【救急救命士が解説】のどに物が詰まったらどうする?119番を呼ぶ目安と正しい応急処置

のどに物が詰まった…その時、命を守るために最も大切なこと

「食べ物がのどに詰まって苦しそう。」
「急に声が出なくなった。」
「咳をしていたのに、突然静かになった。」

このような場面では、一刻も早い対応が命を左右することがあります。

窒息は、食べ物や異物が気道を塞ぐことで空気が肺に届かなくなる状態です。完全に気道が塞がると、数分で意識を失い、心停止に至る可能性があります。

救急現場でも、餅や肉、パンなどの食べ物だけでなく、子どものおもちゃや高齢者の誤嚥など、さまざまな原因による窒息事例に遭遇します。

しかし、窒息が疑われる場面では、

  • 「水を飲ませればいい?」
  • 「背中を叩けばいい?」
  • 「119番を呼ぶタイミングは?」

など、迷ってしまう方も少なくありません。

この記事では、救急救命士の視点から、

  • 窒息とはどのような状態なのか
  • 命に関わる危険なサイン
  • 正しい応急処置
  • 119番を呼ぶ目安
  • やってはいけない対処法

について、最新の蘇生ガイドラインに基づいて分かりやすく解説します。

【追記予定】
本記事は公開時点で入手可能な最新の根拠に基づいて作成しています。JRC蘇生ガイドライン2025の正式版の内容を確認後、必要に応じて記事内容を更新・訂正します。

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🛠 学習を深めるヒント

  • テキストを「読む」より「つくる」:章末まとめを自分で図解・カード化すると理解が定着します。
  • 間違いの振り返り:問題集は“なぜ間違えたか”を書き出して次に活かしましょう。
  • 反復教材を活用:Deru-Qや〇×問題集は、通勤・休憩時間の“繰り返し”用に。
  • 模試形式の練習:本番同様に時間を計り、“試験モード”の集中力を養う。
  • 気分転換教材を1冊:語呂・イラスト系参考書を加えて「継続しやすい環境」をつくる。

窒息とは?

窒息とは、空気の通り道(気道)が食べ物や異物で塞がれ、十分な呼吸ができなくなる状態です。

私たちは通常、

口・鼻 → のど → 気管 → 肺

という順番で空気を吸っています。

しかし、食べ物や異物が誤って気管へ入り込むと、空気が通れなくなります。

気道が完全に塞がれると酸素が肺へ届かなくなり、脳や心臓も酸素不足になります。

一般的に脳は酸素が数分間途絶えると障害が生じ始めるため、窒息は「時間との勝負」の救急疾患です。


窒息を起こしやすいもの

窒息の原因は年齢によって異なります。

高齢者に多いもの

  • パン
  • ご飯
  • おにぎり
  • 入れ歯による噛みにくさ
  • 飲み込み機能(嚥下機能)の低下

特に年末年始には餅による窒息が毎年多く発生しています。

子どもに多いもの

  • ブドウ
  • ミニトマト
  • ピーナッツなどのナッツ類
  • おもちゃ
  • ボタン電池
  • 硬貨

子どもは何でも口へ入れる習性があるため、大人以上に注意が必要です。


命に関わる危険なサイン

窒息では、「苦しそうだから窒息」とは限りません。

本当に危険なのは、空気がほとんど通らなくなっている状態です。

次のような症状があれば、すぐに119番通報を考えましょう。

声が出ない

最も重要なサインです。

「苦しい」
「助けて」

という声すら出せない場合は、空気がほとんど通っていない可能性があります。


強い咳ができない

咳は異物を外へ出そうとする身体の防御反応です。

逆に、

  • 咳が弱い
  • 咳が止まった
  • 咳ができない

場合は、気道がほぼ塞がっている可能性があります。


のどを押さえるしぐさ(チョークサイン)

両手で首元を押さえる動作は、世界共通で知られる**「チョークサイン(窒息のサイン)」**です。

このしぐさを見たら、「息ができない」と考えて行動しましょう。


顔色や唇が青紫色になる(チアノーゼ)

酸素不足が進むと、

  • 顔色

が青紫色になることがあります。

これは体内の酸素が不足している危険なサインです。


意識がぼんやりする・倒れる

酸素不足が続くと、

  • 呼びかけへの反応が悪い
  • ぐったりする
  • 意識を失う

などの症状が現れます。

ここまで進行すると非常に危険な状態です。

迷わず119番通報し、心肺蘇生の準備を行いましょう。


「咳ができる」と「声が出ない」は大きな違い

窒息が疑われる人を見かけたら、まず確認したいのが**「咳がしっかりできているかどうか」**です。

強く咳ができている場合は、まだ空気が通っている可能性があります。むやみに口の中へ手を入れたりせず、咳を続けられるよう見守ることが基本です。

一方で、声が出ない・咳ができない・息ができない状態は、命に関わる緊急事態です。

この違いを知っているだけでも、適切な初期対応につながります。

正しい応急処置|のどに物が詰まったときの対処法

窒息が疑われる場合は、慌てずに状況を確認し、適切な応急処置を行うことが重要です。

ただし、誤った対応をすると、異物がさらに奥へ入り込んでしまうこともあります。

ここでは、最新の蘇生ガイドラインに基づいた応急処置を解説します。


まず確認すること

異物が詰まった人を見つけたら、まず次の3点を確認しましょう。

  • 声を出せますか?
  • 強く咳ができますか?
  • 苦しそうでも呼吸ができていますか?

この確認によって、その後の対応が変わります。


強く咳ができる場合

強く咳ができている場合は、無理に処置を行わず、咳を続けてもらいましょう。

咳は、異物を体外へ排出する最も効果的な防御反応です。

無理に背中を叩いたり、口の中へ指を入れたりすると、かえって異物が奥へ入り込む可能性があります。

ただし、途中で

  • 咳が弱くなる
  • 声が出なくなる
  • 呼吸が苦しくなる

など症状が悪化した場合は、すぐに次の対応へ移ります。


声が出ない・咳ができない場合

「声が出ない」「有効な咳ができない」「呼吸ができない」場合は、重度の窒息が疑われます。

周囲に人がいる場合は、

  • 119番通報を依頼する
  • AEDを持ってきてもらう

よう協力を求めましょう。

その後、速やかに背部叩打法を行います。


背部叩打法(はいぶこうだほう)

背部叩打法は、背中を叩く振動で異物を排出させる方法です。

方法

  1. 傷病者を前かがみにしてもらう
  2. 胸を片手で支え、頭を胸より低くする
  3. もう一方の手の付け根(手掌基部)で、左右の肩甲骨の間を力強く叩く
  4. 最大5回程度行い、その都度異物が出たか確認する

異物が出た場合は、呼吸状態を確認し、必要に応じて医療機関を受診しましょう。


腹部突き上げ法(ハイムリック法)

背部叩打法で改善しない場合は、腹部突き上げ法を行います。

方法

  1. 傷病者の後ろへ回る
  2. 片手で握りこぶしを作る
  3. へその少し上に当てる
  4. もう一方の手で握りこぶしを包む
  5. 内上方へ素早く引き上げるように圧迫する

これを繰り返し、異物の排出を試みます。

※背部叩打法を行い、異物が排出されるか、傷病者の状態が変化するまで実施します。

改善しない場合は、腹部突き上げ法(腹部スラスト)へ移ります。

異物が排出された場合は、呼吸や意識の状態を確認し、必要に応じて医療機関を受診してください。


腹部突き上げ法を行ってはいけない人

次の方には腹部突き上げ法は適していません。

  • 1歳未満の乳児
  • 妊婦
  • 高度肥満の方

これらの場合は、背部叩打法を中心に対応します。


乳児(1歳未満)の場合

乳児は成人と対応が異なります。

背部叩打法

乳児をうつ伏せに抱え、頭を体より低く保ちながら、肩甲骨の間を5回叩きます。

改善しなければ、

胸部突き上げ法

乳頭を結ぶ線より少し下の胸骨を、指2本で5回圧迫します。

背部叩打法と胸部突き上げ法を繰り返しながら、119番通報と救急隊の到着を待ちます。


口の中に異物が見えたら?

異物がはっきり見えていて、簡単に取り除けそうな場合のみ取り除きます。

しかし、

  • 見えない異物
  • 奥にある異物

を無理に指で探ることはやめましょう。

かえって異物を奥へ押し込んでしまい、窒息が悪化する危険があります。


反応がなくなったら心肺蘇生を開始

応急処置中に意識を失った場合は、すぐに心肺蘇生(CPR)へ移ります。

  1. 119番通報
  2. AEDを依頼
  3. 胸骨圧迫を開始
  4. AEDが到着したら音声案内に従う

胸骨圧迫によって胸の内圧が変化し、異物が排出されることもあります。

人工呼吸を行う場合は、毎回口の中を確認し、見える異物だけを取り除いてください。


救急救命士から伝えたいこと

救急現場では、「もう少し早く応急処置が始まっていれば…」と思う場面も少なくありません。

窒息は数分で命に関わることがあります。

一方で、その場にいる家族や周囲の人が適切な応急処置を行うことで、救命につながるケースも数多くあります。

「背部叩打法」「腹部突き上げ法」「119番通報のタイミング」を知っておくだけでも、大切な人の命を守れる可能性があります。

119番を呼ぶ目安|こんなときは迷わず救急車を

窒息は、短時間で命に関わることがある緊急事態です。

「もう少し様子を見よう」と判断した結果、容体が急変してしまうケースもあります。

次のような場合は、迷わず119番へ通報してください。

119番を呼ぶべき症状

  • 声が出ない
  • 強く咳ができない
  • 呼吸ができない、苦しそう
  • 唇や顔色が青紫色になっている(チアノーゼ)
  • 意識がもうろうとしている
  • 意識を失った
  • 応急処置を行っても異物が取れない

また、異物が取れたように見えても、呼吸が苦しい、咳が続く、胸の痛みがある場合は、気道や肺に異物が残っている可能性があります。医療機関を受診しましょう。


やってはいけないこと

窒息が疑われるときは、「良かれと思って行った行動」が症状を悪化させることがあります。

水やお茶を飲ませる

異物を流し込もうとして水を飲ませると、かえって異物が奥へ押し込まれたり、誤嚥したりする危険があります。

口の中を無理に指で探る

異物が見えない状態で指を入れると、さらに奥へ押し込んでしまう可能性があります。

取り除くのは、目で見えて簡単につかめる異物だけにしましょう。

強く揺さぶる

背中を適切に叩くことは有効ですが、体を激しく揺さぶっても異物は取れません。転倒やけがにつながる危険もあります。

「少し落ち着いたから大丈夫」と自己判断する

一時的に症状が改善しても、異物が気道の奥へ移動していることがあります。

咳が続く、息苦しいなどの症状が残る場合は、医療機関を受診してください。


窒息を予防するためにできること

窒息は、日頃の工夫で予防できるケースも少なくありません。

食事中は慌てず、よく噛んで食べる

急いで食べたり、大きな食べ物をそのまま飲み込んだりすると、窒息のリスクが高まります。

食事中は歩き回ったり、話したりしない

笑ったり話したりしながら食べると、食べ物が気管へ入りやすくなります。

高齢者は食べやすい大きさにする

飲み込みにくい食品は、小さく切る、柔らかく調理するなどの工夫が大切です。

子どもの手が届く場所に小さな物を置かない

乳幼児は何でも口に入れてしまいます。

  • ボタン電池
  • 硬貨
  • ビー玉
  • 小さなおもちゃ
  • ナッツ類

などは、誤飲・窒息の原因になります。


よくある質問(FAQ)

Q. 咳が出ている場合でも119番を呼ぶべきですか?

強く咳ができている場合は、まず咳を続けてもらいながら様子を見ます。

ただし、咳が弱くなる、声が出なくなる、呼吸が苦しそうになるなど症状が悪化した場合は、すぐに119番へ通報してください。


Q. 異物が取れたら病院へ行かなくても大丈夫ですか?

異物が完全に取れ、普段どおり呼吸ができていれば緊急性は低いと考えられます。

しかし、

  • 咳が続く
  • 息苦しい
  • 胸が痛い
  • 発熱した

などの症状がある場合は、異物が気道や肺に残っている可能性もあるため、医療機関を受診してください。


Q. 掃除機で吸い出す方法は効果がありますか?

掃除機を使って異物を吸い出す方法は、一般的な応急処置として推奨されていません。

まずは、背部叩打法や腹部突き上げ法など、ガイドラインで推奨されている方法を行いましょう。


まとめ

窒息は、数分で命に関わることがある緊急事態です。

大切なのは、「様子を見る」よりも早く異変に気付き、適切な応急処置を始めることです。

今回のポイントをもう一度確認しましょう。

  • 声が出ない、強く咳ができない場合は重度の窒息を疑う
  • 強く咳ができる場合は、まず咳を続けてもらう
  • 声が出ない場合は、背部叩打法を行う
  • 改善しなければ腹部突き上げ法(※1歳未満の乳児には行わない)
  • 反応がなくなったら心肺蘇生(CPR)を開始する
  • 少しでも迷ったら119番へ通報する

窒息は誰にでも起こり得ます。

正しい知識を身につけておくことは、家族や大切な人の命を守ることにつながります。

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  • テキストを「読む」より「つくる」:章末まとめを自分で図解・カード化すると理解が定着します。
  • 間違いの振り返り:問題集は“なぜ間違えたか”を書き出して次に活かしましょう。
  • 反復教材を活用:Deru-Qや〇×問題集は、通勤・休憩時間の“繰り返し”用に。
  • 模試形式の練習:本番同様に時間を計り、“試験モード”の集中力を養う。
  • 気分転換教材を1冊:語呂・イラスト系参考書を加えて「継続しやすい環境」をつくる。

監修・執筆

この記事は、救急救命士としての知識と経験をもとに、日本蘇生協議会(JRC)のガイドラインなどを参考に作成しています。

なお、

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状や状況によって対応は異なるため、判断に迷う場合や症状が重い場合は、速やかに119番通報または医療機関を受診してください。

【追記予定】
本記事は公開時点で入手可能な最新の根拠に基づいて作成しています。JRC蘇生ガイドライン2025の正式版の内容を確認後、必要に応じて記事内容を更新・訂正します。