「台風が近づいているけれど、何を準備すればいいの?」
「避難するべきか、自宅にいた方がいいのか分からない」
「警戒レベル4と言われても、実際にいつ逃げればいいの?」
台風は日本で毎年発生する身近な自然災害です。しかし、事前に進路や勢力が予測できるため、正しい知識を持って早めに準備することで被害を大きく減らすことができます。
一方で、
- 「まだ大丈夫だろう」
- 「今までも大丈夫だったから」
- 「避難所に行くほどではない」
という判断が避難の遅れにつながり、命に関わる事故になることも少なくありません。
私は救急救命士として19年以上、さまざまな災害や悪天候下での救急活動に携わってきました。
実際に豪雨や台風の際には、
- 避難が遅れた
- 川や田んぼを見に行った
- 車で移動中に冠水した
- 強風の中で屋外作業を続けた
といった行動が原因で救助が必要になるケースを見てきました。
台風対策で最も重要なのは、「まだ大丈夫」ではなく「今のうちに備える」という考え方です。
この記事では、防災士の視点から、
- 台風接近前にやるべきこと
- 台風直撃時の安全な過ごし方
- 避難の判断基準
- 救急車を呼ぶ目安
- 台風通過後の注意点
を分かりやすく解説します。
【結論】台風対策は「時間差」で行動することが重要

台風対策は、
- 数日前
- 前日
- 当日
- 直撃時
- 通過後
でやるべきことが異なります。
まずは全体像を確認しましょう。
| 時期 | やるべきこと |
|---|---|
| 数日前 | ハザードマップ確認・備蓄確認 |
| 前日 | 買い出し・充電・屋外片付け |
| 当日 | 避難判断・情報収集 |
| 直撃時 | 外出禁止・安全確保 |
| 通過後 | 二次災害防止 |
このタイムラインに沿って行動することで、被害を最小限に抑えられます。
台風接近の数日前にやるべきこと
ハザードマップを確認する
最初に確認すべきなのはハザードマップです。
自宅が、
- 洪水浸水想定区域
- 土砂災害警戒区域
- 土砂災害特別警戒区域
に入っていないか確認してください。
特に以下に当てはまる方は注意が必要です。
- 川の近く
- 崖の近く
- 山沿い
- 谷地形
- 過去に浸水歴がある地域
「今まで大丈夫だった」は安全の根拠にはなりません。
非常持出袋を確認する
非常持出袋の中身を確認しましょう。
最低限必要なのは、
- 飲料水
- 非常食
- モバイルバッテリー
- 常備薬
- お薬手帳
- 現金
- 懐中電灯
- ラジオ
- 予備電池
- マスク
- ティッシュ
です。
乳幼児や高齢者がいる家庭では、
- おむつ
- ミルク
- 介護用品
も忘れないようにしましょう。
防災グッズを準備するならこちら
非常持出袋や備蓄品は、「何を準備すればいいか分からない」という方も多いでしょう。
救急救命士・防災士の視点から、本当に役立つ防災グッズを厳選して紹介しています。
▶ 【関連記事】防災グッズおすすめ10選!本当に備えるべき必需品を解説
家族で避難先を決める
避難する場所を事前に決めておきます。
候補は、
- 指定避難所
- 親戚宅
- 知人宅
- 安全なホテル
などです。
避難所だけが避難先ではありません。
安全な場所へ早めに移動することが大切です。

台風接近前日〜半日前にやるべきこと
ベランダや庭を片付ける
台風によるケガの原因として多いのが飛来物です。
以下は必ず室内へ移動しましょう。
- 植木鉢
- 物干し竿
- ゴミ箱
- 自転車
- 子どもの遊具
- 掃除道具
飛ばされた物は他人の家や車を壊す原因にもなります。
排水溝を掃除する
排水溝にゴミが詰まると雨水が流れません。
その結果、
- ベランダ浸水
- 床上浸水
- 床下浸水
につながることがあります。
事前に落ち葉やゴミを取り除きましょう。
窓ガラス対策を行う
雨戸やシャッターがある場合は閉めます。
ない場合は、
- 飛散防止フィルム
- 養生テープ
などを活用します。
ただし養生テープはガラスを強化するものではありません。
ガラスが割れた際の飛散を減らすための対策です。
食料と水を確保する
最低でも3日分、可能なら1週間分を目安に備蓄します。
おすすめは、
- レトルト食品
- 缶詰
- カップ麺
- パックご飯
- 栄養補助食品
です。
飲料水は1人1日3Lが目安です。
お風呂に水を張る
断水に備えます。
飲用には使えませんが、
- トイレ
- 清掃
に利用できます。
ガソリンを満タンにする
停電時には車が重要な電源になります。
スマホの充電や情報収集に活用できます。
ガソリンスタンドが混雑する前に済ませましょう。
台風接近当日にやるべきこと
最新情報を確認する
確認するべき情報は、
- 気象庁
- 自治体
- テレビ
- ラジオ
です。
SNSは便利ですが、誤情報もあります。
必ず公的機関の情報を優先してください。
避難指示を確認する
避難情報には段階があります。
警戒レベル3
高齢者等避難
高齢者や小さな子どもがいる家庭は避難開始。
警戒レベル4
避難指示
全員避難。
この時点で避難完了が理想です。
警戒レベル5
緊急安全確保
すでに災害発生または切迫。
避難が間に合わない可能性があります。
レベル5を待ってはいけません。
台風直撃時の過ごし方

外出は絶対にしない
最も重要です。
よくある事故が、
- 川を見に行く
- 田んぼを見に行く
- 屋根を確認する
- ベランダを片付ける
です。
非常に危険です。
絶対にやめましょう。
窓から離れる
飛来物で窓ガラスが割れることがあります。
- 窓のない部屋
- 廊下
- トイレ
など比較的安全な場所へ移動します。
浸水の恐れがある場合
自宅の2階以上へ移動します。
これを垂直避難と呼びます。
ただし、
- 土砂災害警戒区域
- 河川近く
では垂直避難が危険な場合もあります。
自治体の指示に従ってください。

こんな状況なら即警戒!危険なサイン
以下の状況は災害発生直前の可能性があります。
川の水位が急激に上昇
氾濫の危険があります。
近づいてはいけません。
山から水が湧き出る
土砂災害の前兆です。
すぐに避難してください。
小石が転がってくる
土砂崩れの前兆です。
非常に危険な状態です。
地面に亀裂が入る
斜面崩壊の可能性があります。
避難を優先してください。
雨音で会話が聞こえない
線状降水帯などによる豪雨の可能性があります。
自治体情報を確認してください。
台風時に救急車を呼ぶ目安
暴風雨の中では病院へ行くこと自体が危険です。
しかし命に関わる症状では迷ってはいけません。
すぐに119番する症状
脳卒中を疑う症状
- 顔のゆがみ
- ろれつが回らない
- 片側の手足が動かない
心筋梗塞を疑う症状
- 胸の強い痛み
- 胸の圧迫感
- 冷や汗
- 呼吸苦
呼吸困難
- 息ができない
- 呼吸が苦しい
意識障害
- 呼びかけに反応しない
- ぐったりしている
激しい出血
止血できない出血。
胸の痛みは台風中でも迷わず119番
暴風雨の中でも、命に関わる胸の痛みは受診を待ってはいけません。
心筋梗塞など危険な胸痛の見分け方を詳しく解説しています。
▶ 【関連記事】胸の痛みで救急車を呼ぶ基準とは?危険な症状と受診の目安
受診を待てる可能性がある症状
- 軽い風邪症状
- 軽い発熱
- 慢性的な腰痛
- 軽い胃腸炎
ただし不安な場合は、
#7119へ相談してください。
判断に迷ったら#7119も活用
「救急車を呼ぶべきか分からない」
そんな時は、救急安心センター(#7119)へ相談する方法もあります。
利用方法や対象地域について詳しく解説しています。
▶ 【関連記事】#7119とは?救急車を呼ぶか迷った時の相談窓口を分かりやすく解説
「救急車を呼ぶほどではない?」と迷ったら
体調不良でも「様子を見て大丈夫なのか」「すぐ受診した方がいいのか」と迷うことがあります。
救急救命士が受診の目安を詳しく解説しています。
▶ 【関連記事】軽症に見えても救急受診が必要な危険なサインとは?
台風によるケガの応急手当
出血した場合
直接圧迫止血を行います。
- 清潔なタオルを当てる
- 手のひらで圧迫する
- 圧迫を続ける
ガラス片が刺さった場合
抜いてはいけません。
抜くと大量出血する可能性があります。
周囲を固定して受診しましょう。
停電時に注意するべき熱中症
夏の台風では停電後の熱中症が問題になります。
エアコン停止によって室温が急上昇します。
対策
- こまめな水分補給
- 首の冷却
- 濡れタオル利用
- 電池式扇風機活用
高齢者は特に注意が必要です。
停電時の熱中症対策はこちら
夏の台風では停電によってエアコンが停止し、室内でも熱中症になる危険があります。
熱中症予防に役立つアイテムを詳しく紹介しています。
▶ 【関連記事】熱中症対策グッズおすすめ10選!夏を安全に乗り切る必需品
台風通過後にやるべきこと
切れた電線に近づかない
見た目では通電しているか分かりません。
感電事故につながります。
必ず電力会社へ連絡してください。
川や用水路へ近づかない
雨が止んでも増水していることがあります。
毎年事故が発生しています。
屋根に登らない
台風後の転落事故は非常に多いです。
屋根の確認は業者へ依頼しましょう。
写真を撮影する
被害があった場合、
- 火災保険
- 地震保険
- 共済
の申請に必要になることがあります。
安全を確保した上で記録を残しましょう。
家族で作るマイタイムライン
事前に決めておくことで避難の遅れを防げます。
確認しておきたい項目は、
- 避難所の場所
- 家族との連絡方法
- 集合場所
- ペット対応
- 持ち出し品
- 高齢者支援
です。
家族全員が理解していることが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q. 養生テープを貼れば窓は割れませんか?
A.
割れることを防ぐ効果は限定的です。
飛散防止の効果が主な目的です。
Q. 台風の目に入ったら安全ですか?
A.
一時的に風雨が弱まるだけです。
その後再び暴風になります。
外へ出てはいけません。
Q. マンション高層階なら避難不要ですか?
A.
浸水リスクは低くなりますが、
停電・断水・エレベーター停止などのリスクがあります。
自治体の指示を確認してください。
Q. 車で避難しても大丈夫ですか?
A.
冠水道路では非常に危険です。
可能であれば早めに避難を完了させましょう。
Q. ペットは避難所へ連れて行けますか?
A.
自治体によって対応が異なります。
事前確認が必要です。
まとめ

台風は予測できる災害です。
だからこそ、
- ハザードマップを確認する
- 備蓄を準備する
- 避難先を決める
- レベル4で避難する
- 危険な状況では外出しない
という基本行動が命を守ります。
特に大切なのは「まだ大丈夫」と考えないことです。
避難は早すぎるくらいでちょうど良いものです。
ご自身と大切な家族を守るために、今のうちから備えを始めましょう。
参考文献
- 内閣府「避難情報に関するガイドライン」
- 内閣府 防災情報のページ
- 気象庁「防災気象情報の活用」
- 気象庁 防災情報ポータル
- 国土交通省「水害・土砂災害に関する防災情報」
- 国土交通省 防災ポータル
- 消防庁「風水害対策」
- 消防庁 防災・危機管理eカレッジ
- 厚生労働省「災害時の健康管理」
- 厚生労働省 災害時情報
- 日本赤十字社「災害への備え」
- 日本赤十字社 災害への備え
監修・執筆
本記事は、救急救命士・防災士として災害対応や救急現場での経験をもとに作成しています。ただし、避難情報や警戒レベルは自治体や気象状況によって異なるため、最新情報は気象庁・自治体・消防機関の発表をご確認ください。

