生理・病態・救急現場の理解まで(国家試験対応)
はじめに

レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)は、血圧・循環血液量・電解質バランスを調整する極めて重要なホルモン調節系です。
RAASは正常では生命維持に寄与し、一方で慢性的な活性化は心不全・高血圧・腎障害などの病態形成に関与します。
救急現場でよく遭遇する以下の病態理解にも不可欠です。
- ショック
- 脱水
- 心不全
- 急性腎障害
本記事は、生理学→RAASの構造→作用→救急での評価までを整理した内容です。
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救急救命士を目指す人、現役救急隊員にとって最も信頼性の高い公式テキストです。
レニン‐アンジオテンシン‐アルドステロン系(RAAS)についても、
解剖・生理・病態の観点から体系的に整理されており、
本記事の内容はこのテキストに基づいて構成しています。
国家試験対策だけでなく、現場で病態を説明・理解するための
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腎臓・循環・内分泌のつながりを
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RAASの全体像
RAASは次の3つを中心に構成されます。
- レニン(Renin)
- アンジオテンシン(Angiotensin)
- アルドステロン(Aldosterone)
この系は主に以下の状況で活性化します。
- 血圧低下
- 循環血液量の減少
- 低ナトリウム状態
- 腎血流低下
1. RAASが作動するトリガー
1-1. 腎血流低下
腎臓は血圧・血流を感知し、低下を検出するとレニン分泌を促進します。
例:
- 出血
- 脱水
- 心拍出量低下
これは救急現場でしばしば見る臨床像です。
1-2. 低血圧
起立性低血圧やショック状態でもRAASは作動します。
循環不全 → 腎血流低下 → RAAS活性化の負の連鎖が起こります。
1-3. 低ナトリウム状態
ナトリウムは体液量を保つ主要な電解質であり、ナトリウム濃度低下はRAASの誘因となります。
- 利尿薬
- 消化管喪失
などが引き金になります。
1-4. 交感神経刺激
β1受容体の刺激はレニン分泌を促進します。
救急現場ではショック・疼痛・低体温なども交感神経を刺激する要因です。
2. レニン(Renin)
2-1. 分泌部位
- 腎臓:傍糸球体装置(Juxtaglomerular Apparatus, JGA)
2-2. レニンの性質
レニンは酵素であり、ホルモンではなくアンジオテンシノーゲンを分解してアンジオテンシンⅠを生成します。
3. アンジオテンシン生成過程
3-1. アンジオテンシノーゲン
- 肝臓で合成される前駆体タンパク
- レニンでアンジオテンシンⅠに変換
3-2. アンジオテンシンⅠ
- 生理活性は弱い
- ACEによりアンジオテンシンⅡへと変換
4. アンジオテンシン変換酵素(ACE)
4-1. ACEの場所と役割
ACE(アンジオテンシン変換酵素)は主に肺の血管内皮に存在し、アンジオテンシンⅠをアンジオテンシンⅡに変換します。
- アンジオテンシンⅡは極めて強力な血管収縮ホルモン
5. アンジオテンシンⅡの作用
アンジオテンシンⅡはRAASの中核であり、以下の作用を持ちます。
5-1. 血管収縮
特に細動脈に作用し、末梢血管抵抗を上昇させ血圧を上げる。
5-2. 副腎皮質への作用
アルドステロン分泌を促進する。
5-3. ADH(抗利尿ホルモン)促進
下垂体後葉からのADH分泌を促す。
5-4. 交感神経活性化
心拍数・血圧上昇を補助。
5-5. 飲水中枢刺激
口渇感を生じる。
6. アルドステロン(Aldosterone)

6-1. 分泌部位
- 副腎皮質(球状帯)
6-2. 主な作用
アルドステロンは腎臓の遠位尿細管・集合管に作用し、
- Na⁺再吸収↑
- 水の再吸収↑
- K⁺排泄↑
を促進します。
→ 結果として循環血液量が増加し血圧が上昇します。
7. RAASとADHの関係
RAASはADHと共に作用することで、循環血液量の維持を強力にしている。
- ADHは集合管での水再吸収を促進
- RAAS+ADHで血管を締め、体液量を増やす
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8. RAASの生理的意義
RAASは本来、
循環血液量と血圧を維持する防御機構
として機能します。
しかし、慢性的に活性化すると…
- 体液貯留
- 心機能負荷増大
- 血圧持続上昇
といった病態形成に寄与します。
9. 関連病態
9-1. 心不全
心拍出量低下 → 腎血流低下 → RAAS慢性化
→ Na・水貯留 → 心臓負荷増
👉 代償機構が慢性化して病態悪化のループに入る。
9-2. 高血圧
RAAS過剰は末梢血管抵抗を上昇させるため、高血圧の重要な因子。
参考:
高血圧治療ガイドライン(JSH) — 日本高血圧学会
http://www.jpnsh.jp/guideline.html
9-3. 腎不全
腎血流低下に伴うRAAS活性化は糸球体内圧を上昇させ、腎組織傷害を進行させる。
10. RAASと薬物(知識レベル)
救急救命士が投与する薬ではありませんが、RAAS関連薬は臨床で頻用されます。
- ACE阻害薬
- ARBs(アンジオテンシン受容体拮抗薬)
- アルドステロン拮抗薬
これらはRAASの過剰な作用を抑制して病態改善を図る薬です。
11. RAASを救急でどう評価するか

11-1. 血圧低下
- RAAS作動中かを常に疑う
- 末梢冷感・冷汗は血管収縮を示す
11-2. 尿量
- 少ない=RAAS+ADH活性化
11-3. 体液過多
浮腫・静脈怒張は慢性RAAS活性化の証拠
12. 国家試験頻出ポイント
次は国家試験で頻出します。
| 用語 | キー作用 |
| レニン | 腎血流低下で分泌 |
| アンジオテンシンⅡ | 強力な血管収縮 |
| アルドステロン | Na⁺再吸収↑ |
| ADH | 水再吸収↑ |
13. RAASと関連する救急記事(内部リンク)
以下の記事にRAASと密接に関連する内容がまとまっています。
これらを読み込むことで、臨床・国家試験の理解がさらに深まります。
糖尿病の基礎から現場対応まで完全ガイド【救急救命士国家試験対策】 — TETSU十郎/救急救命士/防災士
心筋梗塞とは?──原因・症状・治療・予防をわかりやすく解説 — TETSU十郎/救急救命士/防災士
肝門部とは?位置・解剖・構造・臨床的意義を救急隊員向けに徹底解説 — TETSU十郎/救急救命士/防災士
14. 根拠リンク
以下の公的・教科書的な根拠リンクは、本記事内容の事実ベースを保証します。
- MedlinePlus – Renin-Angiotensin System
https://medlineplus.gov/ency/article/000482.htm - 日本循環器学会 – 心不全診療ガイドライン
https://www.j-circ.or.jp/guideline/ - 高血圧治療ガイドライン(JSH) — 日本高血圧学会
http://www.jpnsh.jp/guideline.html
まとめ
RAASは「循環と血圧を守る生命維持系」です。
救急評価では単に数値を追うだけでなく、なぜその反応が出ているかを理解することが重要です。RAASを理解することで、次の評価ができます。
- 血圧低下時の代償機構を理解
- 体液バランス異常の病態把握
- 心不全・腎障害の評価力向上
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