台風や大雨、地震などで停電が長引いたとき、携帯発電機は非常用電源として役立ちます。
しかし、使う場所を間違えると、一酸化炭素(CO)中毒を起こして命に関わることがあります。
特に注意したいのは、
「発電機を使っていたら頭が痛くなった」
「家族も吐き気やめまいを訴えている」
「発電機を使っていた場所で人が倒れている」
といった状況です。
一酸化炭素中毒は、
・頭痛
・吐き気
・めまい
・だるさ
など、疲労や体調不良と区別しにくい症状から始まることがあります。
しかも一酸化炭素は無色・無臭のため、
「変な臭いがしないから大丈夫」
とは判断できません。
この記事では、
・発電機をどこで使うと危険なのか
・一酸化炭素中毒ではどんな症状が出るのか
・発電機使用後に頭痛や吐き気が出たらどうするのか
・どんな状態なら119番通報を考えるのか
・発電機を使っていた場所で人が倒れていたらどうするのか
を、救急・防災の視点から解説します。
まず結論|携帯発電機は屋内で使わない

最も重要なのは、
「携帯発電機を屋内で使用しない」
ことです。
NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)も、携帯発電機を屋内では絶対に使用しないよう注意喚起しています。
発電機の排ガスには一酸化炭素などが含まれています。
そのため、
・住宅内
・物置、倉庫
・車庫などの閉鎖的な場所
・自動車内
・テント内
などで運転しないでください。
また、
「窓を開けている」
「車庫のシャッターを開けている」
という理由だけで安全とは判断できません。
発電機は屋外の風通しの良い場所で使用し、排ガスが住宅内へ入らないよう、窓や出入口などの開口部から離して設置することが重要です。
締め切った室内では約8分で2,000ppmを超えた検証も
「数分だけなら室内で使っても大丈夫では?」
と思うかもしれません。
しかし、短時間だから安全とは限りません。
NITEの検証では、四畳半相当の締め切った部屋で小型汎用エンジンの携帯発電機を使用したところ、約8分後には室内の一酸化炭素濃度が2,000ppmを超えています。
停電時には、
・スマートフォンを充電したい
・冷蔵庫を動かしたい
・照明を確保したい
・暑さや寒さをしのぎたい
など、電気が必要になる場面があります。
それでも、
「停電だから何としてでも発電機を使う」
のではなく、
「安全に使える環境があるか」
を優先してください。
安全な使用環境を確保できない場合には、無理に運転しないことも重要です。
なぜ発電機で一酸化炭素中毒になるの?
携帯発電機は、ガソリンなどの燃料を燃焼させてエンジンを動かし、電気を作ります。
そのときに発生する排ガスには、一酸化炭素が含まれています。
一酸化炭素の大きな問題は、
「見えない・臭わない」
ことです。
煙や強い臭いがなくても、一酸化炭素が存在している可能性があります。
そのため発電機では、
「危険に気づいたら逃げる」
のではなく、
「一酸化炭素を吸い込む環境を最初から作らない」
ことが重要です。
一酸化炭素を吸うとなぜ危険なの?
私たちは、呼吸で取り込んだ酸素を血液によって全身へ運んでいます。
その重要な役割を担っているのが、赤血球に含まれるヘモグロビンです。
一酸化炭素を吸い込むとヘモグロビンと結びつき、さらに細胞での酸素利用にも影響するため、脳や心臓など全身に障害を起こす可能性があります。
重症化すると、
・意識状態の悪化
・けいれん
・息苦しさ
・胸痛
・意識消失
などが現れ、命に関わることがあります。
つまり、
「普通に息をしているから大丈夫」
とは限りません。
一酸化炭素中毒の初期症状
一酸化炭素中毒では、初期に次のような症状がみられることがあります。
・頭痛
・めまい
・吐き気、嘔吐
・だるさ、脱力感
難しいのは、これらが一酸化炭素中毒だけにみられる症状ではないことです。
災害時であれば、
「片付けで疲れたのかな」
「寝不足だから頭が痛いのだろう」
「暑さで気分が悪いのかもしれない」
と考えてしまうこともあります。
そこで、一酸化炭素中毒を疑ううえで重要になるのが、
「症状+その前にいた環境」
です。
「発電機を使っていた」という情報が重要
例えば、停電中に家族が、
「頭が痛い」
と言い始めたとします。
頭痛だけなら、さまざまな原因が考えられます。
しかし、
「その前に発電機を使っていた」
という情報が加われば、一酸化炭素への曝露を考える必要があります。
特に、
・閉鎖的な場所で発電機を使用していた
・排ガスが住宅内へ入る可能性があった
・同じ場所にいた家族にも頭痛や吐き気がある
・複数人が同じようなタイミングで体調を崩した
といった状況は重要な手掛かりです。
一酸化炭素中毒を考えるときは、
「頭痛だから軽い」
「吐き気だから胃腸炎だろう」
と症状だけで判断せず、
「どのような環境にいたか」
までセットで考えてください。
発電機使用中に頭痛・吐き気・めまいが出たら
発電機を使用している状況で、
・頭痛
・吐き気
・めまい
・だるさ
などが現れた場合には、一酸化炭素中毒の可能性を考えてください。
まず重要なのは、
「それ以上、一酸化炭素への曝露を続けないこと」
です。
自分で安全に移動できる状況であれば、発生源から離れ、新鮮な空気のある安全な場所へ移動してください。
ただし、発電機を使用していた閉鎖的な場所ですでに人が倒れている場合には、助けるために不用意に中へ入らないでください。
一酸化炭素が残っていれば、救助しようとした人まで倒れる二次被害につながる可能性があります。
では、
「頭痛だけでも救急車を呼ぶ?」
「意識があれば119番までは必要ない?」
「症状が軽くなれば大丈夫?」
という判断はどうすればよいのでしょうか。
次に、一酸化炭素中毒が重症化したときの症状と、119番通報を考える具体的な目安を解説します。
一酸化炭素中毒が重症化するとどうなる?
一酸化炭素中毒は、頭痛や吐き気、めまいだけで終わるとは限りません。
曝露が続いたり重症化したりすると、
・強い頭痛
・繰り返す嘔吐
・強いめまい、ふらつき
・まっすぐ歩けない
・判断力が低下する
・受け答えがおかしい
・強い眠気
・意識がもうろうとする
・意識を失う
・けいれん
・息苦しさ
・胸の痛み
などがみられることがあります。
特に注意したいのが、
「意識や判断力の変化」
です。
本人が、
「まだ大丈夫」
「少し休めば治る」
と言っていても、
・普段より反応が鈍い
・会話がかみ合わない
・ぼんやりしている
・強く眠そうにしている
などの変化があれば注意してください。
本人の訴えだけでなく、
「普段と様子が違わないか」
を周囲の人が確認することも重要です。
救急車を呼ぶ目安|このような状態なら119番

発電機などによる一酸化炭素への曝露が疑われ、次のような状態がある場合には119番通報を考えてください。
①意識がおかしい
・呼びかけへの反応が悪い
・会話がかみ合わない
・ぼんやりしている
・普段と明らかに様子が違う
・起こしてもすぐ眠ってしまう
・意識を失った
このような意識状態の変化は重要な危険サインです。
「疲れて眠いだけだろう」
と判断しないでください。
②呼吸がおかしい・強い息苦しさがある
・強く息苦しがっている
・呼吸が明らかに速い
・呼吸の仕方が普段と違う
・呼吸が弱い
・普段どおりの呼吸をしていない
といった場合も緊急性が高い状態です。
反応がなく、普段どおりの呼吸をしていない、または呼吸しているか判断できない場合には心停止の可能性があります。
119番通報し、通信指令員の指示に従って胸骨圧迫などの心肺蘇生を開始してください。
ただし、一酸化炭素が充満している可能性のある場所へ、救助のために不用意に入らないことが前提です。
③けいれんしている
けいれんしている場合は119番通報します。
その際は、
・無理に体を押さえつけない
・口の中に物を入れない
・周囲の危険な物を遠ざける
など、安全を確保してください。
④立てない・歩けない
・立ち上がれない
・まっすぐ歩けない
・支えがなければ移動できない
といった明らかな歩行障害がある場合も注意が必要です。
無理に自家用車まで歩かせたり、本人に運転させたりせず、119番通報を考えてください。
⑤胸が痛い
一酸化炭素中毒では、心臓にも影響が及ぶことがあります。
一酸化炭素への曝露が疑われる状況で胸痛がある場合には、119番通報を考えてください。
特に、胸痛に息苦しさや意識状態の悪化などを伴っている場合には注意が必要です。
⑥症状が急速に悪化している
最初は軽い頭痛や吐き気だけでも、
・頭痛が強くなってきた
・吐き気や嘔吐が強くなってきた
・急にふらつくようになった
・受け答えがおかしくなってきた
・急に強く眠そうになってきた
など、時間とともに状態が悪化している場合には119番通報を考えてください。
「最初は軽かったから大丈夫」
とは判断しないことが重要です。
頭痛や吐き気だけなら救急車を呼ばなくてもいい?
ここは判断に迷いやすいところです。
頭痛や吐き気があるからといって、すべてのケースで救急車が必要とは限りません。
一方で、
「頭痛だけだから大丈夫」
「吐き気だけだから寝ていればいい」
とも判断できません。
特に、
・閉鎖的な場所で発電機を使用していた
・排ガスが室内へ入る可能性があった
・発電機を使用したあとに症状が出た
・同じ場所にいた人にも似た症状がある
といった状況があれば、一酸化炭素への曝露を考える必要があります。
頭痛、吐き気、めまいなど一見軽く見える症状でも、一酸化炭素への曝露が疑われる場合には、安全な場所へ移動したうえで医療機関への相談・受診を考えてください。
そして、
・意識がおかしい
・呼吸がおかしい
・けいれんしている
・立てない、歩けない
・胸が痛い
・症状が急速に悪化している
といった状態があれば119番通報を考えます。
症状が軽くなったら大丈夫?
一酸化炭素が存在する場所から離れると、頭痛や吐き気などの症状が軽くなることがあります。
しかし、
「外に出たら治ってきたから大丈夫」
と自己判断しないでください。
特に、
・一時的でも意識を失った
・意識がもうろうとした
・けいれんした
・強い頭痛や繰り返す嘔吐があった
・胸痛や強い息苦しさがあった
・歩けないほどのふらつきがあった
といった症状があった場合には、現在は改善していても医療機関での評価が必要です。
時間がたってから神経・精神症状が現れることもある
一酸化炭素中毒では、急性期の症状が改善したあと、いったん症状が落ち着いた期間を挟んで神経・精神症状が現れることがあります。
こうした状態は、遅発性神経障害などと呼ばれます。
例えば、
・物忘れが目立つ
・集中できない
・性格や行動が以前と違う
・歩き方がおかしい
・日常生活の動作がうまくできない
といった変化です。
すべての人に起こるわけではありませんが、
「その日の症状が治った=完全に問題がなくなった」
とは限りません。
一酸化炭素中毒と診断された場合には医師の指示に従い、その後に神経・精神面の変化が現れた場合にも医療機関へ相談してください。
SpO2が正常でも一酸化炭素中毒は否定できない
ここは重要なポイントです。
家庭用のパルスオキシメーターで、
「SpO2が98%だから大丈夫」
と判断しないでください。
一般的なパルスオキシメーターでは、一酸化炭素が結合したヘモグロビンの影響を適切に評価できないため、一酸化炭素中毒があってもSpO2が一見正常に表示されることがあります。
つまり、
「SpO2が正常=一酸化炭素中毒ではない」
とは判断できません。
SpO2の数字だけを見るのではなく、
・発電機などを使用していた環境
・頭痛や吐き気などの症状
・意識や呼吸の状態
・歩行や受け答えの異常
などを合わせて考えることが重要です。
119番や医療機関では「発電機を使っていた」と伝える
119番通報では、
「頭が痛いです」
だけでなく、
「停電のため発電機を使用していました」
と伝えてください。
分かる範囲で、
・どこで発電機を使用していたか
・何人が体調不良なのか
・意識や呼吸の状態
・現在も発電機が動いているか
なども伝えます。
「一酸化炭素中毒かどうか分からない」
場合でも構いません。
診断名を伝える必要はなく、
「発電機を使用していた」
という情報を伝えることが重要です。
自分で医療機関を受診する場合にも、
・どこで発電機を使用していたか
・どのくらい使用していたか
・いつから症状が出たか
・同じ場所にいた人にも症状があるか
などを伝えてください。
救急車を呼ぶか迷ったら「症状+環境」で考える
一酸化炭素中毒を疑うときの基本は、
「現在の症状+一酸化炭素に曝露した可能性」
です。
頭痛や吐き気など一見軽く見える症状でも、発電機を使用していたなど一酸化炭素への曝露が疑われる場合には、
「軽い症状だから大丈夫」
と決めつけないでください。
そして、意識・呼吸の異常、けいれん、歩行困難、胸痛、急速な悪化がある場合には119番通報を考えます。
一酸化炭素中毒に限らず、「救急車を呼ぶべきか」「自分で受診するべきか」と迷ったときの判断については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:救急車を呼ぶか迷ったら|119・#7119・受診の判断基準を救急隊員が完全整理
では、発電機を使用していた場所で人が倒れていた場合はどうすればよいのでしょうか。
次に、救助する側が二次被害に遭わないための対応を解説します。
発電機を使っていた場所で人が倒れていたらどうする?
停電中、発電機を使用していた場所で家族が倒れていた。
このような場面では、すぐに助けに向かいたくなるかもしれません。
しかし、一酸化炭素中毒が疑われる場合には、
「倒れている人がいる場所そのものが危険」
な可能性があります。
救助しようとした人まで一酸化炭素を吸い込めば、二次被害につながります。
まず覚えておいてほしいのは、
「自分まで倒れないこと」
です。
一酸化炭素中毒が疑われるときは、次の順番で行動してください。
①自分の安全を確認する
②危険な場所へ不用意に入らない
③119番通報する
④安全に可能なら新鮮な空気のある場所へ移動する
⑤安全に接触できるなら反応と呼吸を確認する
⑥普段どおりの呼吸がなければ心肺蘇生を行う
①自分の安全を確認する
まず、傷病者へ近づく前に周囲を確認してください。
例えば、
・閉め切った室内で発電機が動いている
・車庫、物置、倉庫などで発電機を使用している
・車内やテント内で燃焼機器を使用している
・同じ場所で複数人が倒れている
といった状況では、その場所自体が危険な可能性があります。
一酸化炭素は無色・無臭です。
入口から中を見たり、臭いを確認したりしても、
「ここは安全」
とは判断できません。
②危険な場所へ不用意に入らない
一酸化炭素が充満している可能性のある閉鎖空間へ、防護装備のない人が入るのは危険です。
「マスクをすれば大丈夫」
「ハンカチで口を覆えば大丈夫」
「息を止めれば助けに行ける」
とは考えないでください。
一般的なマスクやハンカチでは、一酸化炭素を防ぐことはできません。
また、
・倒れている人を助けるため
・発電機を止めるため
・窓を開けて換気するため
であっても、危険な場所へ不用意に入らないでください。
安全に近づけない場合には、無理に救助しようとせず、安全な場所から119番通報します。
③119番では「発電機を使っていた」と伝える
119番では、
「人が倒れています」
だけでなく、
「停電中に発電機を使用していました」
と伝えてください。
分かる範囲で、
・倒れている人の人数
・呼びかけに反応するか
・普段どおりの呼吸をしているか
・どこで発電機を使用していたか
・現在も発電機が動いているか
・ほかにも体調不良者がいるか
なども伝えます。
一酸化炭素中毒かどうか、自分で判断する必要はありません。
「発電機を使用していた場所で人が倒れている」
という状況そのものを伝えることが重要です。
④安全に可能なら新鮮な空気のある場所へ移動する
本人に意識があり、自分で安全に移動できる状況であれば、発生源から離れ、新鮮な空気のある安全な場所へ移動してください。
ただし、
「倒れている人を外へ運ばなければ」
と考えて、自分まで危険な閉鎖空間へ入ってはいけません。
安全に救助できるか分からない場合には、119番通報時に状況を伝え、通信指令員の指示に従ってください。
⑤安全に接触できるなら反応と呼吸を確認する
安全に接触できる状況であれば、まず声をかけて反応を確認します。
反応がなければ、呼吸を確認してください。
重要なのは、
「普段どおりの呼吸をしているか」
です。
反応がなく、
・普段どおりの呼吸をしていない
・呼吸しているか判断できない
場合には、心停止の可能性があります。
⑥普段どおりの呼吸がなければ心肺蘇生を開始する
反応がなく、普段どおりの呼吸がない、または呼吸しているか判断できない場合には、119番通報し、通信指令員の指示に従って胸骨圧迫を開始します。
成人では胸の真ん中を、
・1分間に100〜120回
・深さ約5cm
を目安に、強く、速く、絶え間なく圧迫します。
AEDが使用できる場合には準備し、音声メッセージに従ってください。
ただし、心肺蘇生も救助者自身の安全が確保できていることが前提です。
一酸化炭素が充満している可能性のある危険な場所へ入り、その中で心肺蘇生を始めないでください。
心肺蘇生の具体的な手順や胸骨圧迫、AEDの使い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
「寝ているだけ」と判断しない
一酸化炭素中毒による意識状態の悪化が、
「強い眠気」
のように見えることがあります。
・呼びかけへの反応が鈍い
・起こしてもすぐ眠ってしまう
・会話がかみ合わない
・普段と明らかに様子が違う
といった場合には、
「疲れて寝ているだけ」
と判断しないでください。
発電機などを使用していた環境でこのような変化がある場合には、意識障害の可能性を考え、119番通報を考えてください。
嘔吐している場合にも注意する
意識状態が悪い人が嘔吐すると、吐いた物を気道へ吸い込む危険があります。
呼吸はしていても反応が悪い場合には、一人にせず、反応や呼吸の状態が変化していないか確認してください。
「さっきまで話せていたから大丈夫」
とは限りません。
反応がなくなり、普段どおりの呼吸がなくなった場合には、心肺蘇生が必要です。
救急隊が到着したら伝えること
救急隊には、分かる範囲で次の情報を伝えてください。
・何の機器を使用していたか
・どこで使用していたか
・どのくらいの時間使用していたか
・いつから症状が出たか
・最初にどのような症状があったか
・意識を失ったことがあるか
・けいれんや嘔吐があったか
・同じ場所にいた人にも症状があるか
正確な時間が分からなくても構いません。
「停電してから2時間くらい」
など、分かる範囲で伝えてください。
同じ場所にいた家族も「一緒にいた」と伝える
家族の一人に一酸化炭素中毒が疑われる場合には、同じ場所にいた人も、
「私も同じ場所にいました」
と救急隊や医療機関へ伝えてください。
本人にも、
・頭痛
・吐き気
・めまい
・だるさ
などがあれば、その症状も伝えます。

一酸化炭素中毒では「助ける人の安全」が最優先
一酸化炭素中毒が疑われる場合には、倒れている人だけでなく、その場所自体が危険な可能性があります。
危険な場所へ不用意に入らず、安全な場所から119番通報し、安全に接触できる場合に傷病者の状態を確認してください。
次は、
「屋外ならどこでも安全なのか」
「玄関のすぐ外なら大丈夫なのか」
「雨の日はどうするのか」
など、事故を起こさないための発電機の使い方を確認します。
停電時に発電機を安全に使うための5つのポイント
発電機は、
「屋外に置けば安全」
というわけではありません。
屋外で使用していても、排ガスが窓や玄関、換気口などから住宅内へ流れ込めば、一酸化炭素に曝露する可能性があります。
発電機を使用するときは、取扱説明書を確認したうえで、
「どこに置くか」
「排ガスがどこへ流れるか」
まで確認することが重要です。
①発電機は屋外で使用する
携帯発電機は屋内で使用しないでください。
住宅内だけでなく、
・物置
・倉庫
・車庫などの閉鎖的な場所
・自動車内
・テント内
でも使用しないことが基本です。
「窓が開いている」
「シャッターを開けている」
という理由だけで安全とは判断できません。
②窓・玄関・換気口などから離して使用する
屋外でも、窓や玄関、換気口などの近くでは、排ガスが住宅内へ流れ込む可能性があります。
発電機は屋外の風通しの良い場所で使用し、排ガスが建物内へ入らないようにしてください。
具体的な設置場所や離隔距離は、使用する発電機の取扱説明書に従います。
重要なのは、
「発電機を外に出したか」
だけではなく、
「排ガスが人のいる場所へ入らないか」
まで確認することです。
③雨だからといって屋内へ移動させない
停電中に雨が降っていると、
「発電機を濡らしたくないから、玄関や車庫に入れよう」
と考えるかもしれません。
しかし、雨を避けるために閉鎖的な場所で運転すれば、一酸化炭素中毒の危険が生じます。
一方で、発電機は電気を扱う機器なので、雨や水濡れにも注意が必要です。
雨天時の使用方法については取扱説明書を確認し、
「雨を避けながら安全に運転できる環境」
を確保できない場合には、無理に使用しないでください。
④使用中も排ガスの向きを確認する
設置したときに問題がなくても、使用中に風向きが変わることがあります。
使用中も、
・排ガスが住宅側へ向かっていないか
・窓や玄関、換気口の近くではないか
・排ガスが室内へ流れ込んでいないか
を確認してください。
「発電機は外に置いてあるから大丈夫」
ではありません。
確認すべきなのは、
「排ガスがどこへ流れているか」
です。
⑤給油時は火災にも注意する
携帯発電機では、一酸化炭素中毒だけでなく、燃料による火災にも注意が必要です。
燃料を補給するときは発電機を停止し、取扱説明書に従って安全を確認してから行ってください。
運転中やエンジンが高温の状態で燃料を扱うのは危険です。
燃料を保管する場合にも、
・適切な容器を使用する
・火気の近くに置かない
・高温になる場所を避ける
など、適切に管理してください。
停電時の電源確保に|工進 インバーター発電機 GV-16i
長時間の停電や、比較的大きな電力を必要とする場面では、 ガソリン式のインバーター発電機も電源確保の選択肢になります。
工進 GV-16iは定格出力1.6kVAのインバーター発電機です。 災害時の電源確保だけでなく、アウトドアや作業時の電源としても使用できます。
ただし、発電機は必ず屋外で使用してください。 屋内・車内・ガレージ・テント内などでの使用は、一酸化炭素中毒につながる危険があります。
※使用前に必ずメーカーの取扱説明書を確認し、排ガスが建物内へ流入しない場所で使用してください。

「窓を開ければ使える?」発電機のよくある疑問
ここからは、停電時の発電機について迷いやすいポイントをQ&A形式で確認します。
Q1.窓を全開にすれば室内で使える?
使わないでください。
「十分に換気しているから大丈夫」
とは判断できません。
携帯発電機は屋内で使用しないことが基本です。
Q2.シャッターを開けた車庫なら使える?
使用しないでください。
シャッターや入口が開いていても、排ガスが車庫内に滞留したり、住宅内へ流れ込んだりする可能性があります。
「入口が開いている=安全」
ではありません。
Q3.玄関のすぐ外なら大丈夫?
「屋外だから必ず安全」
とは限りません。
玄関のすぐ近くでは、排ガスが出入口から住宅内へ流れ込む可能性があります。
重要なのは、
「発電機を外に置いたか」
ではなく、
「排ガスが家の中へ入らない場所か」
です。
Q4.テントや車の中なら使える?
使用しないでください。
テント内や車内も、一酸化炭素中毒につながる危険があります。
窓や入口を開けていることを理由に、安全とは判断しないでください。
Q5.一酸化炭素警報器があれば室内で使える?
使わないでください。
一酸化炭素警報器があっても、
「携帯発電機を屋内で使用しない」
という基本は変わりません。
一酸化炭素警報器があることを理由に、危険な場所で発電機を使用しないでください。
発電機を使う前に「置き場所」を決めておく
停電してから、
「どこに置こう?」
と考えるのではなく、平常時に発電機の使用場所を決めておくことをおすすめします。
その際は、
・屋外である
・窓や玄関、換気口から離れている
・排ガスが建物へ流れ込みにくい
・雨天時にも安全に使用できるか確認している
・取扱説明書で設置条件を確認している
といった点を確認してください。
特に、
「雨が降ったらどこで使うか」
まで事前に考えておくことが重要です。
停電は台風や大雨など、悪天候のときにも発生します。
実際に停電してから安全な置き場所を探すのではなく、平常時に、
「ここなら安全に使用できるか」
を確認しておきましょう。
そして、安全に使用できる場所を確保できない場合には、
「発電機を使わない」
という判断も必要です。
停電時の電源を確保する方法は、携帯発電機だけではありません。
次に、発電機を安全に使用できない場合も含め、停電時に考えられるほかの電源確保について確認します。
一酸化炭素への備えに|NESTOUT 一酸化炭素アラーム 3in1
一酸化炭素は無色・無臭で、人の感覚だけでは気づきにくい危険なガスです。 COを検知する警報器を備えることは、異常を早く知るための補助的な安全対策になります。
NESTOUT 一酸化炭素アラーム 3in1は、 一酸化炭素を検知するための備えとしてAmazonでも販売されている製品です。
ただし、CO警報器があるからといって発電機を屋内で使用してよいわけではありません。 発電機は必ず安全な屋外で使用してください。
※警報器は補助的な安全対策です。発電機の安全な使用場所や換気に代わるものではありません。
停電時の電源確保は発電機だけではない
停電時の電源確保というと、携帯発電機を思い浮かべる人も多いかもしれません。
しかし、必要な電力量や使用目的によっては、発電機以外の方法もあります。
「発電機を安全に使用できる場所がない」
という場合には、無理に発電機を使うのではなく、別の電源を検討することも重要です。
モバイルバッテリー
スマートフォンや小型電子機器の充電には、モバイルバッテリーが役立ちます。
災害時にはスマートフォンが、
・家族との連絡
・気象情報の確認
・避難情報の確認
・停電や復旧情報の収集
などに必要になるため、平常時から充電状態を確認しておきましょう。
ポータブル電源
ポータブル電源も、停電時の電源確保の選択肢です。
燃料を燃焼させる携帯発電機とは異なり、バッテリーから給電している間はエンジン排ガスが発生しません。
ただし、製品によって、
・容量
・最大出力
・使用できる家電
・使用できる時間
などが異なります。
停電してから初めて確認するのではなく、
「何に使いたいのか」
「その機器をどのくらい動かしたいのか」
を考え、事前に必要な性能を確認しておくことが重要です。
停電対策に|Jackery ポータブル電源 600 Plus
停電時にスマートフォンの充電や照明、小型家電などの電源を確保したい場合は、 燃料を燃焼させないポータブル電源も選択肢になります。
Jackery ポータブル電源 600 Plusは、容量632Wh・定格出力800Wのモデルです。 発電機とは異なり使用時に排ガスが発生しないため、家庭での停電対策として備えておくと便利です。
AmazonでJackery ポータブル電源 600 Plusを確認する
※使用できる家電や使用時間は、消費電力や使用状況によって異なります。
車からの給電
車種によっては、停電時に車から電力を取り出せる場合があります。
ただし、エンジンを動かして給電する場合には排気ガスに注意してください。
車庫などの閉鎖的な場所でエンジンをかけ続けると、一酸化炭素中毒につながる危険があります。
使用方法については、車両の取扱説明書に従ってください。
医療機器を使用している家庭は停電前から準備する
在宅で電源を必要とする医療機器を使用している場合には、
「停電してから電源を探す」
のではなく、平常時から停電時の対応を確認しておくことが重要です。
機器によって、
・必要な電力
・内蔵バッテリーの持続時間
・予備バッテリーの有無
・停電時の対応方法
は異なります。
事前に、
・内蔵バッテリーは何時間使用できるか
・予備バッテリーは必要か
・停電した場合はどう対応するか
・電源を確保できない場合はどうするか
・緊急時はどこへ連絡するか
などを、医療機関や機器の事業者などに確認しておきましょう。
大規模災害では、停電が長時間続く可能性があります。
そのため、
「停電したらどうするか」
だけでなく、
「何時間電気が使えなくても対応できるか」
まで考えておくことが大切です。
停電への備えは「電源」だけではない
停電対策では、電気を確保することだけに意識が向きがちです。
しかし実際には、
・照明
・スマートフォンの充電
・食料、飲料水
・暑さ、寒さ対策
・医療機器の電源
・情報収集手段
なども準備しておく必要があります。
停電への備え全体については、当サイトの
「台風で停電したらどうする?事前準備・停電中・復旧後にやるべきことを救急救命士・防災士が解説」
も参考にしてください。
この記事では、
「発電機による一酸化炭素中毒を防ぐこと」
と、
「一酸化炭素中毒が疑われるときの救急判断」
に重点を置いて解説しました。
停電への事前準備や停電中・復旧後の対応については、上の記事とあわせて確認しておくと、災害時に必要な行動を整理しやすくなります。
まとめ|発電機は「どこで使うか」が命を左右する
携帯発電機は停電時に役立つ道具ですが、使う場所を間違えると、一酸化炭素中毒によって命に関わることがあります。
特に覚えておきたいのは、次のポイントです。
・携帯発電機は屋内や車庫、車内、テント内などで使用しない
・屋外でも窓、玄関、換気口などから離し、排ガスが建物内へ入らないようにする
・発電機使用中の頭痛、吐き気、めまいなどは一酸化炭素中毒を疑う手掛かりになる
・SpO2が正常でも一酸化炭素中毒は否定できない
・意識や呼吸の異常、けいれん、歩行困難、胸痛、急速な悪化があれば119番通報を考える
・119番では「発電機を使用していた」と伝える
・人が倒れていても、一酸化炭素が疑われる危険な場所へ不用意に入らない
そして、
「発電機は屋外に置けば終わりではない」
ことも重要です。
屋外で使用していても、排ガスが窓や玄関、換気口などから住宅内へ流れ込めば危険があります。
災害が起きる前に、
「発電機をどこで使うか」
「雨の日はどうするか」
「安全に使えない場合は何で代替するか」
まで考えておきましょう。
安全に使用できる環境を確保できない場合には、
「無理に発電機を使わない」
ことも重要な判断です。
停電から生活を守るための発電機で、命を危険にさらしてはいけません。
参考文献・資料
本記事は、以下の公的機関等が公表している情報を参考に作成しています。
・独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)
「停電時の発電機によるCO中毒や、復旧後の通電火災に注意!」
・独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)
「携帯発電機『室内で使用して一酸化炭素中毒』」
・独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)
「災害時にも活躍する携帯発電機やポータブル電源の事故と停電復旧後の通電火災に注意!」
・厚生労働省「職場のあんぜんサイト」
「一酸化炭素中毒(CO中毒)」
・日本赤十字社
「救急法・心肺蘇生」
※本記事は一般の方に向けた救急・防災情報です。個別の診断や治療を目的としたものではありません。
一酸化炭素中毒が疑われる場合には、まず一酸化炭素への曝露を避けられる安全な場所へ移動し、症状がある場合には医療機関への相談・受診を考えてください。
意識や呼吸の異常、けいれん、歩行困難、胸痛、症状の急速な悪化など緊急性の高い状態がある場合には、119番通報を考えてください。

