救急隊が到着するまでに、家族がやってほしいこと

――119番通報後の「数分間」は、命の分かれ目になる

救急車を呼んだら安心、ではありません。
救急隊が現場に到着するまでの間、家族ができる対応は確実にあります。状況は刻一刻と変化するため、その 行動ひとつで命を救う可能性が上がる こともあれば、逆に悪化させてしまうこともあります。

ここでは、救急隊員の視点と 公式ガイドライン・消防局FAQ・応急手当知識 を踏まえて、具体的にやるべきこと・やってはいけないことを詳しく解説します。

参考:

📘 救急蘇生法の基礎知識(JRC蘇生ガイドライン準拠)

心肺蘇生、回復体位、応急手当など、救急車が到着するまでに必要な対応を 日本蘇生協議会(JRC)監修でわかりやすく解説した一冊。 一般の方や家族向けの備えとして非常に信頼性の高い参考書です。

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1. 119番通報後の現実:平均到着時間は約10分

まず知っておいてほしい数字があります。
消防庁の統計では、119番通報から救急車が現場に到着するまでの平均所要時間は約10分であり、状況によってはこれより長くなることがあります。 消防庁

この時間は一見短く感じるかもしれませんが、

  • 心停止
  • 呼吸困難
  • 出血性ショック
    など、数分で状態が急変するケースもあるため、ただ待っていればいい時間ではありません。

2. 落ち着くことが最大のスタート地点

救急車待機中の最重要ポイントは 落ち着くことです。
緊急時は不安・恐怖で判断が鈍りやすいため、まずは以下を意識してください。

  • 深呼吸して心を整える
  • 傷病者のそばにいる人が声をかけ合う
  • 通報した自分(あなた)は落ち着いて指令員の話を聞き続ける

119番通報時の通信指令員は、到着までの間にも指示や励ましをくれます。声が途切れないように電話をつないでおくのが理想です(岡山市消防局FAQ)。 岡山市公式ウェブサイト


3. 状況を正確に観察する

救急隊が到着するまでの間で最も大切なのは 状況の観察 です。
救急隊は現場に到着した瞬間に多くの情報を知りたいと思っています。
家族がしっかり観察し続けることで、適切な判断につながります。

観察すべきポイント:

意識の状態

  • 呼びかけに反応があるか
  • 目を開ける・視線が合うか
  • 反応が鈍くなっていないか

呼吸

  • 呼吸があるか
  • 呼吸が浅い・速い・苦しそうでないか

色調

  • 顔色が青白い
  • 唇が紫色
  • 冷や汗

変化があれば、その場で必ず救急隊に伝える準備をしておきましょう。


4. 安全な場所・楽な姿勢を確保する

安全な場所に移動

意識があれば、安全で平らな場所に移動させましょう。
ただし、無理に動かすのはNGです(後述)。
危険な場所(道路中央・段差・狭い場所)から動かせる場合は慎重に移動してください。

楽な姿勢をとらせる

傷病者本人が 一番自然で楽な姿勢 が基本です。
呼吸が苦しければ上半身を少し起こし、
意識が薄い・失神しそうなら横向きにする(回復体位)ことも考えます。

回復体位に関しては各消防局の応急手当ガイドでも紹介されています。 一宮市公式サイト


5. 無理な体位変換や移動はしない

家族の善意でやりがちな行動ですが、無理に起こす・歩かせる・座らせる は場合によっては危険なことがあります。

特に注意が必要なのは:

  • 意識がもうろうとしている状態
  • 胸の痛み・呼吸困難
  • めまい・片側の力が抜ける

こうした場合は 楽な姿勢を保つことが大切 です。


6. 応急手当を指示に従って行う

救急車を呼んだ後、119番の通信指令員は状況に応じて 応急手当の指示を出す場合があります。
その指示は非常に大切です。119番通報後の指示に従い、可能な限り実施してください(岡山市消防局FAQ)。 岡山市公式ウェブサイト

例:

  • 心肺蘇生(CPR)の開始
  • 出血止血
  • 気道確保

指示が出たら遠慮せず実行しましょう。

📘 救急蘇生法の基礎知識(JRC蘇生ガイドライン準拠)

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7. 体の状態や変化の記録をする

救急隊到着後、最初に聞かれるのは以下の点です:

  • 症状がいつからか
  • 状態の変化
  • 既往症・持病
  • 服用中の薬

お薬手帳やメモを用意しておくと、
到着直後の説明がスムーズになります(上越メディカルナビ)。 joetsu.niigata.med.or.jp


8. 玄関・通路を片付けておく

これは実際の現場で本当に役立つポイントです。
救急隊は大きな救急バッグ・酸素ボンベ・ストレッチャーを持ち込むため、玄関や通路を片付けておくと搬送準備が速くなります。

具体的には:

  • 靴や傘を整理
  • 通路の荷物をどける
  • エレベーター待機(集合住宅)

9. 役割分担を決めておく

家族が複数いる場合は、以下の役割を分担すると動きがスムーズです:

  • 観察&記録係
  • 電話継続&指令員対応係
  • 搬送用意(玄関・通路)係

役割が曖昧だと対応が遅れがちになります。


10. やってはいけないこと

救急隊が来るまでの間にやってはいけないことをまとめます。

医師の判断なしに薬を与える

薬の自己判断は、状況を悪化させる可能性があります。

食べ物・飲み物を与える(意識障害時)

意識がはっきりしない場合に飲食を与えるのは非常に危険です。

不確かなネット情報で動く

症状に応じた判断は専門家に任せる方が安全です。


11. 救急隊に伝えるべきポイント

救急隊が到着したら、次の情報を必ず伝えます:

  • 状態の変化
  • 通報後にやったこと
  • 現在の症状
  • 既往歴・常用薬

これらは隊員が初動対応を決めるうえで重要です。


12. よくある質問

Q. 救急隊を待つ間、電話は切っていい?
基本的には 切らずに指令員の指示を受けられるようにする のがベターです。 岡山市公式ウェブサイト

Q. 応急処置が怖い…
119番の指令員が指示を出す場合もありますし、基本はコミュニケーションを取るだけでも隊員到着後の理解が深まります。


13. なぜ応急手当が重要なのか?

救急隊が来るまでの間に行う手当ては “救命の連鎖” の一部です。
心肺蘇生や体位管理など、初期対応が適切であれば生存率が高まるとも言われています。 ウィキペディア


まとめ|あなたの行動が、命をつなぐ

救急隊が到着するまでの数分は、ただ「待つ時間」ではありません。
正しい観察・安全確保・必要な手当と情報整理が、救急隊の到着後の対応を劇的に変えることがあります。

あなた自身と大切な人の命を守るために、
できることを的確に行う準備と行動が、救急医療の最前線になります。

夜間・自宅での急病対策

防災士が教える|夜間地震でやってはいけない行動と最初の10秒
👉 夜間に急病や事故が起きた際、家族が陥りやすい危険行動を解説。
今回の記事と合わせて読むことで「夜の初動対応」が理解できます。

🔗 https://tetsujurofire.com/2025/12/09/dangerous-behavior-during-nighttime-earthquakes/


参考リンク(公式・信頼できる情報源)

🔗 救急車を上手に使いましょう(総務省消防庁 PDF)
https://www.fdma.go.jp/publication/portal/items/portal002_japanese.pdf 消防庁

🔗 救急車が来るまで何をしたらいいですか?(岡山市FAQ)
https://www.city.okayama.jp/faq/faq_detail.php?frmId=164 岡山市公式ウェブサイト

🔗 救急車の利用のしかた(上越メディカルナビ)
https://www.joetsu.niigata.med.or.jp/medicalnavi/riyou/ joetsu.niigata.med.or.jp

📘 救急蘇生法の基礎知識(JRC蘇生ガイドライン準拠)

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