【救急救命士が解説】熱中症で救急車を呼ぶべき?119番する症状と自宅で様子を見られる目安【2026年最新版】

「熱中症かもしれない。でも救急車を呼ぶほどなのだろうか?」

夏になると、この判断に迷う場面は少なくありません。

たとえば、

  • 暑い場所にいたあとから頭が痛い
  • めまいや立ちくらみがする
  • 吐き気がある
  • 体がだるくて動きたくない
  • 大量に汗をかいた
  • 足がつった

こうした症状は熱中症でみられることがあります。

一方で、すべての熱中症で救急車が必要なわけではありません。

軽い症状で、意識がはっきりしており、自分で水分を飲むことができ、涼しい場所で休んで改善してくるのであれば、必ずしも119番が必要とは限りません。

問題なのは、

「どこからが救急車を呼ぶべき状態なのか」

という境界線です。

私は救急救命士として20年の実務経験があります。

この記事では、厚生労働省・消防庁・環境省などの公的情報をもとに、

「熱中症で救急車を呼ぶ目安」

を一般の方にも判断しやすい形で解説します。


2026年も熱中症による救急搬送が急増しています

熱中症は「少し休めば大丈夫」と考えられがちですが、重症化すると命に関わります。

総務省消防庁によると、2026年7月13日〜19日のわずか1週間で、

全国10,857人

が熱中症によって救急搬送されました。

その前週(7月6〜12日)は4,580人だったため、搬送者数は1週間で大幅に増加しています。

毎年のように注意喚起される熱中症ですが、決して軽視できるものではありません。

しかも熱中症は屋外だけで起こるわけではありません。

厚生労働省も、室内で何もしていないときでも発症し、救急搬送されたり、場合によっては死亡したりすることがあると注意を呼びかけています。

「家の中だから大丈夫」

「運動していないから熱中症ではない」

とは限らないのです。


【結論】この状態なら119番を考えてください

まず、この記事で最も重要なポイントから説明します。

熱中症が疑われる人に対しては、

①意識はしっかりしているか

②自分で水分を飲めるか

この2点が非常に重要な判断材料になります。

特に次のような状態であれば、救急車を呼ぶことを考えてください。

119番を考える主な症状

  • 呼びかけても反応しない
  • 意識がない
  • 返事がおかしい
  • 会話がかみ合わない
  • 自力で水分を飲めない
  • けいれんしている
  • 手足をうまく動かせない
  • 明らかな意識障害がある
  • 高体温で意識状態がおかしい
  • 冷却や水分補給をしても症状が改善しない、または悪化している

特に、

「意識がおかしい」

「自力で水分を飲めない」

この2つは覚えておいてください。

厚生労働省も、

「自力で水が飲めない」「意識がない」

場合には、すぐに救急車を呼ぶよう案内しています。

🚑 「救急車を呼ぶべきか」で迷ったら
症状があるのに「もう少し様子を見よう」と迷うことがあります。 実際に救急車を呼ばなかったことで後悔するケースや、判断が遅れる危険性についても確認しておきましょう。
▶ 救急車を呼ばなかったことで後悔した事例 「呼ぶほどではない」と判断した結果、後から後悔するケースがあります。救急要請をためらいやすい場面と判断のポイントを解説します。 READ ARTICLE →

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熱中症で119番するべき症状①「意識がおかしい」

最も注意したいのが意識障害です。

「意識障害」と聞くと、

「完全に意識を失って倒れている状態」

をイメージするかもしれません。

しかし、それだけではありません。

たとえば、

「名前を呼んでも反応が鈍い」

「質問に対する答えがおかしい」

「ぼーっとしている」

「普段と明らかに様子が違う」

といった状態も注意が必要です。

厚生労働省が示している熱中症の重い症状にも、

  • 返事がおかしい
  • 意識消失
  • けいれん
  • からだが熱い

などがあります。

暑い場所にいた人が突然ぼーっとして、

「ちょっと疲れているだけかな」

と思っていたら、実は重症の熱中症だったという可能性もあります。

「受け答えができる=大丈夫」ではありません

ここは特に注意してください。

完全に意識を失っていなくても、

「今日は何日?」

「ここはどこ?」

「名前は?」

などの簡単な質問に対して明らかにおかしな回答をする場合、正常な意識状態とは言えない可能性があります。

暑い環境にいたあとに、

「なんとなく様子がおかしい」

と感じた場合には軽視しないことが重要です。


熱中症で119番するべき症状②「自分で水分を飲めない」

もう一つ非常に重要なのが、

自力で水分を飲めるかどうか

です。

厚生労働省は、熱中症が疑われる人について、

  • 涼しい場所へ移動する
  • 衣服をゆるめて体を冷やす
  • 水分・塩分や経口補水液などを補給する

といった応急処置を案内しています。

しかし、

自力で水分を摂取できない場合は、ただちに救急隊を要請する

としています。

「水を飲ませればいいんでしょう?」

と思うかもしれません。

しかし、意識状態が悪い人に無理やり水を飲ませるのは危険です。

うまく飲み込めず、水分が気管に入る「誤嚥」を起こす可能性があるためです。

呼びかけへの反応が悪い人には、無理に水分を飲ませないでください。


熱中症で119番するべき症状③「けいれん・手足が動かない」

熱中症が重症化すると、

けいれん

が起こることがあります。

また、

手足をうまく動かせなくなる

こともあります。

環境省などが示している熱中症の症状には、

  • 意識障害
  • けいれん
  • 手足の運動障害
  • 高体温

などが含まれています。

このような症状が出ている場合、自宅で水分を飲ませながら長時間様子を見る状態ではありません。

119番を考えてください。

また、けいれんしている人に水分を飲ませようとするのも危険です。

救急車を呼び、到着するまで体を冷やしながら状態を観察します。


熱中症で119番するべき症状④「体が異常に熱く、意識状態がおかしい」

熱中症が重症化した状態の一つが「熱射病」です。

体温調節機能が破綻し、体内に熱がたまってしまいます。

特に危険なのが、

「体が熱い+意識がおかしい」

という組み合わせです。

たとえば、

真夏に屋外で作業していた人が、

「急にふらついた」

「座り込んだ」

「呼びかけへの反応がおかしい」

「体に触れると非常に熱い」

という状態であれば、重症の熱中症を疑う必要があります。

この場合、

救急車を呼んで終わりではありません。

救急車が到着するまでの時間にも、できるだけ早く体を冷やし始めることが重要です。

環境省も、重症の場合は救急車を呼ぶだけでなく、現場ですぐに体を冷やし始める必要があるとしています。


「汗をかいていない=重症」は判断基準にしない

熱中症について、

「汗をかかなくなったら危険」

と聞いたことがある人もいるでしょう。

確かに重症の熱中症では発汗に異常がみられることがあります。

しかし一般の方が、

「汗が出ているから大丈夫」

「汗が止まったから重症」

と、発汗の有無だけで重症度を判断するのはおすすめできません。

熱中症の判断では、

意識状態

自力で水分を摂取できるか

症状が改善しているか

などを総合的に確認することが重要です。

汗だけを基準にして救急要請を遅らせないようにしてください。


「水が飲める」だけでも安心できない

ここも重要です。

「水が飲めたから救急車はいらない」

と単純に判断することはできません。

意識がしっかりしていて水分を自力で摂取できても、

  • 頭痛
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 強い倦怠感
  • 虚脱感

などが続いている場合は、医療機関での診察が必要になることがあります。

涼しい場所に移動して体を冷やし、水分・塩分を補給しても症状が改善しない場合は、速やかな医療機関への受診を考えてください。

そして、

症状が悪化する

自力で動けなくなる

意識がおかしくなる

といった変化があれば、119番を検討します。

熱中症は、

「水が飲めるか?」

だけではなく、

「意識は正常か」

「自分で飲めるか」

「冷却・水分補給で改善しているか」

という流れで判断することが大切です。

自宅で様子を見られる熱中症の目安は?

ここまで「救急車を呼ぶべき症状」を解説してきました。

では反対に、

「どの程度なら自宅で様子を見てもいいの?」

という疑問もあるでしょう。

熱中症が疑われても、すべてのケースで救急車が必要になるわけではありません。

環境省の「熱中症環境保健マニュアル」では、熱中症の症状として、

  • めまい
  • 立ちくらみ
  • 生あくび
  • 大量の発汗
  • 筋肉痛
  • 筋肉のこむら返り

などが挙げられています。

こうした比較的軽い症状であっても、まずは暑い環境から離れて応急処置を始めることが大切です。


自宅などで経過をみられる一つの目安

次の条件をすべて満たしていることが、一つの判断材料になります。

  • 意識がはっきりしている
  • 普段どおり会話ができる
  • 自分で水分を飲める
  • 嘔吐を繰り返していない
  • 涼しい場所で休むことができる
  • 体を冷やすことができる
  • 水分・塩分を補給できる
  • 応急処置によって症状が改善してきている

ただし、これは、

「この条件なら絶対に自宅で大丈夫」

という意味ではありません。

年齢、持病、症状の程度、暑い環境にいた時間などによって状況は異なります。

大切なのは、

「休んだあとに改善しているか」

です。


軽い熱中症が疑われたら最初にすること

熱中症が疑われたら、そのまま暑い場所で休ませるのではなく、まず暑さから逃がします。

①涼しい場所へ移動する

冷房が効いた室内や車内、風通しのよい日陰などへ移動します。

屋外でスポーツや作業をしている場合には、

「少し休んだからもう大丈夫」

とすぐに活動へ戻らないことも大切です。

②衣服をゆるめる

ベルトやネクタイなどをゆるめ、できるだけ熱を逃がしやすくします。

③体を冷やす

環境省は、

首、脇の下、足の付け根などを冷やす

方法を案内しています。

さらに、皮膚を水で濡らして風を当てる方法も体を冷却する手段になります。

体温を下げるためには、できるだけ早く冷却を始めることが重要です。

④自分で飲めるなら水分・塩分を補給する

意識がはっきりしていて自分で飲める場合には、水分と塩分を補給します。

大量に汗をかいている場合には、スポーツドリンクや経口補水液なども選択肢になります。

ただし、

意識がおかしい人には無理に飲ませないでください。

むせたり、誤嚥したりする危険があります。


頭痛がある場合は自宅で様子を見てもいい?

熱中症では頭痛が起こることがあります。

「頭痛はあるけれど、普通に話せるし水も飲める」

というケースでは判断に迷うでしょう。

頭痛だけで直ちに救急車が必要とは限りません。

しかし、

強い頭痛が続いている

休んでも改善しない

吐き気や嘔吐を伴っている

などの場合には、医療機関への受診を考えてください。

また、注意したいのは、

「暑い日に起きた頭痛=すべて熱中症」ではない

ことです。

突然発症した非常に強い頭痛、意識障害、ろれつが回らない、片側の手足に力が入らないなどがあれば、熱中症以外の緊急疾患も考える必要があります。


吐き気・嘔吐がある場合は?

熱中症では、

  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 頭痛
  • 倦怠感

などがみられることがあります。

特に注意したいのが嘔吐を繰り返している場合です。

吐いてしまえば、口から十分な水分や塩分を補給できません。

「飲んでも吐いてしまう」

「気持ち悪くて飲めない」

という状態では、自宅での水分補給だけでは対応が難しくなる可能性があります。

この場合は医療機関への受診を考えてください。

さらに、

  • 意識がおかしくなった
  • 自力で水分を飲めない
  • ぐったりして動けない

などの状態になれば、救急車を呼ぶことを検討します。


症状が改善しない場合は医療機関へ

軽い熱中症であれば、

涼しい場所へ移動する
↓
体を冷やす
↓
水分・塩分を補給する
↓
安静にする

という対応によって症状が改善してくることがあります。

一方、

応急処置をしても症状が改善しない場合

には、医療機関への受診が必要です。

ここで重要なのは、

「意識があるから大丈夫」

と考えて何時間も我慢し続けないことです。

環境省の熱中症対応でも、自力で水分を摂取できても症状が改善しなければ、医療機関へ搬送する流れが示されています。


「何時間様子を見ればいい?」に一律の答えはない

よくある疑問が、

「熱中症は何時間様子を見れば大丈夫ですか?」

というものです。

しかし、

「○時間経過すれば安全」

という一律の基準はありません。

時間だけで判断するのではなく、

  • 意識状態
  • 水分摂取ができるか
  • 症状が改善しているか
  • 新しい症状が出ていないか

を確認することが重要です。

「2時間経ったから大丈夫」

ではなく、

症状そのものが改善しているか

を見てください。


夜になっても頭痛やだるさが残っていたら?

日中に熱中症のような症状があり、

「夜になったけれど、まだ頭が痛い」

「だるさが取れない」

という場合もあります。

時間が経過したという理由だけで安心することはできません。

十分に休息・冷却・水分補給をしても症状が改善していないのであれば、医療機関への相談・受診を考えてください。

特に、

  • 頭痛が強くなっている
  • 嘔吐して水分が摂れない
  • ぐったりしている
  • 会話がおかしい
  • 自力で移動することが難しい

などの変化があれば注意が必要です。

「もう夜だから明日の朝まで待とう」と決めつけず、現在の症状から判断してください。


高齢者の熱中症は特に注意

高齢者は熱中症のリスクが高いことが知られています。

消防庁の救急搬送データでも、熱中症による救急搬送者の多くを高齢者が占めます。

高齢者では、

  • 暑さを感じにくくなる
  • のどの渇きを感じにくくなる
  • 体内の水分量が少ない
  • 体温調節機能が低下する

などの特徴があります。

さらに、心臓病や腎臓病などの持病がある人では、水分や塩分の摂取について医師から指示を受けている場合もあります。

その場合は、自己判断で大量の水分や塩分を摂取するのではなく、かかりつけ医の指示に従ってください。

高齢者では本人が、

「大丈夫」

と言っていても、周囲から見ると明らかに元気がない場合があります。

普段の状態を知っている家族などが、

「いつもと違う」

と感じることも重要なサインになります。


子どもの熱中症にも注意

子どもも熱中症に注意が必要です。

特に乳幼児は、自分の体調を正確に説明することが難しいため、大人が変化に気づく必要があります。

環境省は、子どもは体温調節能力が十分に発達していないことなどから、熱中症のリスクが高いとして注意を呼びかけています。

例えば、

  • いつもより元気がない
  • ぐったりしている
  • 顔色が悪い
  • 水分を飲みたがらない・飲めない
  • 吐いている
  • 呼びかけへの反応がおかしい

といった状態には注意してください。

特に、

呼びかけへの反応がおかしい

意識が悪い

自力で水分を飲めない

場合には119番を考えます。


「救急車を呼ぶか、病院へ行くか」で迷ったら

ここまで読んでも、

「救急車を呼ぶほどなのか分からない」

というケースは当然あります。

意識障害など明らかな緊急性がある場合には119番ですが、判断に迷う場合には地域によって、

救急安心センター事業「#7119」

を利用できる場合があります。

#7119では、医師・看護師・救急救命士などから、症状に応じた助言を受けることができます。

ただし、#7119は119番の代わりではありません。

明らかに意識がおかしい、反応がない、自力で水分を飲めないなど緊急性が高い状態であれば、相談を挟まず119番を考えてください。

🚑 「救急車を呼ぶべきか」で迷ったら
症状があるのに「もう少し様子を見よう」と迷うことがあります。 実際に救急車を呼ばなかったことで後悔するケースや、判断が遅れる危険性についても確認しておきましょう。
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🛠 学習を深めるヒント

  • テキストを「読む」より「つくる」:章末まとめを自分で図解・カード化すると理解が定着します。
  • 間違いの振り返り:問題集は“なぜ間違えたか”を書き出して次に活かしましょう。
  • 反復教材を活用:Deru-Qや〇×問題集は、通勤・休憩時間の“繰り返し”用に。
  • 模試形式の練習:本番同様に時間を計り、“試験モード”の集中力を養う。
  • 気分転換教材を1冊:語呂・イラスト系参考書を加えて「継続しやすい環境」をつくる。

自宅・受診・119番をシンプルに分けると

最後に、ここまでの内容を簡単に整理します。

自宅などで応急処置しながら経過をみる目安

意識がはっきりしている
+
自分で水分を飲める
+
涼しい環境で休める
+
症状が改善している

医療機関への受診を考える目安

意識は保たれているものの、冷却・水分補給をしても症状が改善しない

または、

吐き気や嘔吐などによって十分な水分補給が難しい

119番を考える目安

意識がおかしい
/
反応がない
/
自力で水分を飲めない
/
けいれんしている
/
手足をうまく動かせない
/
状態が明らかに悪化している

この3段階で考えると、判断しやすくなります。

ただし、これはあくまで一般的な目安です。

「自宅で様子を見て大丈夫か分からない」と感じる場合には、無理に自己判断を続けず、医療機関や救急相談窓口を利用してください。

救急車を呼んだら、到着まで何をすればいい?

熱中症が疑われ、

「意識がおかしい」

「自力で水分を飲めない」

「けいれんしている」

などの症状があれば、119番を考えます。

しかし、重症の熱中症では、

救急車を呼んだあと、何もしないで待っているだけではいけません。

熱中症では体温をできるだけ早く下げることが重要です。

119番通報をしたら、救急隊が到着するまで可能な範囲で冷却を続けてください。


①まず暑い環境から離す

屋外で倒れた場合には、安全を確保したうえで、

  • 冷房の効いた室内
  • 風通しのよい日陰
  • 涼しい場所

などへ移動させます。

ただし、意識がない人や自力で動けない人を無理に一人で移動させる必要はありません。

転倒や搬送中の事故につながる危険があります。

周囲に人がいれば協力を求めてください。


②衣服をゆるめて熱を逃がす

衣服をゆるめ、できるだけ体から熱を逃がしやすい状態にします。

ベルトやネクタイなど体を締めつけているものがあれば、可能な範囲でゆるめます。

プライバシーにも配慮しながら、冷却しやすい状態を作りましょう。


③体を積極的に冷やす

熱中症では、

「救急車が来てから冷やしてもらえばいい」

ではなく、現場にいる人が早い段階から冷却を始めることが重要です。

環境省は、熱中症が疑われる場合の対応として、衣服をゆるめ、体を冷やすことを案内しています。

冷たい水で濡らしたタオルなどを使ったり、水を体にかけて風を当てたりする方法があります。

氷や保冷剤などがあれば、

  • 首
  • 脇の下
  • 足の付け根

などを冷やす方法もあります。

特に意識障害を伴うような重症例では、救急車を待っている間にも積極的な冷却を続けることが重要です。


「ぬるい水」と「冷たい水」どちらがいい?

熱中症の冷却について、

「冷たい水は血管が縮むから、ぬるい水のほうがいい」

と聞いたことがある人もいるかもしれません。

しかし、重症の熱中症では、

できるだけ早く深部体温を下げること

が重要です。

特に労作性熱中症などでは、冷水浸漬法(Cold Water Immersion)が非常に高い冷却効果を持つ方法として知られています。

熱中症治療ガイドライン2024参照。

一方、一般家庭や屋外で大きな浴槽を準備できるとは限りません。

その場合には、

水で皮膚を濡らしながら風を当てる

など、現場で可能な方法をすぐに開始してください。

「どの方法が完璧なのか」と迷って冷却開始が遅れるより、

できる冷却を早く始める

ことが大切です。


やってはいけない① 意識がおかしい人に水を飲ませる

熱中症では水分補給が重要ですが、

誰にでも水を飲ませていいわけではありません。

呼びかけへの反応がおかしい人や意識状態が悪い人に無理やり水を飲ませると、誤嚥する危険があります。

また、

  • けいれんしている
  • うまく飲み込めない
  • 何度も吐いている

といった場合にも注意が必要です。

水分補給は、

「本人が自力で安全に飲める状態か」

を確認したうえで行います。


やってはいけない② 「汗が出ているから大丈夫」と判断する

熱中症では、

「汗をかいているから軽症」

「汗が止まったら重症」

といった話を聞くことがあります。

しかし、一般の方が発汗だけで重症度を判断するのは危険です。

汗の有無だけではなく、

  • 意識状態
  • 自力で水分を飲めるか
  • 自分で動けるか
  • 症状が改善しているか

などを確認してください。

特に意識がおかしい場合には、汗をかいているかどうかに関係なく緊急性を考える必要があります。


やってはいけない③ 解熱剤だけで様子を見る

「体温が高いなら解熱剤を飲めばいいのでは?」

と思うかもしれません。

しかし、感染症による発熱と熱中症による高体温は、起こっている仕組みが異なります。

熱中症では、暑い環境や運動などによって体内に熱がたまり、体温調節が破綻していることがあります。

そのため、

解熱剤を飲んで体温が下がるのを待つことが熱中症の基本的な対応ではありません。

暑い環境から離れ、積極的に体を冷やすことが重要です。

重症が疑われる場合には119番してください。


「熱中症だと思った」が一番怖いこともある

夏に、

「めまいがする」

「頭が痛い」

「吐き気がする」

「体がだるい」

となれば、多くの人が熱中症を考えるでしょう。

もちろん熱中症の可能性はあります。

しかし、

夏に起きた体調不良=すべて熱中症

ではありません。

例えば、

  • 脳梗塞
  • 脳出血
  • くも膜下出血
  • 心筋梗塞
  • 感染症
  • 低血糖

などでも、熱中症と似た症状が現れることがあります。

特に注意したいのが脳卒中です。


熱中症と脳卒中を間違えないために

暑い日に、

「ふらふらする」

「うまく歩けない」

「気持ち悪い」

といった症状が出ると、

「熱中症だろう」

と思ってしまうことがあります。

しかし、

  • 顔の片側が下がる
  • 片方の手足に力が入らない
  • ろれつが回らない
  • 言葉が出ない
  • 突然の激しい頭痛
  • 突然うまく歩けなくなった

などがある場合には、脳卒中など別の緊急疾患も考える必要があります。

脳卒中は治療開始までの時間が非常に重要です。

「暑い日だったから熱中症だろう」

と決めつけて長時間自宅で様子を見ることは避けてください。

特に、

突然起きた神経症状

がある場合には119番を考えます。


迷ったときの判断フローチャート

熱中症が疑われる場合には、次の順番で確認してみてください。

STEP1 意識は正常?

NO

呼びかけへの反応がない、返事がおかしい、会話がかみ合わない。

→119番

救急車を待ちながら、可能な限り体を冷やします。

水分を無理に飲ませないでください。

YES

次へ進みます。


STEP2 自分で水分を飲める?

NO

→医療機関への搬送が必要です。状態によって119番を考えます。

特に、ぐったりして動けない、状態が悪化しているなどの場合には119番してください。

YES

次へ進みます。


STEP3 涼しい場所で冷却・水分補給をする

  • 冷房の効いた場所へ移動
  • 衣服をゆるめる
  • 体を冷やす
  • 水分・塩分を補給
  • 安静にする

そのうえで症状を確認します。


STEP4 症状は改善している?

YES

引き続き涼しい場所で休み、水分・塩分を補給します。

すぐに運動や屋外作業へ戻ることは避けましょう。

NO

→医療機関を受診してください。

症状が悪化したり、意識がおかしくなったりした場合には119番を考えます。


熱中症の救急車判断を一覧で確認

状態対応の目安
軽いめまい・立ちくらみ・こむら返りなど涼しい場所へ移動して冷却・水分補給
意識が正常で、自力で水分を飲める応急処置をしながら症状を観察
応急処置をして症状が改善十分に休息し、再び暑い環境へ戻らない
冷却・水分補給をしても改善しない医療機関を受診
吐いてしまい十分に水分を摂れない医療機関への受診を検討
自力で水分を飲めない医療機関への搬送が必要。状態によって119番
返事がおかしい・意識がおかしい119番
意識がない119番
けいれんしている119番
体が非常に熱く意識がおかしい119番+すぐに冷却
片側の麻痺・ろれつが回らないなど熱中症と決めつけず119番

救急車を呼ぶか迷ったら「#7119」も選択肢

「意識はしっかりしている」

「水分も飲める」

「でも病院へ行ったほうがいいのか分からない」

こうしたケースでは、対応地域であれば、

救急安心センター事業「#7119」

を利用する方法があります。

#7119では、急な病気やけがについて、

「救急車を呼んだほうがいいのか」

「今すぐ病院へ行ったほうがいいのか」

といった相談ができます。

ただし、

意識がない、反応がおかしいなど明らかに緊急性が高い場合には、#7119ではなく119番です。

また、#7119は全国すべての地域で同じように利用できるわけではないため、お住まいの地域の実施状況を確認してください。


まとめ|熱中症は「意識・水分・改善」で判断する

熱中症で救急車を呼ぶべきか迷ったときは、まず次の3つを確認してください。

①意識は正常か

②自分で水分を飲めるか

③冷却・水分補給によって症状が改善しているか

軽いめまいや立ちくらみなどで、

意識がはっきりしている
↓
自分で水分を飲める
↓
涼しい場所で休める
↓
症状が改善している

のであれば、必ずしも救急車が必要とは限りません。

一方、

「返事がおかしい」

「意識がない」

「けいれんしている」

「自力で水分を飲めない」

などの場合には、救急搬送が必要になる可能性があります。

特に意識障害など重症の兆候がある場合には、119番してください。

そして、救急車を呼んだあとも可能な限り冷却を続けることが重要です。

また、夏場の体調不良をすべて熱中症だと決めつけないことも大切です。

片側の手足に力が入らない、ろれつが回らない、突然の激しい頭痛などがあれば、脳卒中など別の緊急疾患の可能性があります。

熱中症で迷ったときには、

「意識・水分・改善」

この3つを一つの目安として覚えておいてください。

🚑 「救急車を呼ぶべきか」で迷ったら
症状があるのに「もう少し様子を見よう」と迷うことがあります。 実際に救急車を呼ばなかったことで後悔するケースや、判断が遅れる危険性についても確認しておきましょう。
▶ 救急車を呼ばなかったことで後悔した事例 「呼ぶほどではない」と判断した結果、後から後悔するケースがあります。救急要請をためらいやすい場面と判断のポイントを解説します。 READ ARTICLE →

🚑 救急救命士国家試験・学習教材おすすめ

国家試験対策から現場応用まで、“救急救命士”を目指す方・指導する方のための教材を紹介します。

🛠 学習を深めるヒント

  • テキストを「読む」より「つくる」:章末まとめを自分で図解・カード化すると理解が定着します。
  • 間違いの振り返り:問題集は“なぜ間違えたか”を書き出して次に活かしましょう。
  • 反復教材を活用:Deru-Qや〇×問題集は、通勤・休憩時間の“繰り返し”用に。
  • 模試形式の練習:本番同様に時間を計り、“試験モード”の集中力を養う。
  • 気分転換教材を1冊:語呂・イラスト系参考書を加えて「継続しやすい環境」をつくる。

参考情報

この記事は、以下の公的機関などが公開している情報をもとに作成しています。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断を行うものではありません。症状や状況によって必要な対応は異なります。緊急性が高いと感じる場合には119番してください。