119番か」「受診でよいか」を判断する考え方
・夜間・休日の判断に迷ったときの指針
👉 本記事の「迷ったら相談してよい」「症状ベースで判断する」という考え方の根拠としています。
■ 東京消防庁|救急相談センター(#7119)
参考ポイント
・救急車を呼ぶか迷った際の相談窓口
・症状を伝え、専門職の助言を受けられる仕組み
👉 「119番は相談として使ってよい」という説明の裏付けとして参考にしています。
■ 日本救急医学会|市民向け救急医療情報
参考ポイント
・救急医療の基本的な考え方
・重症度・緊急度を重視する判断基準
👉 「診断ではなく危険度を見る」という視点の背景として参照しています。
■ 厚生労働省|救急医療体制について
参考ポイント
・日本の救急医療体制の役割
・救急車利用の考え方
👉 救急車が「特別な人のものではない」という説明の根拠としています。
■ NHS(英国国民保健サービス)|When to call emergency services
参考ポイント
・「迷ったら緊急サービスに相談する」という国際的な考え方
・症状ベースでの判断指針
👉 日本だけでなく、海外でも共通する救急判断の考え方として参考にしています。
■ Mayo Clinic|Emergency symptoms
参考ポイント
・胸痛、呼吸困難、意識障害などの危険症状
・「すぐに医療対応が必要な症状」の整理
👉 症状別の危険サイン解説の補強資料として参照しています。
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一人暮らしの高齢者や、
夜間に体調を崩しやすい方がいる家庭では、
「気づくのが遅れる」リスクを下げる補助的な備えになります。
※本記事で紹介している書籍・物品は、
診断や治療を目的としたものではありません。
症状に不安がある場合や、強い苦しさ・異変がある場合は、
使用の有無に関わらず、医療機関の受診や119番通報を優先してください。
参考文献・専門的背景
本記事では、以下のような救急医療・意思決定に関する専門書で示されている考え方を、一般の方にも分かりやすく要約して紹介しています。
- 救急医療における意思決定理論
- 初期評価(呼吸・意識・循環)を重視する考え方
- 「軽症に見える重症」を見逃さない視点
- 判断に迷ったときは安全側に倒れるという原則
※専門書の内容は、本文を引用せず、考え方のみを噛み砕いて使用しています。
補足(免責)
本記事は、救急医療に関する一般的な情報提供を目的としており、
医学的診断や治療を行うものではありません。
症状に不安がある場合や、判断に迷う場合は、
ためらわず119番通報、または医療機関へ相談してください。
救急車を呼ぶ判断に迷う背景には、
「適正利用」への誤解や、
「様子見して後悔した事例」があります。
▶ 救急車の適正利用と「迷ったら119番通報」
▶ 救急車を呼んでいいのに“呼ばなかった人”が後悔した実例


